■ゴビ砂漠で目撃のある膨らむハリネズミ ~ ザンバ・ザラア
日本ではかなりマイナーな存在ですが、モンゴルのゴビ砂漠には実在してもおかしくないUMAがいます、ザンバ・ザラア (Zamba Zaraa) です。
同地で有名な未確認生物といえば、ぶっちぎりでモンゴリアン・デス・ワーム (Mongolian Death Worm) で間違いないでしょう。
60~120センチほど、人間の腕ほどの直径を持つ巨大なワーム (イモムシのような細長い生物) 状生物で、伝えられるような無脊椎動物的かつ電撃で敵と対峙する、といった特性は信じがたいものです。
但し、「ワーム」をヘビのような爬虫類、「電撃」を毒針や毒液といったものに置き換えてみると、そこまで荒唐無稽な存在でもありません。
特に欧米では人気があり、かつ存在する可能性が高いと信じられていたUMAの筆頭株のひとつで、幾度と欧米諸国からゴビ砂漠にはるばる探索隊が送り込まれたほどです。
陸上の無脊椎動物としては破格の体躯を誇りますが、それでも前述したように60~120センチという現実的な大きさが「存在するかもしれない」というロマンを掻き立てるのでしょう。
残念ながら、現時点では痕跡ひとつ見つけることができておらず、その存在についても懐疑的な見方が広まっているのは仕方がないといったところでしょうか。
それでは主題のザンバ・ザラアに話を戻します。
ザンバ・ザラアの情報は極端に乏しいものの、このブログにもたびたび登場する、イギリス人の未確認動物学者カール・シューカー (Karl Shuker) 氏は自身の著書、"The Beasts That Hide From Man" で、たった一度きりだがザンバ・ザラアを目にしたことがあると述べています。
「ツァガーン・ボグド山脈 (Segs Cagan Bogd mountains) 西部には奇妙な生物が生息している、ザンバ・ザラアだ。
わたしは狩りの最中に一度だけ目にしたことがある。
大きな石の上に乗り、頭部を垂直に立てて体を膨らませていた。
ヤツは尾をその石に叩きつけ、ラクダが疾走するときほどのものすごい音を立てていた。
わたしはザンバ・ザラアが自身を体を膨張させることにより、ユルタ (遊牧民たちが使用する大きなテント) ほどの大きさになると聞いている」
大きさはともかく、その姿はハリネズミに似ているといいます。
威嚇や防御の際に、ハリセンボンさながら、体を膨らませることによって体中のトゲを逆立てるのがこのUMAの特徴です。
家族が入れるほどの大きなテント、ユルタほども膨らむことができるのなら、元から体もそこそこ大きいであろう、ゴビ砂漠であれば天敵な少ないのでは?という疑問もありますが、とにかく巨大なハリネズミ然とした生物、それがザンバ・ザラアです。
但し、「尾を石に叩き付けて大きな音を立てる」なんて芸当は、尾がとっても短いハリネズミではそのからだの大きさを無視するにしても不可能です。
イメージ的には、それこそUMAの正体として頻繁に登場する恐竜たち、その中でもザンバ・ザラアは尾で石を叩き付けるという習性から尾部先端に強力なハンマーを持つアンキロサウルス (Ankylosaurus) 等の鎧竜 (曲竜) を彷彿とさせます。
(アンキロサウルス / image credit by Wikicommons)
5メートルから最大10メートルを超す鎧竜の仲間であれば、巨大な体躯はもとより、ごつごつとした鎧に包まれた体もハリネズミのトゲトゲを想起させ、「ザンバ・ザラア = 恐竜」というのも悪くありません。
その中でも特にエウオプロケファルス (Euoplocephalus) はトゲ状の装甲に、尾部先端にハンマーを持ち合わせているので最高です。
けど、、、
さすがにその正体として恐竜は行きすぎだろう、という声も聞こえてくるのも確か。
(センザンコウ / image credit by Wikicommons)
現実的にはザンバ・ザラアの候補としてセンザンコウを挙げたいと思います。
ハリネズミのそれとは少々異なりますが、全身に尖ったプレート状の鱗を持つ特徴、そしてハリネズミと異なり尾も長いということであればセンザンコウのほうがうってつけ。
(センザンコウの防御姿勢 / image credit by Wikicommons)
どうあがいても、大きさはさすがに「ユルタ程」はありませんが、センザンコウは防御姿勢時に丸まり、全身のトゲを逆立てる様は「膨らんでトゲを逆立てる」というザンバ・ザラアの特徴に当てはまります。
その正体として、センザンコウでは物足りないと思うあなた、UMAヴェオの記事でも紹介した、4万年前に絶滅した現生種の2倍の大きさを誇る巨大センザンコウ、マニス・パレオジャバニカ (Manis paleojavanica) ではいかがでしょう?
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