(セント・ポール・デイリー・グローブ紙に掲載された目撃スケッチ)
■ミネトンカ湖の怪物 (ミニー)
今回もとびきりマイナーなレイク・モンスターの紹介です。
アメリカ、ミネソタ州にあるミネトンカ湖 (Lake Minnetonka)。
ミネソタ州で9番目の大きさでアメリカではとりわけ大きな湖ではありませんが、日本で10番目の大きさ (面積) を誇る浜名湖ほどもあります。
「ミネトンカ」という独特の響きを持つこの言葉は先住民族ダコタ族の言葉で「ビッグ・ウォーター (Big water)」を意味すると言います。
さてこの湖ではネッシーが目撃されるはるか以前からレイク・モンスターの目撃があります、ミニー (Minnie) です。
ミニーという言葉はもちろんミネトンカ (Minnetonka) をもじったもので、小さいを意味する「ミニ (mini)」の意味ではありません。
1887年5月31日付けのセント・ポール・デイリー・グローブ紙 (St.Paul Daily Globe) には目撃証言から作製されたミニーのイラストが掲載されました。
これは同年5月27日、湖を訪れていた15人によって目撃された生物です。
全長は30フィート (約9メートル) に対し胴回りは成人男性ほどということで、かなり細長い体型をしていることが分かります。
四肢は指先に水かきのついた前肢のみで後肢は描かれておらず、前肢のすぐ後ろの背中側には小さな翼のようなものがありドラゴン的な姿で描かれています。
体に比してあまりに翼が小さすぎるため、おそらくは翼ではなく背ビレ、もしくは水草などが体に絡まっていたものが翼と認識されてしまった可能性も考えられます。
その後幾度も目撃されていますが、概ね30~35フィート (約9~10.5メートル) と報告される大きさは大体似通っています。
ただし、淡水の生物が10メートル前後というのはあまりに大き過ぎで現実的ではありません。
上記目撃では怪物との距離が200ヤード (約182メートル) もあったといい、正しい大きさを推測するには離れすぎています。
実際はもう少し小さかったのではないでしょうか。
上記スケッチでは首の長い丸みを帯びたヘビのような頭部で描かれていますが、別の目撃情報ではワニそのものであったというものもあります。
(21世紀以降に撮影されたミニー)
(image credit by Princetolstoy/Wikimedia)
正体はなんだったのか?
実際に大蛇や巨大なワニが湖で目撃されれば怪物騒ぎに発展したでしょう。
しかしミネソタの冬の寒さをそれらの爬虫類が越せるものかどうか。
目撃情報の大きさを話半分としても4~5メートルもあるヘビやワニとなれば成長しきった上にかなり巨大な個体です。
あり得るとすれば定番の動物園で飼われていたものやペットが逃げ出したというものになります。
実際、ミネソタに生息していない5フィート (約1.5メートル) のボアや40インチ (約1メートル) のアリゲーターが捕獲されニュースになっており、逃げ出したペットということは十分にありえます。
しかし1887年というのは、そういった大蛇やワニをペットとして飼ったりするような時代だったのか、そもそもサイズ的にも上記の捕獲されたボアやアリゲーターとはレベルが違います。
(アリゲーターガー)
そういったことを踏まえるとやはり正体としてアリゲーターガー (Atractosteus spatula) やミズウミチョウザメ (Acipenser fulvescens) が無難なところでしょうか。
目撃情報から考えると最低でも3メートル超、上記2種のいずれでも史上最大レベルに成長している必要があります。
結局ミニーの目撃は長続きしなかったため正体は謎のままです。
(参照サイト)
Malcolm's Musings:Cryptozoology
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