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2025年6月2日月曜日

19世紀に3頭狩猟された謎のチーター ~ ウーリー・チーター


■19世紀に3頭狩猟された謎のチーター ~ ウーリー・チーター

チーターと聞いて思いつくことは?

ほとんどの人は「足が速い」の一択に違いありません。

ここで「毛深い」と答える人はどうかしています。

が、今回はそのどうかしている毛深いチーター、ウーリー・チーター (Woolly cheetah)、南アフリカ共和国で目撃されたUMAです。

英名でウーリーとつくものにはウーリー・マンモス (Woolly mammoth) ことケナガマンモス (Mammuthus primigenius) やウーリー・ライノセラス (Woolly rhinoceros) ことケブカサイ (Coelodonta antiquitatis) が有名です。

どちらも絶滅してしまいましたがウーリーとは簡単に表現すると「毛深い」という意味です。

(ケブカサイ)
(image credit: Wikicommons)

そういうわけでウーリー・チーターは「毛深いチーター」という意味になります。

和名を当てるとすればケナガチーターとなるでしょうか。

この生物は19世紀末、南アフリカ共和国のビューフォート・ウェスト (Beaufort West)で立て続けに目撃・狩猟され、当時イギリスや南アフリカ共和国の博物館に標本が送られています。

このチーター、単に毛深いだけではありません、通常のチーターより体がずんぐりとしており四肢も太く短いといわれています。

本当にそうであればチーターの売りであるスピードが殺されてしまう可能性があり大いに疑問です。

集団で狩りをするとか食性が異なるとか生態自体が全く違うかもしれません。

但しこれについては毛が長いことによりそのように見えていただけではないか?といわれています。

特に首周りの毛が長くタテガミを形成しており尾も太かったといいます。

体色は青みがかった淡いクリーム色、そこに通常のチーターと同様の暗褐色の斑紋が体全体を覆います。

このチーター、19世紀末に少なくともビューフォート・ウェストで3頭ほど狩猟されケナガチーター (Felis lanea) と新種として扱われましたが頭骨等を調べたところ既存のチーターとの差異が見つけられませんでした。

おそらく劣性遺伝による長毛種として産まれただけに過ぎないのではないか?と考えられるようになり、その後に目撃がないことから一頭のメスから産まれた突然変異の兄弟姉妹だったかもしれないともいわれています。

逆に言えば今後も突然変異的に誕生し目撃されるかもしれません。








2025年6月1日日曜日

二足歩行する巨大なトカゲが目撃された ~ クロスウィック・モンスター


■二足歩行する巨大なトカゲが目撃された ~ クロスウィック・モンスター

今回はクロスウィック・モンスター (Crosswick monster)。

1882年、クロスウィック (Crosswick) でただの1度 (1日) だけ目撃された巨大な爬虫類系UMAです。

クロスウィックとはアメリカの地名で、オハイオ州の最北端に位置する小さなコミュニティです。

五大湖の一つにして、UMAベッシーの故郷としても知られるエリー湖にも面します。

19世紀末、というずいぶん昔の目撃事件であり、その後の目撃がないことから半ば伝説化しているUMAです。

しかしその姿はかなり詳細に伝えられています。

体長は40フィート (約12メートル)、体の直径は16インチ (約40センチ)、四肢の長さが4フィート (約1.2メートル)、うち尾の長さが14フィート (約4.2メートル) と体長の1/3を占め、いかにも爬虫類らしいシルエットをしています。

全身は白っぽい鱗で覆われ、黒い斑点を持つといわれています。

頭部はヘビに似ており、二股に分かれた真っ赤な舌を持ちます。

クロスウィック・モンスターは「巨大な四肢を持つ蛇」と表現されますが、これは前述の通り、体長に比して体の直径がかなり細く (約1/30)、頭部の特徴も相まってそう表現されるのでしょう。

実際、クロスウィック・モンスターはクロスウィック・スネーク・モンスター (Crosswick snake monster) と呼ばれることもあります。

また、体の大きさから脚の長さが1.2メートルあっても決して長いとはいえませんが、腹這いの爬虫類としてはずいぶんと体高が高いというイメージではありす。

概ねオオトカゲタイプではあるものの、オオトカゲにしてはかなり細長いシルエットであり奇妙な姿をしているのは確かです。

さて、興味深いはそのただの一度きりの目撃談です。

1882年5月、川で釣りをしていた11歳のジョーと13歳のエドのリンチ兄弟、後方で叢が動く音がするや突如として大蛇 (クロスウィック・モンスター) が現れたといいます。

怪物に気付いた兄弟はすぐさま逃げようとしたものの、その大蛇は体から2本の腕を出し、兄のエドを瞬く間に怪物に掴みました。

すると今度は体から後肢2本も飛び出し、大蛇から四肢を持つトカゲのような姿になって、エドを掴んだまま川伝いに下流へ連れ去りました。

どうやら下流には怪物の巣と思われるプラタナスの巨木があり、そこへ運び込もうとしたようです。

しかし、連れ去られている途中、兄弟の悲鳴を聞いた3人の成人男性、ジェイコブ・ホーン牧師、ジョージ・ピーターソン、アレン・ジョーダンがかけつけ、怪物を威嚇、エドの救出に成功します。

クロスウィックではその数年前から、未知の巨大生物の足跡が時折発見されていたといい、ついにその正体である怪物が現れたと町は大騒ぎとなりました。

3人の男たちはエドを救出すると、町にそのことを伝えその日のうちに武装した総勢60人の男たち + 猟犬を従え、怪物の巣と思われるプラタナスの巨木へと向かいました。

到着した男たちはプラタナスの樹を囲むと、怪物をおびき出すため大木を切り倒しにかかりました。

すると驚いた怪物が大木の洞 (樹洞) から現れました。

そのあまりの大きさにでしょうか、男たちも恐怖を感じましたが、猟犬たちは怯え後ずさりしたといいます。

しかし怪物はその男たちの数に驚いたのでしょう、攻撃するようなそぶりは見せず、地面に降りると人間のように後肢二本で立ち上がり、尾でバランスを取りながら小川をものすごい勢いで渡り切り逃げていきました。

怪物はその後二度と現れることはなかったといいます。

エドはその後恐怖で暫くうなされ回復に時間がかかったというものや、恐怖で死んでしまったという若干異なるバリエーションは存在するものの、クロスウィック・モンスターの話は基本的にこの一つしか存在しません。

まあ直立二足歩行で逃げた、なんてあたりは昔話を聞いているようで滑稽な印象すら受けますが、グリーンバシリスク (Basiliscus plumifrons) やエリマキトカゲ (Chlamydosaurus kingii) をはじめ、小型の爬虫類には二足歩行できる種も実在するので、そのこと自体はまったくの荒唐無稽な話ではありません。

ただまあ蛇から四肢が飛び出しトカゲになったというのを無視するにせよ、やはり約12メートルという体長が引っかかるところです。

大きさは誇張されているだけでオオトカゲでは?と思いたいところですがアメリカにはアメリカワニ (Crocodylus acutus) は棲息しているもののオオトカゲ類は棲息していません。

しかもクロスウィックは五大湖周辺とかなり北方であることも大型爬虫類が棲息するには厳しい地域です。

(ヒラ・モンスター / Heloderma suspectum)
(image credit by Wikicommons)

巨大トカゲ系UMA、ミルトン・リザードを紹介した時にも触れましたが、アメリカ最大のトカゲはヒラ・モンスターことアメリカドクトカゲ (Heloderma suspectum) が最大で、最大個体でも22インチ (56センチメートル) しかありません。

10メートルどころか1メートルにも遠く及ばず、ワニにも全く似ていないことから既知生物に候補になるようなものは皆無です。

ということは実話の可能性あり?

そう思うもよし、、、いややはり常識的に考えてガセと思うもよし。

ちなみにこのUMA、インターネットミームの産物ではなく、オハイオの地方紙、シンシナティ・エンクワイラー紙が1882年5 月29日号で報じたものです。