■マダガスカルの巨鳥 ~ ヴォロンパトラ
今回はヴォロンパトラ (ボロンパトラ, ヴォロムパトラ, Vorompatra)。
マダガスカルで目撃される飛べない巨鳥系のUMAです。
マダガスカルの巨鳥系のUMAといえばロック鳥 (Roc) が有名ですが、こちらは飛翔系、しかも完全な民間伝承上の生物で目撃があったわけではなく、実在する (した) 生物とは考えられていません。
ヴォロンパトラはマダガスカル語で「沼地の鳥 (巨鳥)」を意味し、その名の通り湿地帯での目撃が多い巨鳥です。
フランス人入植者が母国に伝えたことでその存在が知れ渡り、特に17~19世紀半ばぐらいまで目撃があり、「ヴォロンパトラの卵」と伝えられる巨大な卵も報告されています。。
現在でも少ないながら目撃情報が続いているといいます。
(エピオルニスの全身骨格)
(original image credit by Wikicommons)
マダガスカルには巨大な走鳥類 (平胸類)、エピオルニス (Aepyornis) が棲息ていたことからヴォロンパトラの正体は当然のようにエピオルニスの生き残りと考えられています。
エピオルニスはとにかく重く、「史上最も背の高い鳥」という勲章こそ最大身長4メートルのジャイアント・モア (Dinornis maximus) に譲るものの、モアより (最大300キロ) も遥かに重く600キロ (最大個体は1トンを超える説もあり) にも達しました。
また、モアよりも背は低いといっても大きな個体は3メートルに達し、その卵は巨大で最大のものは直径25センチ、高さ40センチ、殻の厚さ4ミリ、重さは10キロもありました。
(エピオルニスの卵。ダチョウの卵が鶏卵に見えます)
(image credit by Wikicommons)
エピオルニス科 (Aepyornithidae) にはいくつかの属があり、その中のヴォロンベ属の最大種ヴォロンベ・ティタン (Vorombe titan) は体重700~800キロと推測されています。
しかし、DNAの分析からエピオルニス属の最大種、エピオルニス・マクシムス (Aepyornis maximus) と遺伝的に差異が見られずエピオルニスに再分類されるかもしれません。
まあいずれにしてもエピオルニス科はすべてマダガスカル島に棲息していたので、今後の分類がどうなるかはともかくヴォロンパトラの正体はエピオルニス科のいずれかに違いありません。
ただし、おそらく現在から1000年ほど前には人類により滅ぼされていると考えられており、19世紀まで生き残っていたとしても大変なことです。
先にエピオルニス科にはいくつかの属があると書きましたが、この中の最小種、ムレロルニス属 (Mullerornis) のムレロルニス・モデストゥス (Mullerornis modestus) は身長1.5メートル、体重90キロしかありませんでした。
そこで、未確認動物学者ロイ・P. マッカル (Roy P. Mackal) 博士はヴォロンパトラの正体にこのムレロルニスを挙げています、というのもこれぐらいの大きさであればなんとか発見されずにマダガスカルに生き残っているかも?という淡い期待からです。
但し、当然のことながら体が小さいと卵も小さくなり、ムレロルニスの卵はエピオルニスの1/10以下である1キロ未満、「ヴォロンパトラは卵も巨大だった」という19世紀までの証言とはずれてしまうところがちょっぴり難点です。
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