知覚しているこの世界は仮想空間 (仮想現実) であるという説・主張があり、それなりに多くの支持者もいます。
そんなわけあるかい!と思う人も多いかもしれませんが実は感情論で一蹴できるほど簡単なものではないんですね。
とはいえこの世界が仮想空間であるかどうかの真偽を検証するのは非常に難しく現時点では確かめようもないことから否定も肯定もしません。
いやいや、デカルトだか誰だかが自分の存在は否定できないとかそんな感じのこと言っとったぞ!という人もいるかもしれません。
「我思う、ゆえに我あり」
思考している自身の存在は確かかもしれませんが、自分が見たり聞いたりしている知覚までもが現実かはまた別の話です。
哲学者ヒラリー・パトナムの唱えた「水槽の脳」はその顕著な例です。
(ヒラリー・パトナムの「水槽の脳」理論、自分が感じている「現実」は実は水槽に浮かべられコンピュータに繋げられたあなたの脳がただコンピュータによって夢を見させられているだけかもしれない?)
(image credit by Wikicommons)
仮想空間に生きている説を唱える派は、現在の科学で説明できないような状況、つまり (現在知りえる) 物理法則から外れたシチュエーションに遭遇したと主張する人々が存在するのは仮想空間に我々がいる証拠のひとつと考えます。
夢の中ではあり得ない (物理の法則を無視した) 動きができますが、それが現実世界でも起こった、と考えれば分かりやすいかと思います。
そういった説明のできない「現実」はパソコン内での想定しえない不具合、つまりバグと同様であり、英語で「グリッチ・イン・ザ・マトリックス (Glitch in the Matrix)」と呼ばれます。
グリッチ・イン・ザ・マトリックスは直訳すると「仮想現実 (マトリックス) での不具合 (グリッチ)」の意です。
グリッチ・イン・ザ・マトリックスが現世を仮想空間であるという証拠とするにはさすがに飛躍しすぎですがフィクションとしてはとても興味深いです。
つい先日記事にした「古着屋で買ったシューズが一晩で増殖? ~ 靴のドッペルゲンガー」もその例のひとつといえます。
さて相変わらず前置きが長くなってしまいました。
今回の舞台はアメリカ、イリノイ州のシカゴにあるメイシーズ (アメリカの老舗かつ大手百貨店)。
今回紹介するのはとってもとってもシンプルなマトリックス・グリッチ。
ある女性がシカゴのマーシャル・フィールド・ビルにあるメイシーズを訪れました。
目的のお店はどこにあるのかと店員に尋ねるとそれは5F (最上階) だと告げられ、彼女はエスカレーターで5Fに向かいます。
2F、、、3F、、、4F、、、5F、、、到着
しかしフロア内をいくら歩けど歩けどそのお店が見つかりません。
店員が誤ったフロアを紹介したのかな?
彼女が1Fで尋ねた店員は入ったばかりの新人さんだったかもしれませんし、もしかするとベテラン店員だったにも関わらず考え事か何かをしていたせいで間違ったフロアを紹介してしまったのかもしれません。
彼女はこのフロア (最上階) に目的のお店はない、と確信しました。
仕方ない、自分で他のフロアを探そうと下りのエスカレーターを探しますが見つかりません。
最上階にいるのに「上り」のエスカレーターしかないのです。
???
ホラー映画さながら建物に捕らえられてしまったのでしょうか?
しかしフロア内を行きかう人々にそんな焦りは感じられません。
彼女は店員をつかまえ尋ねます、下りのエスカレーターはどこにあるの?と。
店員の口からは思いがけない言葉が返ってきました。
「ここは地下一階です」
そんなバカな、彼女は「上り」のエスカレーターに乗り5階からさらに上へと向かいました。
、、、6F、、、到着
そう、ここは存在しないはずの6F、、、異次元に迷い込んでしまったのか?
しかし彼女が辿り着いたそこはまさしくメイシーズの1Fでした。
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