■魔獣『長い耳を持つもの』 ~ フッチコ・チョプコ (フヴッコ・カプコ)
今回は日本ではたぶんフヴッコ・カプコで知られるフッチコ・チョプコー (Hvcko Capko)。
フッチコ・チョプコーは、アメリカ、フロリダ州とオクラホマ州地域に住む先住民族セミノール族 (Seminole) に伝わる伝説の野獣です。
伝説、いわゆる民間伝承上の生物といっても突飛な生物ではありません。
フッチコ・チョプコーはハイイロオオカミ (Canis lupus) に似ており、「フッチコ・チョプコー」とはセミノール族の言葉で「長い耳 (をもつもの)」を意味するといいます。
但しオオカミよりも大きく、その大きさはロバ程もあり、非常に毛深く尾は馬に似ているといいます。
また耐えがたい悪臭を放ちその存在は伝説上、疫病の源とみなされ、出遭ったものは病気になるといいます。
それではこの魔獣がなんなのか考えてみましょう。
さて、その正体としてはもちろん大きな個体のオオカミとなるでしょうが、オオカミを見て一度たりとも「長い耳」を持つ生き物だなぁ、なんて思ったことはなく、名前の由来だけ聞くと少し疑問ではあります。
「耳が長い」と認識できるのはウサギのように長い耳を立てているか、例えばバセットハウンドのように長い耳を垂らしているかのいずれかです。
オオカミはどちらでもありません。
オオカミに似ているということから、やはり大型犬で耳が垂れたタイプ、身近なところではレトリバーのような大型犬のもっと耳が大きい犬種を想像してしまいます。
このタイプの可能性が高そうですが、個人的にはロバそのものを誤認したのではないかと推測します。
ロバは15世紀末には植民地支配を狙ったヨーロッパ人によって北米に持ち込まれておりその歴史は長く、多くの部族にとってもそこまで見慣れない生物ではなかったと推測できます。
とはいえ、繁殖し北米中に増えていくにはそれなりに時間がかかったと思われ、まだ見慣れない期間、かつ野生化したロバが皮膚病等、実際に病気に罹った状態を見れば魔獣とみなされても不思議ではありません。
病気に罹ったロバ見すぼらしく不衛生であり、興味本位で触れたものは実際に病気を移される可能性もあります。
またなんといってもこのUMAの名前の由来となったフッチコ・チョプコーの「長い耳」はロバのトレードマークです。
馬は耳が長いですが、ロバは小柄なうえに耳は大型のウマほどもあり相対的に非常に耳が大きく (長く) 見えます。
日本だけの独自な呼び方ではありますが、ロバのことを「ウサギウマ」と呼ぶこともあります。
こういったことからオオカミ説に加え、ロバ説も推していきたいと思います。
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