■前足1本、後ろ足1本、2本足の奇獣 ~ トカントンゴトラ
今回はトカントンゴトラ (Tokantongotra)。
UMAは未確認なため、大きさや姿は目撃者によってまちまちであり、捉えどころのないものが多いですが、トカントンゴトラはそれに加え情報が錯綜しており、UMAの中でも特にその姿を捉えづらいです。
さてトカントンゴトラを見ていきましょう。
とその前に、このUMAには大きなふたつの疑問があります。
まずトカントンゴトラはトカンディア (Tokandia) と同一かどうかというのがまずひとつ。
そしてふたつめが四足歩行する動物か二足歩行の獣人か、というものです。
このふたつの疑問は複雑に入り混じっており、トカンディアは一般的に大型の獣人、一方、トカントンゴトラはウシ、ウマのような四足歩行する動物であるものと二足歩行の獣人タイプとにわけられます。
トカントンゴトラの獣人タイプの話を読む限り、トカンディアと同一のように思われます。
しかし四足歩行タイプの動物と解釈している場合、当然ですがトカンディアとは全く姿が異なります。
個人的にはトカントンゴトラとトカンディアは同一、かつ獣人ではないかと本記事執筆時では判断しています。
四足歩行タイプのものはどうも、同じくマダガスカルの民間伝承上の生物、ソンゴンビー (Songomby) あたりと似ており、トカンディアとソンゴンビーが混同され、ミックスされたのがトカントンゴトラのように感じるからです。
今回はトカントンゴトラとトカンディアを同一の生物とみなし、かつ獣人として扱うことにします。(あと見解は変わるかもしれません)
ちなみにソンゴンビーは疾風のように素早いウシ (もしくはウマ) に似た生物で、人肉を好んで喰うといわれている怪物です。
それではトカントンゴトラ/トカンディアを見ていきましょう。
トカントンゴトラはマダガスカル語で「1本足」という意味で、これは前後肢が各1本ずつ合計2本と解釈されています。
しかしこれは欧米人による誤った解釈 (誤訳) ともいわれ「1本足」ではなく「(分かれていない) 1つの蹄 (ひづめ)」を意味し、実際には前後肢共に1対2本、つまり通常の四肢動物ではないかといわれています。
まあふつうの四肢動物と解釈するとパラノーマル感は薄れてしまいましたが、実在する可能性はグッと増すのでこれはこれで良しとしましょう。
尚、非現実的ながら、前後肢1本ずつ説をそのまま推す説もあり、必ずしも誤訳とは限りません。
さて、四肢動物だとして、トカントンゴトラは一体どのような姿をしているのか、というと全身真っ白の巨大な獣人です。
獣人であれば霊長類的、マダガスカルという土地柄を考えれば、これはもはやキツネザル一本に絞って間違いなし。
しかも真っ白ではないですが、白黒ツートンの現生種最大種のキツネザル、インドリ (Indri indri) はまさに大きさカラーリングもほぼ一致、決まり?
しかしどうやらトカントンゴトラはインドリよりもはるかに大きく、驚いたことに俊敏で特にジャンプが得意だというのです。
これはもう、同じくマダガスカルの獣人、トゥラトゥラトゥラトゥラ瓜二つです。
しかし、トカントンゴトラとトゥラトゥラトゥラトゥラは異なる生物だといいます。
1930年代、アンダシベ・マンタディア国立公園でハンティングをしていたフランス人森林官アンドロー (Andrault) 氏が至近距離で目撃したトゥラトゥラトゥラトゥラは、それはインドリと同じ白と黒のツートンカラーでした。
しかしインドリよりも遥かに大きく体のつくりもがっしりとしており、かつここがポイントで、顔がインドリよりも類人的 (人間に近く平面的) であったという証言があります。
但し、そうはいってもアンドローはキツネザル以外の霊長類とは思っておらず、未知の霊長類と認識していたといいます。
一方、今回紹介しているトカントンゴトラは体色が白一色、吻 (ふん) は付き出ておりトゥラトゥラトゥラトゥラとは明らかに区別できると主張されています。
とはいえ、両者がこれだけ似ているとその正体もトゥラトゥラトゥラトゥラと同じく大型のキツネザルの絶滅種、メガラダピス (Megaladapis) が候補に挙がっています。
本ブログではメガラダピスではなく、やはりパレオプロピテクス (Palaeopropithecus) を推しましょう。
上記のメガラダピスより小柄なものの、それでも最大種のパレオプロピテクス・マキシムス (Palaeopropithecus maximus) であれば体長1メートル、体重55キロに達し、インドリよりはかなり大きいです (インドリは最大個体でも70センチ、15キロ程度、通常9キロ)。
大きさ的に魅力は落ちるものの、17世紀まで生きていた可能性が示唆されており、俊敏さや跳躍能力はあまり期待できませんが、インドリより大きくかつ生き残っている可能性が若干ながら他の絶滅種よりも高い、という点で期待したいところです。
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