■最高級のモンスター・チキン ~ ドン・タオ・チキン (ドンタオ鶏)
あまり紹介していませんが意外なことにニワトリ系のUMAは少なくありません。
スペインのギャロ・デ・ラ・ムエルテ (Gallo de la Muerte)、チェルノブイリのマンモス・チキン、イタリアのポロ・マリーニョ (Pollo Maligno「邪悪な鶏」)、ドイツのエルヴェトリッチ (Elwetritsch) 等々。
そんな中、今回は巨大な足を持つというニワトリ、ベトナムの「ドン・タオ・チキン (Dong Tao chicken,ドンタオ鶏)」の紹介です。
実はこのニワトリ、正真正銘の実在するニワトリであってUMAではありませんが、その姿はUMAに勝るとも劣らない強烈なルックスです。
コアイチャウ県 (Khoai Chau) のドン・タオ (Dong Tao) 地区を原産とするためこの名で呼ばれますが、そのドラゴンを彷彿とさせる極太の足から一般的にドラゴン・チキン (Dragon chicken) やドラゴン・レッグス (Dragon legs) と呼ばれます。
この足は若鶏のことからすでにぶっといのが特徴です。
存在を知らず写真だけ見ればミュータント (突然変異) やUMAと勘違いされてもおかしくありません。
見慣れない姿に少々グロく感じる可能性すらありますが、かつてドン・タオ・チキンの肉は王族のみ食すことを許されたという超高級珍味です。
高級たるゆえんは味もさることながらその希少性です。
その堂々たる体躯とは対照的に非常にデリケートな体質ゆえ飼育には手間がかかり、また成長も遅く出荷までに非常に時間がかかります。
もともと産卵数も少なく1年で60個以下、足が太く抱卵 (ほうらん) に適しておらず、孵化もインキュベーター (孵卵器) の力を借りるのが一般的です。
一般的なニワトリは1ヶ月~1ヶ月半程度での出荷が可能ですが、ドン・タオ・チキンは出荷できる体重 (3~5キロ) に達するまで最低でも8ヶ月かかり、多くは1年程度を要するといいます。
しかもその長い飼育期間、気温の変化に敏感であることから、その飼育環境は常に暖かく保つ必要があります。
手間も暇もコストも一般的なニワトリとは比べものになりません。
これだけの手間暇をかけてまで飼育する価値があるのか?という疑問も浮かぶかもしれませんが、結論を先に言えば十分にあると言えます。
ドン・タオ・チキンは世界最高の家禽との呼び声も高く、特に足が太く見栄えの良い雄鶏は1キログラム当たり600万ドン (約28000円) もするため、体重6キロのオスでであれば1羽168000円もするということになります。
1羽、約17万円ですよ!
さらにベトナムの旧正月テトの時期ともなればさらに取引価格が跳ね上がるといいます。
まさにこれは希少性のなせる技です。
とはいえ現在ではドン・タオ・チキンの養禽技術も確立されてきており、以前よりも入手しやすくなってきているといいます。
(ドン・タオ・チキン料理)
(image credit by VOV5)
しかし買うなり貰うなり、何らかの方法でドン・タオ・チキンを手に入れれば、誰しも美味しいドン・タオ鶏料理を堪能できるかというと、そうでもないらしいのです。
というのもドン・タオ・チキンは通常の鶏肉と比べ固く、ふだんの鶏肉を扱うような調理方法ではその旨味を十分に引き出せないといわれているからです。
希少性に加えその扱いも厄介、ドン・タオ・チキンが伝説的になるわけです。
ドン・タオで30年以上もドン・タオ・チキン料理を供しているレストラン「ヴァン・ハン (Van Hanh)」の支配人ハン氏は語ります。
「この鶏の皮はとても分厚いんです。
ですから調理方法を知らずして美味しいドン・タオ・チキン料理を作ることは不可能なんです。
とにかく難しい。
その点、わたしは代々伝わる秘伝のレシピを受け継いでおり、そこにわたしの経験も加わります。
ドン・タオ・チキンの肉は通常の鶏肉と比べより噛みごたえがあり、よりパリパリしていて、より甘みがあります。
個人的には特にこの鶏の皮の部分が好きなんです。
わたしはドン・タオ出身ですからこの鶏の独特の味をより多くの人に味わってもらいたいと思っています」
(参照サイト)
BAO ANH VIET NAM
VOV5.VN
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