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2025年6月4日水曜日

19世紀、大砲で仕留めた超巨大爬虫類 ~ スカンク川の怪物


■19世紀、大砲で仕留めた超巨大爬虫類 ~ スカンク川の怪物

今回はスカンク川の怪物 (Skunk River monster)。

まず怪物の前に、スカンク川という名前が気になってしまうでしょう。

この川はアメリカのアイオワ州にある川で、「スカンク」とはあの動物のスカンクです。

といってもこれは英語に訳した時に誤訳したものと考えられています。

もともと地元のネイティブたちがこの川をシェカクア (Shecaqua) と呼んでおり、シェカクアとは玉ねぎのような強く不快な臭いを放つものを指す言葉で、実際、この川の源流には玉ねぎが多く自生しておりそれが名前の由来だったようです。

つまりは英語に直す時に「悪臭を放つもの」という意味で「スカンク」と訳されてしまったものの、本来、ネイティブたちの語法から行くと「シェカクア = 玉ねぎ」であり「オニオン川」と名付けるべき川だったということです。

まああまり日本では有名な川ではありませんが、日本であればそこそこの長さを誇り全長150キロメートル、日本だと栃木県と茨城県に跨る那珂川 (なかがわ) と同程度、日本の河川の延長ランキングで20位にランクインします。


さて川の話はこれぐらいにして、本題のUMA、スカンク川の怪物の話に入りましょう。
スカンク川の怪物は1884年のニュートン・ヘラルド紙に掲載された未確認生物で、これを皮切りにオスカルーサ・ウィークリー・ヘラルド紙をはじめ多くの新聞に取り上げられ知名度を爆発的に上げていくことになります。

怪物はミシシッピ川を100マイル (約160キロメートル) も遡上しオスカルーサ近郊のスカンク川 (正式にはサウス・スカンク川) に侵入したと推測されました。

初めの犠牲者は農夫ジェームズ・ライト氏が所有する家畜のブタでした。

1884年11月14日、所有する100匹ほどのブタの中でも特に大きいブタが忽然と姿を消しました。

しかしブタたちは頑丈な柵で囲われており、破損している箇所もなかったため、ただ忽然と姿を消したミステリーでした。

そして翌日、またもブタが1頭消えました。

最初の時と同じ、柵のいかなる箇所も破損しておらず、ブタたちが柵の外へ出る方法はないため、ブタは空気中に吸い込まれ消えてしまったかのようでした。

ライト氏はこの奇妙な財産の損失を望んでいませんでしたが、この日以降も毎日ブタの消失は繰り返されました。

そしてななんら消えた痕跡を残さないのも共通していました。

12月4日、最初のブタの喪失から20日、合計20頭のブタが行方不明となりました。

ついにライト氏はこの真冬の夜にその犯人を突き止めようと、ブタたちを夜通し見張ることを決心します。

ランタンとライフル、そして愛犬のブルドッグと共に見張りを始めましたが特に変わったことは何も起こりませんでした。

ライト氏が眠気と寒さと戦っているその時、農場から130フィート (約40メートル) 離れたスカンク川から大きな水しぶきが上がる音が聞こえましたが、疲労困憊のライト氏はその水しぶきにもあまり興味を示すことはありませんでした。

やがてライト氏もそして愛犬も眠ってしまったといいます。

そして朝日が昇り始めるころ、再びスカンク川から大きな水しぶきの音が聞こえてきました。

今度の水しぶきの音はライト氏も愛犬も無視できるようなものではありませんでした。

ライト氏が川の方へ眼を向けると、今まで見たこともない長い首を持つ巨大な生物が川からゆっくりと這い上がってくるところでした。

その生物はその存在を悟られないように非常に緩慢とした動きでライト氏の農場へと近づいていきました。

ブタたちの中にその怪物の接近を気付くものは1頭もいませんでした。

ブタたちの柵から数フィートまで近づくと怪物はゆっくりと後肢二本で立ち上がり、まるで品定めでもしているかのように長い首を柵の内部の上方で静止させました。

しばしの静寂。

狙いが定まったのでしょう、突如怪物はその長い首を地面に向けて始動させ、300ポンド (約135キログラム) はあろうかというブタに嚙みつき持ち上げると、まるで農場へ来た時のビデオを巻き戻してみているかのようにに、元来た道を後ずさりしながらゆっくりと戻っていきました。

怪物の口に捕らえられたブタは、気絶したか死んでしまったのか、ぐったりしていました。

ライト氏はこの一連の出来事を即座に当局に伝えると、話は町中に広がり大変な騒ぎとなりました。

とんだホラ話だと嘲笑する人々もいましたが、ライト氏のふだんの性格であったり真剣な話しぶりに信用する人も多く、結局は武装した100人ほどのモンスターハンターたちが終結することとなりました。

彼らはスカンク川に着くと怪物探索をはじめましたがなかなか発見できず、探し始めて2時間もすると、やはりライト氏のホラ話だったか?と疑う人も出てきました。

しかしその時、広く散らばって探索を続けていた男たちでしたが、ライト氏の農場から1マイル (約1.6キロメートル) 離れた地点を探索していた人物から川を泳ぐ謎の巨大生物の背中を発見したとの一報が入りました。

一報を受け、モンスターハンターたちは集結し、泳ぐ怪物の背中に向かってライフルの弾丸を無数に浴びせました。

怪物は驚いたようですが、その分厚い皮膚に弾丸は阻まれ、逃げるどころか男たちがいる川岸へ向かって方向転換しました。

しかしその速度はとてもゆっくり、しかも見えるのは背中だけ、その怪物との実際の距離は測れず、モンスターハンターたちの中には今目の前で起きていることをうまく把握できないものもいました。。

突如怪物は長い首を水面から表すと、信じられないような俊敏さで馬に乗ったひとりの男に咬みつこうとしました。

間一髪、乗っていた男は近くの男性の力を借り下馬することに成功しましたが、ウマは怪物の餌食となり、あっという間に川の中へと引きずり込まれました。

ウマを咥えた怪物はそのまま水中に没しましたが、男たちは遊泳時に生じる軌跡で怪物の位置を把握し、再度ライフルの弾丸をありったけ浴びせましたが、先ほどと同様、怪物を傷つけることはできずそのまま泳ぎ去っていきました。

怪物にまんまと逃げられた男たちは手持ちの武器では役に立たないと悟り、南北戦争で砲兵隊を率いた経験を持つウィルバー大尉に相談すると、怪物を大砲で仕留める案が提案されました。

その日の16時に再び男たちは終結、スカンク川の川岸に大砲を設置し怪物の出現を待ちました。

男たちはウィルバー大尉の指示で怪物に警戒されないように川岸から離れた位置で待機していました。

すると、17時20分、ついにまたあの怪物が現れました。

見えるのは背中だけ、ゆっくりと遊泳していましたが、その怪物は人間たちの存在に気付かず、上陸を始めました。

そして大砲の射撃圏内に入ったことをウィルバー大尉は確認すると、砲撃手に発砲を指示、大砲が火を放つと見ごと怪物に命中!

怪物は悲鳴を上げもんどりうって転がり、やがて動かなくなりました。

怪物の正確な記録を採るためにハンツマン博士アル・スワルムという名の人物が現場に呼ばれ、計測しました。

全体の印象は現生の爬虫類と似ていましたが、その大きさはとてつもないものでした。

全長81フィート (約25メートル)、頭部と首の長さが21フィート (約6.3メートル)、前肢と後肢の間は40フィート (約12メートル)、歯の長さは17.5インチ (約44センチメートル)。

銃弾を跳ね返した皮膚は予想通り信じられないほど分厚く、暗灰色の鱗で覆われていました。

怪物の皮は剥がされ剥製にされ、そして骨格はフィラデルフィアの自然科学アカデミーに送られ骨格標本を作製される計画がなされました。

オスカルーサはこの歴史に残るであろう「サウススカンク川の戦い」の戦利品として、この剥製と骨格標本を町に展示する予定でした。

しかし、、、

今現在、オスカルーサにはこの予定された戦利品の展示物は存在しません。

19世紀初頭から、各新聞社は人々を惹きつけるため、時には作家を雇いこういった「魅力的な怪物」の記事を「捏造 (創造?)」することはわりと茶飯事だったともいいます。

だからといってそのすべてが捏造と決めつけることはできません。

が、もし気になる点があるとすれば、この怪物の死骸を調査したハンツマン博士ともうひとりの人物、アル・スワルム氏は科学者でもなければ博士の助手ですらなく、その正体はオスカルーサ・ウィークリー・ヘラルド紙の共同編集者であり、かつイタズラ好きの仕掛け人だったということを付け加えておきましょうか。

(参照サイト)
The Pine Barrens Institute








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