今回はアベコベガエル (Pseudis paradoxa)。
和名も変わっていますが、英名も不思議で、パラドクシカル・フロッグ (Paradoxical frog「矛盾したカエル」)とか シュリンキング・フロッグ(shrinking frog「縮むカエル」) と呼ばれます。
アベコベガエルが生息するのはベネズエラ、コロンビア、アルゼンチン等々、南米全域で見られます。
アベコベガエルの最大の特徴は幼生時代、つまりオタマジャクシが「超」巨大であることです。
世界最大のゴライアスガエル (Conraua goliath)、成体のサイズは30センチを超す「カエル界の巨人 (goliath)」ですが、誕生時のオタマジャクシの大きさは平均サイズ以下。
そんじょそこらのオタマとは成長力が違う!と思いきや、約3ヶ月近い長い成長期間を経てもせいぜい5センチ程度にしかなりません。
ゴライアスガエルの本格的な成長はカエルに変態してからのようです。
むしろオタマジャクシ界のライバルはアメリカウシガエル (Lithobates catesbeianus) の14センチや、ヘルメットガエル (Calyptocephalella gayi) の15センチでしょう。
(平均を遥かにオーバーサイズしたアメリカウシガエルのオタマジャクシ)
(image credit by Earyn McGee/SWRS/The Frog Conservation Project/Live Science)
ちょっと横道にそれますが、2018年にアメリカ、アリゾナ州のとある池で発見されたアメリカウシガエルのオタマジャクシは20センチを遥かに上回りました。
爬虫類学者のアーリン・マギー (Earyn McGee) 博士によれば、この巨大なオタマジャクシはホルモンバランスの不均衡がもたらしたものと推測します。
アーリン博士が見た中でももっとも巨大なオタマジャクシだそうで、かれを「ゴリアテ (Goliath)」というニックネームで呼んでいます。
ゴリアテは相対的にこの個体より小柄なオタマジャクシよりエサを享受できる可能性が高く生存競争において有利に働く可能性があるといいます。
一方、このままさらに成長し続けた場合、呼吸器系・循環器系がこのオーバーサイズした身体を維持できなくなる可能性を秘めており、諸刃の剣といったところだそうです。
さて話をアベコベガエルに戻しましょう。
アベコベガエルのオタマジャクシは上記のアメリカウシガエルのそれとは違い、ホルモン異常など起こさずとも20センチを超える巨体、中には25~27センチ程度まで成長する個体も存在します。
(ふつうサイズになってしまったアベコベガエル)
(iamge credit by Hugo Claessen)
しかし、上記に記した英名の通り、成長し大人になる (変態する) とシュリンク (縮み) するというパラドクシカル (矛盾する) カエルで、3~7センチと普通サイズのカエルになってしまいます。
オタマジャクシ時代の1/4以下のサイズです。
泳いでいる姿はまるでナマズのような巨体のオタマジャクシ、それが大人になると小柄なカエルに変貌してしまう不思議な不思議なカエルです。
(参照サイト)
Live Science
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(関連記事)
■ 武漢の巨大ヒキガエル ~ ウーハン・トード
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