■頭が固い32センチの巨大ガエル ~ ヘルメットガエル
世界最大のカエルは?
動物に詳しいみなさんであれば即座にゴライアスガエル (Conraua goliath) の名が挙がることでしょう。
では2番目は?3番目は?
富士山が日本でもっとも高い山であることは日本人であれば誰でも知っていることですが、これが2番目に高い山 (北岳) となると途端に知名度が下がります。
これと似たようなものです。
実は南米にもゴライアスガエルに引けを取らないほど巨大なカエルが生息しています、ヘルメットガエル (Calyptocephalella gayi) です。
(ヘルメットガエル)
ヘルメットガエルはチリ中央の一部の地域にのみ生息する固有種で、英語ではヘルメッティド・ウォーター・トード (helmeted water toad 「ヘルメット (を被った) ミズヒキガエル」の意) と呼ばれます。
頭骨が非常に頑丈でまるでヘルメットを被っているようだからこの名があるといいます。
さてゴライアスガエルの最大クラスとなると体長は32~34センチ、後肢を伸ばすと80センチ、3.3キロととてつもなく巨大なカエルです。
もちろんすべての個体がここまで大きくなるわけではありませんが、成体の体長・体重の平均では世界最大です。
実は一発勝負ならゴライアスガエルと互角のサイズを誇るヘルメットガエルも存在していました。
その個体はゴライアスガエルと同等の体長32センチ、体重も3キロ超えの超巨大なヘルメットガエルでした。
ヘルメットガエルは雌雄の差が大きく (性的二型)、メスがとても大きくなるため上記の個体ももちろんメスの記録です。
しかし通常は大きな個体でも1キロ程度までしか成長しません。
成長は遅く性成熟するまでに2年以上かかるため繁殖力は高くありません。
その代わりと言ってはなんですが非常に長命で24歳での産卵記録もあります。
オタマジャクシも巨大で15センチ、30グラムにまで成長します。
ヘルメットガエルは非常に獰猛なことで知られ、通常は昆虫などの節足動物を主食としますが、小型のものであれば魚類、両生類はおろか、爬虫類や鳥類、哺乳類と脊椎動物全般を捕食します。
といっても無敵ではありません。
世界各地で両生類を蝕 (むしば) むカエルツボカビ症、生息地への生活排水の流入、さらにゲームフィッシング用にアメリカから導入されたトラウト類たちに生息地を追われ、急激に数を減らしています。
しかしトドメはやはり人間。
チリではヘルメットガエルの肉が人気なのですが野生の個体は捕獲が禁止されているため養殖が行われています。
が、なにせ上記の通り成長速度が遅く出荷に2~3年もかかることからコスト面から養殖業は割に合わないのでしょう、結局は密猟が公然と行われており絶滅街道まっしぐらという悲しい現実です。
(参照サイト)
SCIENTIFC AMERICAN
そういえば化石種で大型のヘルメットガエルの肋骨?が見つかっていますね。
返信削除https://www.academia.edu/23173113/Evidence_of_a_giant_helmeted_frog_Australobatrachia_Calyptocephalellidae_from_Eocene_levels_of_the_Magallanes_Basin_southernmost_Chile
ベールゼブフォの大きさを超えるとも言われています。
あとはヒキガエル級のアマガエルEtnabatrachusなんてのもいたり。
旧サイトのベールゼブフォの記事を見ていて今回はこれにしよっかなと思いつつ、ヘルメットガエルにしたんですがヘルメットガエルよりでかいの見つかっていたんですね、そのうち取り上げたいと思います。
返信削除ありがとうございます。