かつてヨーロッパではドラゴンの幼生 (Dragon larva) と考えられた生物、オルム (Proteus anguinus / olm)。
英名をケイブ・サラマンダー (Cave salamander)、和名のホライモリから分かるとおり、洞窟に生息する両生類です。
かつてドラゴンは地球の地下深くに生息していると信じられていた時代、洞窟内で発見されたオルムはそれを実証する存在と考えられたこともありました。
(オルム)
体型は、同じ両生類のメキシコサラマンダー (日本ではウーパールーパー) とサイレンの中間的な姿をしていますが、頭部が非常に長いことから「ドラゴン」を彷彿させます。
オルムはヨーロッパのアドリア海に面したごく一部の地域の洞窟にしか生息しない希少種です。
体長は30センチ程度、ややピンクがかった白い体色でですが、環境によっては黒っぽい個体も存在します。
暗黒の洞窟生活に特化しており、成体は目が退化し皮膚に埋もれてしまいますが、人口環境下で育てると目のパッチリとしたオルムに成長するそうです。
ただし、いくら目がパッチリに育ってもほとんど機能していないとか。
洞窟内の冷たい水 (10度以下) に生息することもあり代謝がゆっくりなため、最大で100年という長寿命です。
この不活発な代謝は安定した食事の確保が難しい洞窟内で威力を発揮し、10年という信じられないほど長い絶食期間にも耐えられます。
寿命も長く絶食にも強いとなればオルムの未来は安泰、といいたいところですが、性成熟に10~15年という長い期間を要する上、ちょっとした環境変化にも脆弱なため、絶滅を危惧されている動物のひとつです。
(参照サイト)
The Olm
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