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2020年4月13日月曜日

全財産投げうっての捕獲作戦も失敗、伝説の巨大亀 ~ ビースト・オブ・バスコ (オスカー)


■幾度の捕獲作戦も失敗、伝説の巨大亀 ~ ビースト・オブ・バスコ

アメリカ、インディアナ州のチュルバスコ (Churubusco) では毎年6月になるとタートル・デイズ (Turtle Days Festival) というフェスティバルが行われます。

今年 (2020年) で71回目、タートル・デイズの名前の通り「亀」を祝うお祭りで、カーニバルやパレード、ミスコン、花火大会、亀のレース等々、4日間に渡って大々的に行われます。

なにを隠そうこのフェスティバル、実はUMAの巨大亀を祝っているのです。

それは今から100年以上も昔の1898年に遡ります。

オスカー・ファルク (Oscar Fulk) なる農民がチュルバスコの湖で巨大なカメに遭遇します。

ファルク氏は絶滅した先史時代の巨大亀に遭遇したと主張しました。

(スチュペンデミス・ゲオグラフィクス)
(original image credit by Jaime Chirinos)

(4メートルの巨大亀 ~ スチュペンデミス・ゲオグラフィクスの記事はこちらをどうぞ)

それからちょうど50年後の1948年、オーラ・ブルー (Ora Blue) 氏 とチャーリー・ウィルソン (Charley Wilson) 氏 がファルク氏が遭遇した同じ湖で巨大なカメを目撃します。

二人の証言によればこのカメの大きさは手こぎボートぐらいあったといい、500ポンド (約227キロ) はあっただろうと主張しました。

このときの湖の所有者はゲイル・ハリス (Gale Harris) なる人物でしたが、ハリス氏もまたダイニングルームのテーブル大のカメに遭遇したと主張しました。

この一連の目撃事件はマスコミが取材したことによりアメリカ全土に知れ渡ることとなり、翌年には「ビースト・オブ・バスコ (Beast of Busco)」としてその知名度は世界にまで広がりました。

そしてこのカメは最初の目撃者であるオスカー・ファルク氏にちなみ「オスカー (Oscar)」という愛称で呼ばれるようになりました。

ちなみにオスカーの正体は世界最重量の淡水ガメであるワニガメ (Macrochelys temminckii) と考えられています。

ワニガメの最大公式記録は甲長 (甲羅の長さ) 80センチ、113キロ、非公式なものを含めれば1937年にカンザス州で捕獲された183キロが最重量記録となります。

上記の「500ポンド (約227キロ)」という数字は実際に量ったものではなく、あくまで見た目でそれぐらいあったと主張しているだけですが、非公式記録の183キロが事実であればあながち突拍子もない数字ではありません。

世界中に知れ渡ったオスカーをひと目見ようと、多くの人がそしてマスコミがこの湖にやってきました。

しかしそれと同時に、その大きすぎるカメの目撃情報はあまりに馬鹿げているとハリス氏は嘲笑の的ともなりました。

ハリス氏は酒も煙草もやらない教会に通う敬虔 (けいけん) で実直な人物として有名だったこともあり、嘘つき呼ばわりされることは耐え難い屈辱でした。

そのためハリス氏はオスカーが実在することを証明するために本格的な捕獲作戦に乗り出します。

スタンダードな金網の捕獲作戦に始まり、ダイバーによる湖中の捜索作戦、クジラ用の銛 (もり) での捕獲作戦、ダイナマイト爆破作戦、メスのウミガメを沼に放ちオスカーを引き寄せるセクシーウミガメ誘惑作戦等々、その作戦は徐々にエスカレート、支離滅裂と化していきます。

クジラ用の銛、ダイナマイトの使用から、作戦成功の暁にはオスカーの死亡は確定です、また、オスカーの正体をワニガメと推測しておきながら、ウミガメのメスを用意するあたりに精神的な錯乱も見受けられます。

しかしいずれの作戦も失敗に終わったハリス氏は、ついに全財産を投げ売っての賭けに出ました。

一世一代の大博打。

ハリス氏は最終手段としてテレ東に先立ち「湖の水ぜんぶ抜いちゃいました作戦」という信じられない究極の作戦を実行する決意を固めたのです。

ハリス氏は確信していたのです、湖には巨大ガメ、オスカーが「確実に」存在することを。

であれば湖の水をぜんぶ抜けば必ずヤツはそこに現れるはずです。

しかし、しかし、、、ハリス氏に女神は微笑むことはありませんでした。

作戦の最中、ハリス氏は虫垂炎 (盲腸) で入院、さらに湖の水を排水していたポンプが故障、排水により湖の底が見えるあと一歩というところまで下がった水位もダムの放水により元に戻ってしまい作戦はあえなく失敗、ハリス氏は破産、湖もろともすべての土地を失ってしまいました。

カメの専門家であるラスティ・リード (Rusty Reed) 氏は当時のことを推測しこういいます。

もしオスカーが実在し、伝えられるような500ポンドもあるワニガメだったとしたら、排水の際に浮力を失われ自重で柔らかい湖底の泥にズブズブと沈んでいってしまったのではないかと。

もしかすると喧騒のさなか、オスカーは秘密の地下道を通ってどこか別の湖に行ってしまったのかも、なんて想像する人もいます。

オスカーは実在したのか?そもそもオスカーの正体は本当に大亀だったのか?

それは誰にも分かりません、ただしハリス氏の全財産を投げ売っての数々の捕獲作戦をみれば、かれがその湖で「得体のしれないとてつもないなにか」を見たことだけは確かでしょう。

(参照サイト)
TurtleDays.com
Midwest Guest

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3 件のコメント:

  1. 池の水全部抜くでも亀は基本泥の中だものねえ。

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  2. ハリスがかわいそうでなりません(笑)

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  3. ウミガメのハニートラップはまだしも、ダイナマイトや銛に関しては頭にもカメがいるとしか思えませんね笑

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