2020年3月5日木曜日

謎の類人猿 ~ アメラントロポイデス・ロイシ (モノス)


■謎の類人猿 ~ アメラントロポイデス・ロイシ (モノス)

1917~1920年、南米ベネズエラで油田開発に伴う地質探索中、スイス人地質学者フランソワ・ド・ロワ (François de Loys) 一行はジャングルの奥地でとんでもない生物に遭遇します。

のちに「ド・ロワの類人猿 (De Loys's ape 「ド・ロワズ・エイプ)」として世界に知られることになる、謎の生物です。

ジャングルの奥地、ド・ロワ一行の進路を塞ぐように突如現れた二匹の謎の生物。

折った枝を手に持ち激しく咆哮しながらド・ロワたちを威嚇、ついには排泄物を投げつけてきました。

恐怖を感じたド・ロワはライフルを放つと一匹に弾丸が命中、もう一匹はそのまま森の奥へと逃げていきました。

撃たれた個体はメス、ド・ロワによれば2匹はつがいのように見えたといい、オスをかばってメスが撃たれたということです。

薄暗い森の中のこともあり、撃ち殺した死体を見るまでド・ロワたちはどのような生物なのかはっきり分かっていませんでした。

地面に横たわる謎の生物の死体。

身長4フィート5インチ (約136センチ)、尾のない霊長類、つまりは類人猿。

南米初の類人猿。

腐敗するであろう大型の霊長類の死体と一緒に探索することは不可能であり、ド・ロワは解体する前にこの生物を石油缶に座らせ顎を木の枝で支えると1枚の写真を撮りました。

物的証拠として頭骨のみを塩の入れたリュックに入れると本来の目的である探索を続けることにしました。

しかしド・ロワによれば道すがらモティロン族に襲われ、その際に頭骨は破損・紛失してしまったとのこと。

探索を終えるとド・ロワは謎の霊長類のことなどすっかりと忘れてしまい、写真はアルバムの中で10年近く眠ることになります。

このまま忘れ去られる運命にあった謎の類人猿を「発見」したのはド・ロワの友人にして人類学者ジョルジュ・モンタンドン (Georges Montandon) です。

職業柄、当然ながら霊長類に精通したモンタンドンでしたがこんな生物は見たことがありませんでした。

世紀の大発見!

興奮するモンタンドンは謎の類人猿についてド・ロワからあれこれと詳細な情報を聞き出します。

生息地は南米ベネズエラの奥地、身長は4フィート5インチ、尾はなく歯は32本。

南米で繁栄するクモザルの仲間に似ていますがクモザルにしてはあまりに大きすぎ、そもそも尾がなく32本の歯を持つという点はまさに旧世界の類人猿の特徴

モンタンドンは南米にも未知の類人猿が存在することを確信し、アメラントロポイデス・ロイシ (Ameranthropoides loysi) という学名とともに満を持して学会で発表しました。

種小名のロイシ (loysi) はもちろん発見者であるド・ロワ (De Loys) に敬意を表し献名したものです。

「南米にも類人猿が存在した」「(絶滅した) ピテカントロプスが生存している可能性も考えられる」等々、当時のマスコミはもてはやします。

しかしながら学会での反応は芳しくありません、モンタンドンの発表当初からド・ロワの類人猿ことド・ロワズ・エイプに対し疑いの目を向けられます。

それは単に尾を切り落としたクモザルではないのか?と。

いや、尾を切り落とすまでもありません、正面写真一枚しか無いのですから。

本当に身長が1.36メートルもあるのか?という疑問に、ド・ロワは類人猿を座らせた石油缶の高さが45センチあると反論します。(しかしこれはのちに身長は1メートルに遠く及ばない、という鑑定結果も出ています)

そもそもその写真は本当に南米で撮影されたのか?とまで言われる始末。

ちなみに本来UMAに対して寛容な態度を取る未確認動物学者からも芳しい反応は得られていません。

身長4.5メートルのフロリダ・ジャイアント・ペンギン等、よっぽどなUMAですら擁護の姿勢を崩さないUMAファンの鑑、未確認動物学者アイヴァン・T・サンダーソン (Ivan T. Sanderson) が氏「デ・ロイズ・エイプは未知の類人猿なんかじゃない。大型のクモザルに過ぎない」と一蹴。

同じく未確認動物学者、ローレン・コールマン (Lauren Coleman) 氏はこの謎の類人猿の右側に写っている植物に注目しました。

「この植物はバナナの木ですが、南米にバナナは自生していません。

バナナが存在するとすれば、(バナナの木が持ち込まれた) バナナ・プラントのある人里近いところに限られます。

ド・ロワの主張通り、この類人猿がジャングルの奥地で撮影されたというのであれば、バナナの木は写真に映り込むはずはないのですが」

残念ながらこのド・ロワズ・エイプは海外では完全な「フェイク」と結論付けられています。

そもそも帰国後10年近くもの間この生物について沈黙しておきながら、写真がモンタンドンの目に触れるや、身長1.36メートル、歯の数は32本、尾はなかった等、やけに詳細な数字を含めこの生物のことを語ったことも怪しまれた理由の一つでしょう。

その正体としておそらくはウーリーモンキー (の仲間) と考えられており、ド・ロワがベネズエラで撮影したということを信じればコロンビアウーリーモンキー (Lagothrix lugens) かもしれません。

しかしフェイクだったとしてもただひとつ救いもあります。

ド・ロワズ・エイプの写真は一切の加工を施していない本物の写真であり、この生物が本当に存在したことだけは間違いないということです。

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2 件のコメント:

  1. 15000年前のブラジルには大型のクモザルであるCartelles coimbrafilhoiという種が生息していたようです。
    頭から尾の先まで1.7mに達し、体重は23kgにもなったと考えられています。
    他にもCaipora bambuiorumやProtopithecusなど大型の新世界ザルの化石がいくつか確認されており、モノスがこういった種の生き残りである可能性も否定できないかもしれません。

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  2. これは面白いですね。UMAの醍醐味といえば有史以前の生物の生き残り説が定番ですからね。クモザルで20キロオーバーといえばかなり大きかったでしょうね。

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