2020年1月1日水曜日

シュテラーもうひとつの大発見 ~ ステラーウミザル


■シュテラーもうひとつの大発見 ~ ステラーウミザル

最大で体長9メートル、10トンに達したといわれる巨大なカイギュウ目、ステラーカイギュウ (Hydrodamalis gigas)。

発見したのはこの動物の名に自身の名を冠すドイツの医師にして博物学者ゲオルク・ヴィルヘルム・シュテラー (Georg Wilhelm Steller)。

あれほど大きく見える同じカイギュウ目のジュゴンでも体長3メートル、450キロということから、いかにステラーカイギュウが巨大であったか分かります。

ステラーカイギュウは人類の残酷さを語る上でたびたび引用される動物です。

シュテラーがこの巨大な生物を発見したのが1741年、本国にステラーカイギュウの話を持ち帰るとそのうわさは瞬く間に広がり、毛皮や肉を求め我先にとステラーカイギュウを目指します。

2000頭前後ともともと数の少なかったステラーカイギュウ、乱獲にあえばひとたまりもありません。

シュテラーの発見からわずか27年後の1768年、ステラーカイギュウはあっけなく絶滅してしまいました。

さてシュテラーはいくつかの新種の動物を発見していますが、実はステラーカイギュウを発見した同年、かれの日誌には別な生物の記述がありました、ステラー・シー・エイプ (Steller's sea ape,「ステラーウミザル」の意) です。

ステラー・シー・エイプが目撃されたのは、アラスカ州のシュマージン諸島 (Shumagin Islands) 近海です。

体長は1.5メートルほど、尾に向かって先細りの太った細長い体型、垂れ下がった長い髭を蓄えた頭部は犬に似ており尖った耳をしていました。

四肢はなく、尾ビレはサメのそれのようだったといいます。

その生物は海面に浮かぶ海草をくわえると、それを猿のようにジャグリングする仕草を見せたり、また船の下に潜っては船の左右を行ったり来たりするなど非常に好奇心旺盛だったといいます。

シュテラーはこういった生物の仕草からシー・エイプ (海の猿) と呼んだようです。

シュテラーは2時間ほど十分観察すると、この生物を持ち帰るため撃ち殺そうと何度か試みたものの逃げられてしまいました。

ちなみにステラー・シー・エイプは新種の海生哺乳類としてシミア・マリナ (Simia marina)、シレン・シノセファラ (Siren cynocephala)、トゥリケクス・ヒドロピセクス (Trichechus hydropithecus)、マナトゥス・シミア (Manatus simia) と4度記載を試みられた経緯があります。

ステラー・シー・エイプはその特徴からおそらくはキタオットセイ (Callorhinus ursinus) のことを指している (誤認した) ものと結論付けられています。

しかし生物学者アンドリュー・ターラー (Andrew Thaler) 博士はこの説に異を唱えます。

シュテラーが乗船していたのは、かの有名な冒険家ヴィトゥス・ヨナセン・ベーリング (Vitus Jonassen Bering) 率いる聖ペトロ号

シュテラーとベーリングの関係はもともとあまり良好ではなかったといいます。

医師でもあるシュテラーは次々と壊血病で倒れる船員たちに対する治療案を提案しますが完全に無視され、挙句の果てにベーリング自身も壊血病で病に伏すと、下船して調査したいというシュテラーの願いはすべて却下されるようになります。

シュテラーがステラー・シー・エイプを目撃したのはまさにベーリングとの関係がこじれにこじれたこの頃だったといいます。

ターラー博士はステラー・シー・エイプはシュテラーのたまりにたまった鬱憤が「創造」させたジョーク (または風刺) と考えました。

この生物はなんらかの比喩ではないか?

ステラー・シー・エイプとい名はシュテラーの死後に命名されたもので、もともとシュテラーは日誌に「ダニッシュ・シー・エイプ (Danish Sea Apeデンマークの海猿」の意)」と記していたものです。

とはいえステラー・シー・エイプが目撃されたのはアラスカ近海であり、そもそも聖ペテロ号はデンマーク近海を航行すらしていません。

不思議です、この謎の生物にも、そしてこの航海にもデンマークは無縁のように感じられるからです。

ああ、そういえば、、、聖ペテロ号にただひとりデンマーク生まれの人物が乗船していました、ヴィトゥス・ベーリングです。

(参照サイト)
BeastPedia

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