今回はベガスヒョウガエル。
別にどうでもいいでしょうが、旧サイトで紹介したときと属名が変わっていたので訂正します。
旧サイトではラナ・フィシェリ (Rana fisheri) でしたが2011年、保存されていたサンプルのDNA鑑定により分類の再考があり、リソバテス・フィシェリ (Lithobates fisheri) に変更されたようです。
さてさて1893年、ここはアメリカ、ネバダ州のカジノの都、ラスベガスが建設される前のネバダ砂漠。
この地にある砂と土に囲まれたベガスバレー (Vegas valley) の湧き水から新種のカエルが発見されました、ベガスヒョウガエルです。
体長は5~7センチ超の中型のカエルで、体色はグリーンを基調に黒っぽいヒョウのような斑点があります。
英名はベガス・バレー・レオパード・フロッグ (Vegas valley leopard frog)、直訳すると「ベガスバレーのヒョウがエル」になりますが和名はちょっと短くして上記のようになります。
見た目は既知種のヒョウガエルと変わりなく、多くの人が興味を引くようなカエルではありません。
しかしこのカエル、謎がひとつだけあり、不思議なことにいくら探してもこのカエルの卵が見つからないのです。
たとえば、カメにそっくりなことで有名なタートル・フロッグ (Myobatrachus gouldii, カメガエル) のように砂地に穴を掘って卵を産んでいたとしたら、なかなか見つけるのは困難でしょう。
ちなみに土中に卵を産んだら、出てきたオタマジャクシはどうなるんだ?と心配になりますがそれは問題ありません。
タートル・フロッグの赤ちゃんはオタマジャクシのステージを卵の中で過ごし、卵から出るときは既にカエルになっているからです。
ベガスヒョウガエルも同様なのでしょうか?
実は卵は見つからないものの、湧き水を元気に泳ぎ回るオタマジャクシは確認されています。
つまり土中に卵を産んでいるわけではないようなのです。
卵胎生でお母さんガエルが直接オタマジャクシを産むのでしょうか?
ベガスヒョウガエルに密着し徹底的に調べればこの程度の謎であれば容易に解明できそうなものです。
なぜしないのか?
それは叶わぬ夢だからです。
静かだった砂漠地帯はカジノの都として発展し始めると、生息地域は破壊されかれらは徐々に数を減らしていくことになります。
そして発見からわずか50年、カジノで賑わう喧騒をよそにベガスヒョウガエルは地球上からそっと、そして完全にその姿を消してしまったのです。
(参考文献)
●失われた動物たち(プロジェクトチーム)
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