今回の主役であるオレンジヒキガエル (Bufo periglenes) が発見されたのは1966年と、まだ50年あまりしか経っていません。
英名はゴールデン・トード (golden toad)、直訳すればキンイロヒキガエルとなりますが、別種のカエルにすでにキンイロヒキガエルという和名で割り当てられていたため、こちらはオレンジヒキガエルという和名になった経緯があります。
このように英名と和名がごっちゃになっているため、まれにこちらのオレンジヒキガエルをキンイロヒキガエルと勘違いしてい呼んでいる人もいるようで、めんどくさいことになっています。
さて、このオレンジヒキガエル、英名のゴールデンに恥じない鮮やかな体色ですが、それはオスだけ、メスは淡いグリーンの体色です。
オレンジヒキガエルが生息していたのは、中米コスタリカのモンテヴェルデ森林保護区 (Monteverde Cloud Forest Reserve) のとても狭い地域で、繁殖期になるとどこからともなく一斉に現れ、陰鬱な熱帯雨林を、ほんのわずかな期間、鮮やかな黄金色に染め上げました。
これだけ派手な体色をしていながら、繁殖期を除く期間は目にすることがなかったため、おそらく地中性のカエルだったのではないかと考えられています。
また、もともと生息数が少ない (1500匹程度) というのも原因の一つかもしれません。
発見された1966年から、繁殖期である4月から5月、オレンジヒキガエルの生息地は熱帯雨林の奇跡とも言うべき饗宴が繰り広げられました。
来る年も来る年も、なにも変わりなく。
発見から22年目の1987年、この年も今までと同じようにモンテヴェルデ森林保護区は黄金色に染まりました。
なんの前兆もありませんでした。
実際には何かあったのかもしれませんが、少なくともそれに気付く人は誰もいませんでした。
そして問題の23年目の1988年の繁殖期が来ました。
饗宴の参加者は突如11匹まで激減したのです。
そして翌年は1匹に。
パートナー探しに出てきた最後のオレンジヒキガエルは誰にも会うことはありませんでした。
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