マクロストマ・サクシペルムプトゥス (Macrostoma saxiperrumptus)。
この学名を聞いて「もしかしてあいつのことでは、、、?」とピンときたそこのあなた!確実に勘違いです。
マクロストマ・サクシペルムプトゥスはフィアサム・クリッターズ (Fearsome critters) のひとつ、スライド・ロック・ボールター (slide-rock bolter) につけられた「なんちゃって学名」だからです。
そもそもフィアサム・クリッターズとは?
「恐ろしい生き物」といった意味ですが、いわゆるUMA (未確認生物) というよりは民間伝承です。
主に19世紀末~20世紀初頭ぐらいの北米の北部 (五大湖周辺) のランバージャック (木こり) たちの間で盛んに「創造」された生物を総称してこう呼ばれます。
特に断りを入れていないませんが今まで紹介したものの中にも、カクタス・キャットやファー・ベアリング・トラウトといったものはフィアサム・クリッターズのひとつです。
(角のあるウサギ、ジャッカロープ)
(image credit by cogdogblog)
フィアサム・クリッターズの有名なものではフープ・スネーク (Hoop snake) やホダッグ (Hodag)、ジャッカロープ (Jackalope) といったものが挙げられます。
本題に戻りましょう。
マクロストマ・サクシペルムプトゥスことスライド・ロック・ボールターはアメリカ、コロラド州のロッキー山脈に生息するといわれる生物です。
その大まかな姿はクジラそのもので、「陸のクジラ (land whale)」なる異名を持ちます。
体長は本家のシロナガスクジラと同等の30メートルというバカげた大きさをしており、二股に分かれたフック状の尾を木に引っ掛け、45度以上もある急傾斜で獲物が進路上に現れるのを待ち伏せます。
視界に獲物が入るや尾のフックを外し、巨大な口を大きく開けてその猛スピードで斜面を滑り落ちます。
口からは潤滑剤となる液体を流しながら滑り落ちることでさらに加速し、人や動物を丸呑みするといわれています。
フィアサム・クリッターズの中には存在しても不思議ではないものから、全く荒唐無稽なものまでその種類も豊富ですが、スライド・ロック・ボールターは明らかに後者です。
「山の急斜面にクジラ (のような生物)」という構図はとても面白いのですが、いくらみなを楽しませるランバージャックたちのほら話とはいえ、ここまで突飛では誰にも信じてもらえないのでは?
実はこのスライド・ロック・ボールターはかなり起源が古いと言われており、原型がどんなものだったのかも分かっていません。
長い期間を経てスライド・ロック・ボールターは姿や形を変え、20世紀初頭頃にランバージャックたちによって確立されたようです。
そのため随分と突飛な生物に変貌してしまった可能性が考えられます。
突飛ではありますが、特に子どもたちに対して、急斜面での落石や野生動物に対する注意喚起等、一定の存在意義はあるものと信じます。
ところで冒頭に挙げたスライド・ロック・ボールターの学名マクロストマ・サクシペルムプトゥス (Macrostoma saxiperrumptus)。
種小名の意味は分かりませんが、属名マクロストマ (Macrostoma) は「大きな口」を意味し実在する生物の種小名によく使われています。
参考までにいくつかを以下に挙げておきます。
ハゴロモハゼ (Myersina macrostoma)、ベタの一種 (Betta macrostoma)、ナマズの一種 (Notoglanidium macrostoma)、サカサナマズの一種 (Synodontis macrostoma)、オオクチアナサンゴ (Astreopora macrostoma)、カタツムリの仲間 (Chloritis macrostoma) 等々。
(参照サイト)
TO CONTRIVE & JIVE
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