■空飛ぶジャッカロープ ~ フライング・ジャッカロープ
今回はフライング・ジャッカロープ (Flying Jackalope)。
まあUMA好きなら「ジャッカロープ」の名が入っているからピンとくるでしょう、フィアサム・クリッターのひとつです。
フィアサム・クリッターとは北米の民間伝承上の生物の総称で、日本でいうと「妖怪」的な位置づけでしょうか。
実際に目撃情報があるUMAとは少し異なり、創作系のものが多くを占めます。
但し、そのほとんどは元になる生物が存在しますし、実在の生物を勘違いしてフィアサム・クリッターと認識されるようになったものもいます。
さて、本題のフライング・ジャッカロープの話に入りましょう。
ジャッカロープ自体はフィアサム・クリッターの中でも代表格であり、簡単に言うと「鹿 (厳密にはアンテロープです) の角を持つウサギ」です。
「撮影された」ポストカードや剝製も存在し、ということは、捕獲もされているんだしそれはもはやUMA (未確認動物) ではないだろうと思う人もいるかもしれません。
が、それらはもちろんフェイク、CG (というほどのレベルではないですが) 写真であったり、剥製師のいたずらによるものです。
さて、そんなジャッカロープですが、そこに今回のものは名前に「フライング」がつくわけです。
生粋のUMAファンでしたら容易にその姿を思い浮かべることでしょう、つまりは「空を飛ぶことができる、鹿の角を持ったウサギ」に違いないと。
が、実はフライング・ジャッカロープ、単にジャッカロープに翼を付けただけの代物ではありません。
頭部こそジャッカロープに似るものの、体はむしろ鳥類そのものであり、「鳥の翼をもったウサギ」というよりは「ウサギの頭部を持った鳥」という表現が正しいでしょう。
そのため、足 (後肢) は鳥類同様、二本であり、前肢は翼に進化しています。
また、ジャッカロープがワイオミング州のUMAであるのに対し、フライング・ジャッカロープはお隣のサウスダコタ州に棲息しているといわれます。
生息地が近いこともあり、「ジャッカロープ」が「フライング・ジャッカロープ」に「進化」したもの、と捉えることができるかもしれません。
話は少しだけそれますが、フライング・ジャッカロープにそっくりのUMAがいくつかいます、スウェーデンのスクヴェイダーやドイツのヴォルパーティンガーです。
いずれも翼をもったウサギで、特にヴォルパーティンガーは角も有しておりフライング・ジャッカロープと姿かたちはかなり近い存在です。
但し、ヴォルパーティンガーは「鳥の翼をもったウサギ」であり、フライング・ジャッカロープと異なり四肢を持ちます。
姿が違うだけではなく、フライング・ジャッカロープには面白い設定 (?) があります。
フライング・ジャッカロープはフィアサム・クリッターの中でも特段に希少性が高く、滅多に目撃されることはありませんが、それはとびぬけて警戒心が強いことに加え、飛翔する速度が速いことにあるといいます。
また、繁殖は3年に1度と極端に繁殖力が弱く、個体数の減少に著しく脆弱な生物だといいいます。
これではなかなか出会うことに期待できませんね。
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