■人食いナマズ ~ ジャイアント・グーンチ
ネパールとインドにまたがるシャルダ川 (Sharda River) ことカリ川 (Kali River)。
この川のわずか5マイル (約8キロ) という狭い範囲で、1998年から2007年の10年間に3人もの少年が亡くなるという事故が起きました。
いずれの事故も犠牲者となったのは10代の少年、すべて目撃者がおり何者かによってかれらが水中に引きずり込まれたことが分かっています。
しかしいずれの事故も犠牲者の遺体は見つかっておらず、かれらを引きずり込んだのは一体何なのかは謎に包まれていました。
犯人として有力候補に挙げられたのはサメとワニ。
いずれも人間を襲うことで知られており無難な線です。
まずはサメ。
淡水に対して完璧な耐性を持ち、かつ危険なサメといえばやはりオオメジロザメ (Carcharhinus leucas)。
数百キロから千キロ以上も川を遡上し、ときに湖にも入り込むオオメジロザメは獰猛で人間に対しても非常に危険なサメとして知られています。
しかしどの目撃証言からも背ビレは確認されておらず、また同地域でのオオメジロザメの目撃も一度もなかったことから、これらの事故に関してはオオメジロザメの関与は低いと考えられています。
次にワニ。
ワニについてはインド・パキスタンに生息する3種のワニが検討されました。
まずはもっとも巨大で最も危険なクロコダイル、イリエワニ (Crocodylus porosus)。
しかし事故が起きた地点ほど内陸でイリエワニが確認されたことはなく可能性は低いと考えられます。
次にヌマワニ (Crocodylus palustris)、5.5メートル超の個体が見つかったこともある巨大なワニです。
英名をマガー・クロコダイル (Mugger crocodile)、「(路上)強盗ワニ」というだけあって非常に獰猛で人間も犠牲になっています。
こちらもカリ川での目撃はなく、イリエワニ同様、その可能性は低いと考えられています。
そして最後がインドガビアル (Gavialis gangeticus)、口吻が細長く最大6メートルの記録をもつこちらも巨大なワニです。
しかし人間のような大物を捕らえるには不向きな細長い口吻であり、そもそも人間を襲った記録が存在しないことからこちらについても可能性は低いものと考えられています。
サメでもワニでもないというのであれば一体なにが少年たちを襲ったのか?
そこで急遽候補に上がったのが巨大ナマズ、バガリウス・ヤレリ (Bagarius yarrelli) ことグーンチ (goonch「グーンシュ」とも) です。
最大で2メートル、200ポンド (約91キロ) 超に成長する巨大種であり、また事故現場付近でもグーンチは確認されています。
グーンチはまたの名をジャイアント・デビル・キャットフィッシュ (giant devil catfish「巨大な悪魔のナマズ」) といい、非常に恐れられた存在です。
上述したとおり、サメ・ワニ説が否定されていることから、これらの事件の犯人はグーンチであると結論付けられています。
しかし個人的な感想ですが、グーンチが人を襲うとすれば2メートル、200ポンド (約91キロ) でもまだ足りないような気がします。
襲われた少年たちの身体的プロフィールは不明ですが、そのうち二人は17歳、18歳というほぼ成人に近いハイティーンであり、大人と大差ない体格をしている可能性があります。
3人の犠牲者は一度水中に引きずり込まれた後、二度と水面に上がってくることはなかったことから、その場で完全に仕留められたか、その場から連れ去れれたことは確かで巨大なナマズが犯人とすれば丸呑みする他ありません。
グーンチが2メートル、200ポンドといえど成人に近い人間を丸呑みするとは考えにくく、万一襲ったとしても喉を詰まらせ吐き出してしまいそうです。
可能性が低いといわれているものの、やはりオオメジロザメやワニが襲ったと考えるほうがまだグーンチが襲ったと考えるよりは確率が高いような気がします。
グーンチが犯人であるとすれば、人間を瞬時に丸呑みできる大口を持った今までの記録を大幅に更新する150~200キロ超級の個体の発見が条件でしょう。
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