■1978年、米駆逐艦スタインを襲ったのは巨大イカだったのか?
アメリカ海軍護衛駆逐艦スタイン (USS Stein, DE-1065)。
この船の名は硫黄島の戦い (Battle of Iwo Jima) で名誉勲章を受賞したトニー・スタイン (Tony Stein) 氏にちなみます。
1978年、太平洋上を航行中、スタイン号は技術的問題が発生しました。
ソナーが正常に動作しなくなったのです。
やむなくスタイン号は作戦を中断し、ソナーの修復のためカリフォルニアにあるロングビーチの造船所にに寄港しました。
修理のため保守チームはソナー部へと向かいました。
すると、、、
(AN/SQS-26)
驚いたことに船に装備されているマルチモード・ソナー、AN/SQS-26のラバー・コーティングが切り裂かれ、全体の8%以上が損傷していることが判明しました。
もっとも深く切り裂かれた部分には爪が突き刺さっていたといいます。
その爪の形状はイカの吸盤に付いているリング状の歯と酷似しており、おそらくはイカのものだろうと考えられました。
しかし問題はその大きさです、そんなとてつもない大きさの爪 (吸盤の歯) を持つイカは知られていなかったからです。
その傷の大きさたるや当時知られている最大のものの5倍もあったといいます。
今でこそ深海の調査も進みやっとこダイオウイカ (Architeuthis dux) やダイオウホウズキイカ (Mesonychoteuthis hamiltonia) の生態が少しずつ分かってきていますが、今から40年以上も前の話であり「未知の巨大イカ」以上のことは分からなかったといいます。
吸盤の大きさから判断した当時の見積もりによれば、謎の巨大イカの体長は150フィート (約45メートル) ととんでもないことになっています。
1978年では現在のように世界中の巨大イカのデータを収集・分析することは不可であり、サンプル数の少なさから「爪の大きさが5倍なので体長も5倍」のような単純な計算から導き出してしまったのかもしれません。
さすがに現在の常識では現実感を欠く推定値ですが、国家の公式な記録として巨大イカの駆逐艦襲撃事件が残っていること自体が興味深いです。
(参照サイト)
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