■巨大海蛇の正体はこれだ! ~ ノルウェー・スーパー・オッター
古来から続く巨大海蛇、つまりはシーサーペント。
シーサーペントは爬虫類といいつつも、からだを水面に対し上下にくねらせて泳ぐ姿を目撃されることも少なくなく、また頭部の特徴がヘビではなく哺乳類的だったと語られることも散見されます。
そういったタイプのシーサーペントの正体として、未確認動物学者、ベルナール・ユーヴェルマンス (Bernard Heuvelmans) 博士により提唱されたのがノルウェー・スーパー・オッター (Norway Super Otter) です。
「ノルウェー」とついているもののノルウェーに限定されているわけではなく、北欧で比較的目撃の多いタイプでこう呼ばれます。
オッター (otter) とは「カワウソ」の英名で海に棲息していませんが、シー・オッター (sea otter) であれば「ラッコ」の英名で、ではスーパー・オッターは「スーパーラッコ」の意味か?というと別にそうでもないようです。
アザラシ等の鰭脚類 (ひれあしるい) も含め、海生哺乳類の特徴を持つものも指し「四肢をもつ非常に体の細長い哺乳類」といったものを想像すれば遠からずです。
一応、その身体的特徴を細かく見ていきましょう。
シーサーペントはあくまで「ヘビ」に似ているため四肢を持ちませんがスーパー・オッターは四肢を持ちます。
この矛盾を避けるため、非常に長い首を持っていると仮定されます、そのため通常は水面から顔をのぞかせている場合でも前肢は首の後ろにあるため四肢が目撃されづらくヘビのように見えるというわけです。
同様に尾も非常に長く水面近くを漂っても前肢も後肢もほぼ確認できないためヘビのように見えるということになります。
また細長い胴体を持ち泳ぐときは哺乳類ですから水面に対し上下に体を波打たせることにより背中に「コブ」をもつ生物と誤解されるという特徴も持ちます。
水棲UMAに背中にコブを持つというものが多いのも説明できます。
またシーサーペントの目撃で多くの場合、背ビレも確認されないのもカワウソ、ラッコ、アザラシ等の仲間であるとすれば自然なことです。
いずれも肉食であり、口内に鋭い歯を持っていた、という目撃証言とも矛盾しません。
この生物が実在すれば多くのシーサーペントを説明できるばかりか、淡水性のサーペント、つまりはレイク・サーペントの正体も説明できます。
特にマナティーのような生態であれば沿岸から河川、湖といった淡水・海水のいずれでも目撃が可能です。
と存在すればまさに未確認動物学的にはいいことだらけ、スーパー・オッターは夢のような生物です。
(バシロサウルス・ケトイデス(Basilosaurus cetoides))
(image credit by Wikicommons/Dominik Hammelsbruch)
しかし当然ですがこの生物は捕獲されておらず、確実な目撃証言もなく、理想に沿って作り上げられた空想上の生物と多くの批判を浴びます。
鰭脚類としてはあまりに尾が長すぎる上に、四肢はヒレに変化しているという矛盾があり、カワウソやラッコ等のイタチ科としたらあまりに大き過ぎます。
そこでユーベルマン博士はスーパー・オッターを絶滅したクジラの仲間ゼウグロドン (Zeuglodon) ことバシロサウルス (Basilosaurus) 説に軌道修正しますが、当然バシロサウルスに四肢はありません。
そこでさらに修正を加え、陸棲生物が海水棲に進化する初期過程の四肢を持ったクジラと仮定します。
もうこうなってくると「スーパー・オッター」という名が霞んでしまい、最初からクジラと言っていた方がいいぐらいです。
(パキケトゥス・イナクス (Pakicetus inachus) の復元図)
(image credit by Wikicommons)
ちなみにクジラの祖先にあたるパキケトゥス (Pakicetus) は四肢を持ち水陸いずれでも活動ができる生物でした。
体長は2メートル程度、スーパー・オッターほど大きくもなければ細長くもなく、その姿はオオカミのようでしたが、水陸両用で頭部もカワウソやラッコ、アザラシ等にそれなりに似ていたに違いありません。
というわけで、スーパー・オッターが存在するというのであれば単純に「未発見の細長いラッコ」と主張したほうがシンプルに受け入れられやすいのでは?と個人的には思います。
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