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2025年10月31日金曜日

メラネシアに伝わる伝説の巨大ウナギ ~ アバイア


■メラネシアに伝わる伝説の巨大ウナギ ~ アバイア

今回はアバイア (Abaia)。

ポリネシア神話に登場する水棲の幻獣で、巨大なウナギのような姿をしています。

ソロモン諸島やフィジー、バヌアツといったメラネシアに伝わるUMAです。

細長い体型、いわゆるシーサーペント系ですが、興味深いのはメラネシアの各地に伝わるにもかかわらず、シー・モンスターではなく淡水湖に棲息するレイク・モンスターという点です。

古来から現在でもレイク・モンスターの主流であるレイク・サーペントの伝承があるのも面白いですね。

但し、そうはいってもアバイアは神話上の生物、実在するとは思えない特徴を有しています。

アバイアは自信が棲息する湖のすべての生物の「父」もしくは「母」であり、その湖の生物を傷つけるものを許しません。

湖から魚たちを乱獲する村人たちを襲いますが、村人たちの飽くなき欲望についにアバイアはキレ、豪雨を降らせその村ごと沈めてしまったといわれています。

これは水産資源の乱獲に対する戒め的教訓であると思われます。

こういった同系のUMAは他にもいますね、ハリバット・マザーサーモン・マザーなんかに似ており、ちょっとタイプはズレますがラウドケンビングルも仲間に入れてもいいかもしれません。

さてアバイアですが、巨大な生物なだけに、それなりに大きな湖が似つかわしいですが、そもそもメラネシアに大きな湖はあるのでしょうか?

おそらく最大の湖はソロモン諸島のレンネル島にあるテンガノ湖 (Lake Tegano) です。

最大長29キロメートル、最大幅10キロメートル、表面積155平方キロメートルで、日本で表面積第2位、第3位の霞ヶ浦 (168平方キロメートル) とサロマ湖 (152平方キロメートル) とほぼ同等であり、日本であれば第3位に滑り込むほど大きな湖です。
島の大きさに対する湖の面積の比率はとにかく「異常」で、島の約1/5に当たる18パーセントを占めます。

さて、伝承通り、湖の「守り神」というのであれば神話上の生物以上の存在ではありませんが、「巨大なウナギ」と考えればその限りではありません。

テンガノ湖は淡水と海水が混ざり合う汽水湖で、しかも塩分濃度は割と高めといわれていますが、アバイアの正体が「ウナギ」であれば全く問題ありません。

テンガノ湖に棲息する魚種は多いものの、その中でもウナギ類が特に多く棲息していることで有名です。

水棲UMAの正体として人気の高いイリエワニ (Crocodylus porosus) も棲息しますが、今回に限っていえば出番なないでしょう。

やはり潤沢に棲息しているウナギの巨大個体が候補です。

尚、世界で2種しか知られていない淡水ウミヘビ、クロッカーウミヘビ (Laticauda crockeri) が棲息していることから一応シルエット的には候補に挙げたいものの、体長は1メートルにも満たないためちょっと厳しいかもしれません。

ちなみにもう一種の淡水ウミヘビはフィリピンのタール湖 (Lake Taal) に棲息するタールタンスイウミヘビ (Hydrophis semperi) です。

アバイアの正体はテンガノ湖の主的な存在であった巨大なウナギが崇められたもの、としておきましょうか。

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