2022年7月15日金曜日

海の聖母 ~ 5メートルの超巨大魚、ハリバット・マザー



■全魚の聖母 ~ 5メートルの超巨大魚、ハリバット・マザー

アイスランド近海にはハリバット・マザー (Halibut Mother) なる巨大な魚が生息しているといわれています。

ハリバットとは和名でオヒョウと呼ばれている、あの超巨大カレイのことです。

アイスランドには淡水に生息するといわれるカレイ・ヒラメのような姿をした猛毒魚系UMA、ヴァトゥナゲッダ / ヴァトナゲダ (Vatnagedda) が生息しているという伝説がありますが、生息地の違いや名前からも別物と考えて問題ないでしょう。

日本でオヒョウといえばあの3メートルの巨大カレイを指しますが、英名のハリバット (halibut) は非常に曖昧な単語で、英語圏では大型のカレイなら、みんなハリバットと呼ばれている感じです。

実際、アブラガレイ (Atheresthes evermanni) やホシガレイ (Verasper variegatus)、ヒラメ (Paralichthys olivaceus) 等、とにかく1メートル前後まで成長するものはハリバットと呼ばれる傾向があります。

但し、厳密には英名でハリバットという名前を持つものは3種のみです。

パシフィック・ハリバット (Pacific halibut)、アトランティック・ハリバット (Atlantic halibut)、グリーンランド・ハリバット (Greenland halibut) です。

和名でオヒョウと名がつくのオヒョウ属 (Hippoglossus)の、タイヘイヨウオヒョウ (パシフィック・ハリバット) とタイセイヨウオヒョウ (アトランティック・ハリバット) の2種です。

そしてあと1種、グリーンランド・ハリバット (Reinhardtius hippoglossoides) がいますが、これは属名 (Reinhardtius) を見てもわかる通り、オヒョウ属ではなくカラスガレイ属の魚で、和名も属名そのままカラスガレイです。

とはいえ、Fisheries and Aquacultureによれば120センチ、45キロがあるようで、オヒョウほどでないにしろ、かなりの大きさに成長します。

オヒョウはとにかくメスが巨大になり、50年以上の長命の間成長し続け2メートル前後にもなり、最大で3メートル超まで成長するといわれています。

さてさて、ハリバット・マザーの話に戻りましょう。

ハリバット・マザーはその名の通り、ハリバット (オヒョウ) のような姿をしており、オヒョウばかりかすべての魚の母 (マザー) であると信じられています。

マザーは常に多くのハリバットを従え、子供たち (ハリバットを含む魚たち) を見守るといわれ、つまりこのマザーは魚たちに取って「聖母」を意味しているようです。

とはいえ、そんな神聖なるハリバット・マザーですが、外見上ふつうのハリバットと大差ないとしたら見分けることは可能なのでしょうか?

実はとっても簡単なようです。

前述の通り、ハリバットたちは巨大ですが、大きさこそ具体的ではないもののマザーはそんなものではない、小舟をひっくり返すほどの大きさ、そして威力があるといわれているからです。

さらにそれほどまでの大きさに成長するということは長命である証であり、体には海藻や苔であったりフジツボ等、いろんなものが付着しているといわれいます。

巨大で付着物が多いというのは、やはり巨躯を誇るクジラと同じですね。

ハリバット・マザーなる生物が存在する、ということとは別に、実在する生物でその正体について考えてみましょう。

英語でハリバットと呼ばれる3種のうち、アイスランド近海に生息するのはタイセイヨウオヒョウとカラスガレイです。

(頭頂部までしか目が移動しないカラスガレイ)
(image credit by Wikicommons)

カラスガレイは顔の凶暴さは3種のうちぶっちぎりですが、どうふんばっても大きさ的には無理です。

正体とすればタイセイヨウオヒョウで決まりです。

FishBase によれば、タイヘイヨウオヒョウの最大記録は2.67メートル、363キロに対し、にわかには信じがたいですが、タイセイヨウオヒョウの最大記録は4.7メートル、320キロとなっています。

4.7メートルというのはとてつもないです。

これが本当であれば、その正体はタイセイヨウオヒョウの可能性と思って間違いないでしょう。

メスのほうがオスに比して格段に大きくなるのも「マザー」と呼ばれるハリバット・マザーには好都合です。

聖母 (マザー) 的な存在であるのもハリバットという名ならではです。

というのも、ハリバット (Halibut) という英名は、中世英語の "halybutte" に由来し、これは現代英語で "holy flatfish"、つまり「聖なるカレイ」とか「神聖なカレイ」を意味します。

これは、もともとは「祭日 (holy day) に食されるカレイ (flatfish)」が原意ですが、短縮されたハリバットは「聖なるカレイ」を意味します。

現在では乱獲で獲れなくなったような見たこともないような5メートル近いタイセイヨウオヒョウの存在、そしてハリバットという「聖なるカレイ」という名前が「ハリバット・マザー」の伝説を生見出したのではないでしょうか。

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