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2024年5月26日日曜日

頭部に赤毛を生やした殺人クジラ ~ ラウドケンビングル


■頭部に赤毛を生やした殺人クジラ ~ ラウドケンビングル

アイスランド沖には「イルヴェリ (またはイツフェリ, Illhveli)」と呼ばれる伝説のクジラが生息しているといいます。

イルヴェリとは「邪悪なクジラ」を意味し、特定の種類のクジラを指す単語ではなく「邪悪なクジラ」に分類されるクジラ系UMAの総称です。

つまりは複数の種類の「邪悪なクジラ (イルヴェリ)」が存在するというこになります。

そしてそのイルヴェリの中でも最も凶暴かつ血に飢えたものはラウドケンビングル (Raudkembingur) だといいます。

体長は35~65フィート (約10~20メートル)、頭部が赤く背中にかけて赤いたてがみをなびかせているのが特徴で、イッカクやシロイルカ等、ハクジラ類を連れだって泳いでいるといいます。

これは一見すると引き連れているように見えるものの、正確にはかれらが勝手にラウドケンビングルについてきているだけです。

それには理由があります。

ラウドケンビングルは前述の通り、最も凶暴かつ邪悪であり、その対象は人間たちです。

ラウドケンビングルは彼らが忌み嫌う人間の船を見つけるや、体当たりや船上に乗り上げるなどして全ての船員を船から落とし溺死させます。

船を発見次第、猛追して襲うのはもちろんですが、ラウドケンビングルのあまりの凶暴さに人間たちが漁に出るのをやめると、何日間と全く動かずに浮かび死んだものと油断させて人間たちをおびき寄せる、なんてことすらするといいます。

とにかく人間を殺す執念は凄まじいのですす。

イルカやシロイルカたちがラウドケンビングルについてくるのはこの後処理、ラウドケンビングルの攻撃により溺死した人間たちを食べるといいます。

イルカたちを引き連れてあるくといったことや、死んだふりを何日間もして人間をおびき寄せる、といった点をピックアップするといかにもお伽噺的ではあるものの、実在したクジラが元になっていた可能性は捨てきれません。

というのも6世紀ごろ、黒海とマルマラ海付近で何隻もの船を沈めポルピュリオスという名で呼ばれた凶暴なクジラは実際に存在していました。

ポルピュリオスの正体はおそらくはマッコウクジラ (Physeter macrocephalus) とシャチ (Orcinus orca) で、今回のラウドケンビングルも実在したクジラが元になっているその可能性は高そうです。

但し、ラウドケンビングルは溺死させた人間たちに手を出すことはなく、もしかすると意外や意外、一般的におとなしい性質で知られるヒゲクジラの仲間かもしれません。

尚、ラウドケンビングルは1匹ではなく人間によって殺されたものもありますが、その鯨肉は食べることはできません。

それは毒があるから、不味いから、という理由ではなく、火にかけると溶けてしまうからだといいます。

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