いま日本では空前のジビエ (野生鳥獣肉) ブームといえます。
ジビエ肉は基本、狩猟によって手に入れるため、シカやイノシシといったスーパーやふつうの精肉店ではお目にかかることができないその希少価値が人気の理由でしょう。
また当然ですが野生を生き抜いているだけあって脂肪が少なく低カロリー、高たんぱくで栄養面でも優れていることも魅力のひとつようです。
とはいえ、毎日食べるわけでもないので栄養面はジビエブームの副次的な側面に過ぎないでしょう。
さてそんなジビエを「刺身」でいただこう!という驚きの事実があります。
野生の鳥獣を生で喰らう!
やはり日本の心は生食!
新鮮 × 新鮮 で爆裂美味いのでは?
そう思う人ももしかしているかもしれません、が、、、
ジビエは「管理されていない鳥獣」というのが売りなわけで、寄生虫等の衛生面は畜産のものと比較しやはり劣ると考えられ、調理の際にはより気を遣うことでしょう。
しかし、その肉を火を通さずに食べるというのですから普通に考えてとんでもなく危険なように感じます。
某テレビ番組で野生のシカの生肉 (刺身) を食べて炎上していましたが、つい最近も某新聞社が「カラスの刺身」を「究極のジビエ」と称し食レポした記事が炎上していました。
記事はカラスの生食を糾弾することは「食文化の偏見」であり「(その偏見は) 世界平和の妨げになる」という地元の人の不思議な言葉で文章が締めくくられています。
炎上している理由は「カラスを食べる」という「偏見」ではなく単にジビエを生食・(また暗黙的に喧伝) していることに対する「危険性の欠如」に起因していると思われ、「偏見」「世界平和」の話は被害妄想的、かつあまりに飛躍しすぎのような気がしますけどね。
まあジビエの生食が法律に触れるるわけでもなく、個人的にはみなさんに食べることをお勧めはしないものの、食べないよう啓蒙する立場でもないため、もしジビエを生食する機会がある場合はその前に一考してみては?とだけ言っておきましょう。
さてさて、生食云々が論争を巻き起こすものの、カラス自体の殺生?に関してはまず論じるられうことはありません。
これが野生化した野犬や野良猫の生肉を食って食レポしようものなら「危険」とかの前に「可愛そう!」といった感情論の議論が沸き起こるはずです。
カラスがそうならないのは一般的にカラスが害獣であり嫌われ者で、それなりに生息数もおり絶滅の危険性がいまのところはないからです。
カラスは人類の都市化に適応し (日本でもごみ集積所に集まるといった)、またそれなりの繁殖力により日本はもとより、世界でもあまり絶滅を危惧されるような動物ではありません。
しかしそんなカラスでありながら野生化のものは絶滅してしまったものがいます、ハワイガラス (Corvus hawaiiensis) です。
今回はカラスのお話です。
ハワイガラスはハワイに生息する唯一のカラス (カラス属) の仲間で、またハワイ以外に生息していません。
体色は一般的なカラスのイメージを損なわず黒一色、日本の都市圏でみられるカラス、ハシボソガラス (Corvus corone)、ハシブトガラス (Corvus macrorhynchos) と同程度~若干小柄といった感じでカラスの中では中程度のサイズです。
また取り立てていうほど見た目に顕著な差があるわけではありません。
(世界最大のカラス、オオハシガラス (Corvus crassirostris))
(image credit by Wikicommons)
人類による環境破壊をものともせずむしろ人類を利用するかのように調和していった世界中のカラスたち。
しかしハワイガラスはそうはいかなかったようです。
環境破壊による生息地の減少にも都市圏に生息地を変えるということもなくみるみる数を減らしていきます。
それなりに潤沢にいたとも言われていますが、もともとハワイ固有のカラスということもあり元から生息数もそれほどでもなかったのかもしれません。
突然の生息数の減少により遺伝的多様性が急激に失われてしまったのかもしれません。
20世紀末には数えるほどしか確認できなくなると2002年を最後に野生の個体は目撃はなく、野生種は絶滅してしまったと考えられています。
現在、動物園で飼育されていたハワイガラスを繁殖しハワイに再導入しようという試みが行われています。
絶滅を免れたのはラッキーなこと、果たして再導入は成功するか?
(参照サイト)
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