2022年9月2日金曜日

正体は巨大タツノオトシゴ? ~ タートル・レイク・モンスター


■正体は巨大タツノオトシゴ? ~ タートル・レイク・モンスター

北米に13、カナダに3、ジョージアに1、計17。

北米大陸を中心に世界中には最低でも17ものタートル湖 (Turtle Lake) という名の湖が存在します。

今回紹介するのはその中からカナダ、サスカチュワン州にあるもので、幅5キロに対し長さが21キロある細長い形状の湖です。

この湖でもレイク・モンスターが目撃されており、単にタートル・レイク・モンスター (Turtle Lake monster) と呼ばれます。

多くの北米大陸のUMAがそうであるように、タートル・レイク・モンスターもまた先住民たちの伝承に基づくUMAです。

先住民族、クリー族 (Cree) の伝承によれば、危険な存在であり、年に一度は船乗りたちがその怪物に遭遇しているといいます。

目撃証言から、タートル・レイク・モンスターの体長は3~9メートル、細長い形状で、体表は鱗があるというものと滑らかであるものと相反する目撃があります。

頭部はイヌやブタといった哺乳類的であるものから、珍しいものではタツノオトシゴのそれに似ていた、というものがあります。

もっとも有名な目撃情報はゴードン・ワッツ (Gordon Watt) 氏のものではないでしょうか。

ワッツ氏は地元住民ではなく、娘と孫を連れはるばるタートル湖を訪れ、ボートに乗って釣りを楽しんでいました。

そのとき、船首から13ヤード (約12メートル) 離れたところになにかが上がってきました。

「頭部が見え、続いて胴体が、そして体をうねらせ沈みました。

尾はまったく見えませんでした。

頭部はまるでタツノオトシゴのようでしたね。

チョウザメだった可能性があります、ですが確実ではありませんけどね」

ワッツ氏ら3人は急いでその怪物がいた場所に船を移動させ、釣りあげようとしましたが失敗に終わりました。

ワッツ氏がいうように、タツノオトシゴ的であったというのであれば、既知生物であれば、やはり本人も言っているようにチョウザメである可能性が非常に高いと思います。

チョウザメはその巨体に反し、吻部は細長くタツノオトシゴ的といえばそうも見えます。

体表が鱗があるものと滑らかなものと2種類の目撃がありますが、チョウザメであれば明らかに前者となります。

(ミズウミチョウザメ)
(image credit by Wikicommons)

タートル湖にはミズウミチョウザメ (Acipenser fulvescens) が生息していることは確認されています。

ミズウミチョウザメはチョウザメの中の最大種ではありませんが、それでも7.25フィート (約2.2メートル)、240ポンド (108キロ) の記録を持つ巨大魚です。

チョウザメは底生でめったに水面付近には上がってこず、さらにその巨体も相まって、見慣れない人によって目撃されるとUMA騒ぎとなります。

ワッツ氏以外の目撃で候補に挙がるのはノーザンパイク (Esox lucius) が筆頭株といえます。

(ノーザン・パイク)
(image credit by Wikicommons)

通常は20インチ (約50センチ) を超す程度ですが、公式の最大記録では59インチ (約1.5メートル) という記録があるほど巨大に成長するからです。

比較的鱗が目立たないことから「滑らかな体表」の目撃は既知生物としてはノーザンパイクを推したいと思います。

また、タートル湖ではウォールアイ (Sander vitreus) とレイク・ホワイトフィッシュ (Coregonus clupeaformis) が人為的に放流され、とくにウォールアイは公式記録で1メートルを超える (107センチ、13キロ) ものが存在するため、誤認候補のひとつに挙げておきましょう。

イヌやブタに似ているという目撃情報もありますが、タートル湖は豊かな自然に囲まれており、付近に野生動物が多く生息していることでも有名で、シカやクマがたまたま湖に入った時に誤認した可能性も否定できないでしょう。

タートル・レイク・モンスターの正体がタツノオトシゴだとは誰も思っていないでしょうが、タツノオトシゴはすべて海生 (ぎり汽水域) のため、淡水の湖には生息していません。

ちなみに最大種はオーストラリア近海に生息するビッグ・ベリー・シーホース (和名不明) (Hippocampus abdominalis) で14インチ (約35センチ) まで大きくなります。

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