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2024年5月25日土曜日

欧州で食べられる真っ赤な脳 ~ 猛毒キノコ、シャグマアミガサタケ


■欧州で食べられる真っ赤な脳 ~ 猛毒キノコ、シャグマアミガサタケ

『フグが有毒であることは遥か昔から知られていたので、人々は毒を避けることを学んでいたと仮定したくなるかもしれない。

ところが日本ではそうではなかった、フグはこの上ないものとされ、日本人はフグを珍味とみなしているのだ。

毒に当たって死ぬかもしれないという恐怖も、この珍味という魅力は食することを手控えさせることはない。

日本人が好むのは、事実最も毒性の高い3種のフグだ。

フグの毒は卵巣、肝臓、腸、皮膚そして卵巣に集中するが、それを取り除けば死の恐怖なしにフグの身を楽しむことができる。

飲食店は免許を持った調理者を雇っているためフグ中毒による死者は事実上ゼロだという。

しかし実際のところ日本では毎年100~200人ほどがフグ毒に当たりその半数が死亡している』

これはウィリアム・C・アゴスタ氏の著書「ヘッピリムシの屁 ~ 動植物の科学戦略」の抜粋ですが、どっからこんな滅茶苦茶なデータ引っ張ってきたのかと思う一節です。

毎年50~100人がフグを食って死んでいるとの主張です。

日本人はフグ毒 (テトロドトキシン) はもちろん熟知しており、素人が勝手にさばいたり、お店の裏メニューでご法度部分を食したりして亡くなることはあるものの、死者が出た場合はニュースになるほどレアケースです。

実際の死亡者数は年平均で1~2人程度です。

アゴスタ氏はロックフェラー大学の教授で有機化学の第一人者のして知られるほどの人物でこの始末です。

自国以外のデータの取り扱いの難しさが分かりますね。

(シャグマアミガサタケ)
(image credit by Wikicommons)

さて、日本人は美味の魅力に屈しフグを食って死んでいる国民と謳っていますが、欧米では生で食ったら死んでしまう猛毒キノコ、シャグマアミガサタケ (Gyromitra esculenta) の魅力に屈しているようです。

生で食えば死ぬほどの猛毒ですが、毒抜きすれば食べられるという点でフグと同じです。
シャグマアミガサタケは直径15センチほど、黒みを帯びた赤い人間の脳を彷彿させるグロテスクな見た目が特徴のたキノコです。

(シャグマアミガサタケの缶詰)
(image credit by onfos)

毒の主成分はギロミトリン (Gyromitrin) ですが、自生する地域によって毒性も大きく異なり、古くからほぼ死者を出していない地域もあります。

煮沸して毒を抜けばほぼ中毒になることはなく、毒抜きの方法が確立された現在では50年以上死者は出ていないといい、もはや恐れるキノコではないかもしれません。

ほんのり甘い香りが楽しめるといい、缶詰を入手することも可能です。

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