今日はフープ・スネーク (Hoop snake)。
アメリカ・カナダの民間伝承的UMA、フィアサム・クリッター (Fearsome critters) と総称される生物のひとつです。
フィアサム・クリッターは民間伝承の要素が強い、というよりはほぼ民間伝承、日本でいうと河童のような存在です。
その中でももっとも有名なもののひとつがフープ・スネークです。
フープとは輪っかのこと、つまりフープ・スネークとは「輪のよう蛇」の意味です。
体長は3フィート (約90センチ) とUMAとしては控えめな大きさ。
容易に想像がつくと思いますが、フープ状になる方法は自らの尾を噛むだけというとてもシンプルなものです。
フープ化した蛇は、斜面を車輪のように高速で転げ落ちることができます。
その理由は獲物を捕らえるためであり、天敵から逃れるためであり、フープ時の移動速度は60マイル (約100キロ弱) いずれにせよ移動速度を大幅にアップすることができます。
ハンティングの際には転がることによって獲物に接近し、尾から生える毒のトゲでで仕留めるといわれています。
アシダカグモの一種で、南アフリカのナミブ砂漠に生息するゴールデン・ホイール・スパイダー (Golden wheel spider / Carparachne aureoflava) なんかはまさにフープ・スネークさながらに斜面を高速で転がり落ちて天敵から逃れたりする生物は実在します。
クモみたいな節足動物ではなく脊椎動物だよ、蛇だよ蛇!
残念ながら、皆さんの期待にこたえられるようなそんな蛇は存在しませんが、クモと比較したら圧倒的にフープ・スネークに近親であろう爬虫類にそれは存在します、アルマジロトカゲ (Ouroborus cataphractus) です。
(アルマジロトカゲ image credit by Wikicommons/Public Domain)
アルマジロトカゲは前述したゴールデン・ホイール・スパイダーと同じ、南アフリカに生息します。
ヨロイトカゲの仲間で、体全体が鎧のようなトゲ状の鱗で覆われています。
アルマジロトカゲは天敵に襲われるとフープ・スネークさながら、尾を噛んで輪のように丸くなります。
円形になることによりトゲ状の鱗は逆立ち、トゲトゲの車輪のようになり、四肢もぬかりなくトゲトゲであるため全身トゲまみれとなります。
(フープ状になったアルマジロトカゲ image credit by Wikicommons)
但し、体長は大きくても10センチ前後と決して大きくはなく、このトゲトゲによって無敵になるわけではありませんが、こんな俊敏性を捨ててまで重い鎧で体を覆っても絶滅を免れているのはそれなりのディフェンス能力がある所以でしょう。
トゲトゲの鎧はとてもかっこよく、その特異な習性もあって人気のあるトカゲの一種です。
話をフープ・スネークに戻しましょう。
人間にとってアルマジロトカゲは全く無害な存在ですが、フープ・スネークは人間をも襲うと信じられています。
彼らから逃げ切る方法はいくつか伝わっています。
転がりながら追いかけてくるフープ・スネークからさっと木の裏に隠れることによってフープ・スネークを木に激突させる、フェンスをよじ登って逃げることによって、フープ・スネークのフープをいったん解かせる、フープ・スネークの輪の中を潜り抜ける等々です。
最後のフープ・スネークの輪の中を潜り抜けるという方法、体長90センチのフープ・スネークの作る輪の直径は30センチ足らず (90÷π)、既に追いつかれている上に時速100キロで転がる30センチの輪の中を通り抜けられる人が存在する確率はフープ・スネークが存在する確率を下回るのでは?(笑)
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