■寝転んだら二度と起き上がれない ~ ハガグ
北米大陸の主に五大湖周辺に伝わる民間伝承の生物群、フィアサム・クリッター (Fearsome critters)。
今までにもジャッカロープ、フープスネーク、ジョイント・スネーク、アグロペルター、カクタス・キャット、ファー・ベアリング・トラウト、スノリゴスター等々、フィアサム・クリッターはたくさん紹介してきましたが、今回はその中でも代表格のひとつハガグ (Hugag) を紹介します。
ハガグはアメリカ、ミネソタ州とウィスコンシン州に棲息するといわれる姿も大きさもヘラジカに似た生物です。
しかし一見するとヘラジカに似ているハガグですが、上顎が分厚く地面と干渉してしまい通常ヘラジカが主食とする地面に落ちた果実や草を食 (は) むことができません。
といっても何かを食べなければ死んでしまいます。
そのためハガグは摂食時に上顎が干渉しない小枝であるとか樹皮を食べるといいます。
しかしなんといってもハガグの体で最も特徴的なのは四肢です。
彼らの四肢は短く、しかもその脚には関節がないため寝転ぶことができません。
厳密に言えば寝転ぶことはできますが、寝転んだが最期、関節のない棒のように柔軟性のない脚では二度と起き上がることができず、そのまま餓死してしまいます。
つまりハガグは常に立っていることを強要された悲しき動物なのです。
しかし彼らとて力を抜いて休息を取りたい時があります。
どうすればいいのか?
森の中で休息をとる方法はただひとつ、木に寄りかかることです。
力を抜いても棒状の四肢は体を支えてくれ、寄りかかってさえいれば転ぶ心配はありません。
しかしこの習性は仇にもなります、ハガグ狩りをする人間のハンターたちはその習性を逆手に取り木に切り込みを入れておくのです。
何も知らずに休息を取ろうと切り込みの入った木に寄りかかったが最期、ハガグの体重に耐え兼ねた木は折れ、ハガグはひっくり返ってしまいます。
罠を仕掛けたハンターは翌朝足をばたつかせもがいている哀れなハガグを見つけることでしょう。
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どうやって生まれてくるのか気になる生物ですね
返信削除どんな歩き方をするのかも気になります
極端に段差に弱いだろうし・・・