~ モロッコの木登りヤギ ~
美容効果で知られるアルガンオイル。特に女性たちを魅了しますが、このアルガンオイルは北アフリカのモロッコ南部に分布するアルガンノキ (Argan tree, Sideroxylon spinosum) から採れる種子を精製して作られます。
ピンキリですが、最高級のものとなると高額で取引されるアルガンオイル、このアルガンノキに魅了されるのはなにも人間ばかりではありません、野生のヤギたちもまたアルガンノキに引き寄せられます。
厳密には、ヤギたちが好むのはアルガンの実であって種子ではありませんが、ヤギたちにとって厄介なのはアルガンノキが10メートルにもなる大木であり、首を伸ばそうが二本足で立とうが成長しきったアルガンノキの実にはなかなか手が届かないということです。
そこでヤギたちは熟して実が落ちるのを待つ、、、などと悠長なことはせず、我先にとアルガンノキに登って実を食べます。
まるで鳥の群れのようにヤギたちが大木に群がる姿は、どこか非現実的であり、枝から「ヤギの実」がなっているような錯覚を覚えます。
(実際のモロッコの木登りヤギ)
(image credit by Wikicommon/Public Domain)
この不思議な「モロッコの木登りヤギ (Morocco's tree-climbing goats)」を一目見ようと、モロッコ旅行の一つの目玉となっているといいます。
最近になってこの「モロッコの木登りヤギ」が脚光を浴びています。但し、あまりよくない意味で。
ナショナル・ジオグラフィックの記事によれば、この「モロッコの木登りヤギ」はヤラセだったというのです。
といってもこのアルガンノキにヤギが登るという自然現象はもとから存在しており、なにも「モロッコの木登りヤギ」がフェイクというわけではありません。
ただ、現在観光地で目にできる「モロッコの木登りヤギ」は訓練されたヤギたちが無理やりアルガンノキに登らされており、自然現象ではないものだそうです。
これはヤギの飼い主たちが観光客からのチップ目当てで行っていることだそうで、ヤギ本来の行動ではなく、同誌はヤギたちは長い時間、樹上で留まらされていることから負担がかかっており虐待であると非難しています。
不安定な収入のヤギの飼い主たちは、より安定した収入を得たいという主張もあり、特に新型コロナウイルスによって深刻なダメージを受けている途上国ではなおさらでしょう。
先進国がやっているサーカスと何か違うのか、といった賛否もあるでしょうし、典型的な途上国いじめにならないように見守る必要があるでしょう。
~ スキタイの羊 ~
さて、この「モロッコの木登りヤギ」を見ていると、ヤギではありませんが「スキタイの羊 (Scythian lamb)」を思い出されたUMAファンの方もいるのではないでしょうか?
厳密には「スキタイの子羊」となりますが、スキタイというのは中央アジアから黒海北岸の地域を指す地域の名称で、スキタイの羊のもうひとつの呼び名「タルタリア (タタール) の植物子羊 (Vegetable Lamb of Tartary / Planta Tartarica Borometz)」のタルタリアもまた中央アジアを含む地域の名称です。
まあ、そこいら辺から伝わる伝説、といったところですかね。
この「スキタイの羊」は植物であり動物であり、とにかく奇妙な生き物です。
血も肉も骨もある正真正銘の子羊 (のような生物) でありながら、へその緒は植物の茎と繋がっており、このへその緒を切ろうものなら子羊は死んでしまうのです。
へその緒は植物の茎と繋がっており地中からの栄養だけでやっていけるのかというと、それだけでは十分な栄養を補うことができません。
どうするのか?
子羊はへその緒の長さが許す限りの行動は自由が約束されており、周りに生えている植物を食べることでへその緒からの供給では不十分な栄養を自ら補うといいます。
スキタイの羊が子羊のままである所以は、決して大人に成長することはない悲しい運命が待ち受けているからです。
届く範囲の草を食べつくしたスキタイの子羊はやがて栄養不足となり衰弱し死んでしまうのです。本体となる植物は?というと、こちらもやはり枯れてしまいます。
植物も子羊もお互いに栄養を供給しあって生きている運命共同体なのです。
死んでしまった子羊を人間たちは食べたといいますが、非常に美味であり、血は蜂蜜のように甘いという伝説もあります。
さて、いったいこのスキタイの羊の正体は何なのか?
このスキタイの羊の正体については諸説ありますが、ある種のシダを指しているのではないか、といわれています。
前述した「タルタリアの植物子羊」は "Planta Tartarica Borometz" とも書きますが、この "Borometz" は「子羊」という意味をもち、中国に自生するシダの一種にもあるそうです。
シダの葉には綿毛が生えます。シダの綿毛が羊の羊毛と重なり、「スキタイの羊」伝説が誕生したのではないか?といわれています。
もちろんこれは「合理的に」解釈した諸説の一つにすぎません。
いやいや昔は実際にこんな生物がいたんだよ、、、いや、今でも細々と、、、
(参照サイト)
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