2020年7月27日月曜日

先史時代の巨大な亀か? ~ ソアイ島のシー・モンスター


■先史時代の巨大な亀か? ~ ソアイ島のシー・モンスター

今回は「ソアイ島のシー・モンスター (Soay Island Sea Monster)」

ソアイ島はイギリス領の群島、セント・キルダのひとつで、「羊の島」を意味します。

セント・キルダにはソアイ種 (ソイ種, Soay sheep) と呼ばれる紀元前より導入された羊が生息しています。

尾が短く茶色や白 (クリーム色) など様々な毛色を持つ羊で、自然に毛が抜け落ちるのも特徴の一つです。

(ソアイ羊)
(image credit by Jamain)

ただし毛の生え変わりの時期である春や初夏にはルーイングと呼ばれる素手で毛を剥がす方法により採取できます。

1年で1頭からだいだい1キログラムほどの毛が取れるといい、2~4キロ以上も取れる羊毛用の羊よりは随分と少ないようです。

歴史的にあまり食肉にはされていないといいますが、一般的な羊肉と比べ脂身が少なく柔らかでコレステロール値も低いといいます。

食肉として非常に良質に感じますが、成長が遅くとれる肉の量も少ないということで、そのままではあまり食肉用としては適していない種なのかもしれません。

ソアイ羊の話が長くなってしましました。

ソアイ島のシー・モンスターの話に移りましょう。

1959年9月、この「羊の島」ことソアイ島沖で、サメ漁師のテックス・ゲデス (Tex Geddes) 氏とエンジニアのジェームズ・ギャビン (James Gavin) 氏がボート上から奇妙な海生生物に至近距離で遭遇します。

大きな口をパクパクと開閉しており、口内にはなんらかの吊り下がった組織構造が確認できたといいます。

この遭遇事件は、その目撃証言から怪物のイラストが作成され、イラストレイテド・ロンドン・ニュース (Illustrated London News) にも取り上げられました。

そういうこともあり、現在一般的に出回っているソアイ島のシー・モンスター像はこのイラストレイテド・ロンドン・ニュースのものです。

このイラストを見る限りカメの化け物といった感じです。

怪物の大きさはゲデス氏によれば8~10フィート (約2.4~3.0メートル)、ギャビン氏によれば6~8フィート (約1.8~2.4メートル)。

漁師を生業とするゲデス氏のほうが海洋生物に親しんでいるはずで、体長の見積もりもより正しいのでは?という先入観が働きます。

が、両氏の見積もりは「水面上に見えていた部分」の大きさであり、実際はもう少し大きかった可能性があります。

となるとカメの大きさとしてはゲデス氏の見積もりは少々大きすぎるような気もします。

また怪物の背中もしくは甲羅の正中線上に鋭く大きなトゲがノコギリの歯のように並びます。

しかしこの「背中からトゲを生やしたカメの化け物」のイメージはイラストレイテド・ロンドン・ニュースのものです。

(二人のスケッチ/ゲデス(左)、ギャビン(右))
(image credit by Cryptozoology Online)

当の本人たちの目撃スケッチは少々異なり、よりウミガメ的であり正中線上のトゲも実はそれほど大きくないことが分かります。

イラストレイテド・ロンドン・ニュースのイラストレーターによって、より怪物的に変貌させられた感じです。

そこで候補となるのはもちろん現世最大のカメ、オサガメ (Dermochelys coriacea) です。

(頭を水上に上げ泳ぐオサガメ)
(image credit by Scott R. Benson/Public Domain)

オサガメは大型のもので甲長1.8メートル、体長2.2メートルにも成長する巨大なウミガメで、最大記録で甲長2.1メートルの個体も発見されています。

ゲデス、ギャビン漁師が遭遇したのは規格外に成長したオサガメだったのではないか?

そしてオサガメである可能性をさらに補強するのがふたりが証言した口内の描写「吊り下がった組織構造」です。

オサガメの主食はクラゲで、一説には一日に体重の70%以上ものクラゲを食べるともいわれています。

そのクラゲを効率よく捕らえ咀嚼・切断できるよう、オサガメの口内は大小のトゲでびっしりです。

(オサガメの口内)
(image credit by METRO)

この棘は食道まで続き、大きく口を開けたオサガメの口内に見えるトゲを目撃者たちは「吊り下がった組織構造」と表現した可能性が十分考えられます。

問題は背中 (甲羅) のトゲですが、これは甲羅に走る縦のキール (筋状の隆起) の緩やかな凹凸をトゲと認識してしまったのではないでしょうか。

これらを総合すると、やはりソアイ島のシー・モンスターの正体は規格外に大きく成長したオサガメではないかと思われます。

たとえ正体がオサガメだったとしても史上最大級の大きさだったに違いありません。

(参照サイト)
Scientific American

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