2020年1月25日土曜日

ミミック・トイレ ~ ネペンテス・ラジャ


■ミミック・トイレ ~ ネペンテス・ラジャ

ネペンテス・ラジャ (Nepenthes rajah) はボルネオに自生する植物で、いわゆるウツボカズラと総称される食中植物の一種です。

和名が不明のため今回はネペンテス・ラジャで通します。

ネペンテス・ラジャは非常に大柄なウツボカズラで、ツボ (捕虫袋) の平均的な大きさで長さ20センチ程度、最大のもので40センチをオーバーします。

(41センチのネペンテス・ラジャ)
(image credit by Gina Hamilton)

このツボには昆虫をはじめとする節足動物を溶かす消化液がたっぷり3.5リットルも入っています。

メインディッシュはもちろん昆虫やムカデなどの小さな無脊椎動物ですが、容量が大きいだけにカエルやトカゲ、鳥やネズミといった脊椎動物なども餌食となっているのが発見されています。

さすがに昆虫以外は弱っている小動物が勝手に足を滑らせ溺れ死んでいるだけかもしれませんが、デカいだけにそういった小動物すら余裕で収納できます。

とはいえ、ネペンテス・ラジャはそういった大物を捕らえようと大きなツボを成長させているわけではありません。

ネペンテス・ラジャをよく見ると立派な蓋がついており、ツボ部分と合わせるとまるで洋式トイレを思わせます。

シルエットがトイレに似ているばかりか、実は本当に野生動物のトイレに「進化」しています。

といっても誰でも使える公衆トイレではなく、ある動物専用トイレです。

その動物とはツパイの一種、ツパイア・モンタナ (Tupaia montana) です。

このツパイ、旧サイトでは調べても和名がわからなかったので、英名マウンテン・ツリーシュルー (Mountain treeshrews) からマウンテンツパイと勝手に呼んでしましたがどうやらヤマツパイが正しいようです。

ヤマツパイは尾を含めなくても30センチもあり、尾を含めるた全長は50センチを超える大きめのツパイです。

(image credit by Ch'ien Lee)

ネペンテス・ラジャにとってこのヤパツパイ様は大事なお客様であるため、この大柄なツパイにご不便なくご利用いただけるよう、ネペンテス・ラジャのツボも大きく進化させたというわけです。

この洋式トイレの蓋部分、雨水が入り込み消化液を希釈してしまうのを妨げる役目があるのはもちろんのこと、実は蓋の内側にはヤマツパイの大好きな甘い蜜が分泌されています。

ヤマツパイはこの蓋の蜜を舐めに来るわけですが、そうするとツパイのおしりは自ずとツボの穴の方を向くわけで、食事中に糞をするとそのままツボの中に落ちていきます。

そう、ネペンテス・ラジャが欲しかったのはこのヤマツパイの糞です。

食虫植物の自生する土地は一般的に土壌中に窒素 (やリン) が不足している場所で、そういった不足分の栄養を昆虫などを捕らえて補うというのが食虫植物のシステムです。

で、トイレに偽装したネペンテス・ラジャはヤマツパイの糞を集めることによって窒素を補っているというわけです。

ただしご利用いただいているヤマツパイ様の中に、足を滑らせ壺の中に落っこちてしまい糞どころか体そのものをご提供いただいた方もいらっしゃったということです。

ご利用いただき誠にありがとうございます。

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2 件のコメント:

  1. 最初期のサラセニア、アーケオアンフォラ(Archaeamphora)が草本の高さ5cmくらいしかなかったのを見るととても巨大になりましたね・・・

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  2. ウツボカヅラなどの近縁種は哺乳類や爬虫類の骨も消化されるのでしょうか?消化されるなら、B級ミステリーできそうですね

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