■車をひっくり返すほど怪力のハイラックスがいるらしい ~ ディブ
今回は東アフリカ、特にソマリア、エチオピアで目撃されるUMA、ディブ (Dib)。
パラノーマル感はほとんどなく、実在しても全くおかしくないUMAですが、こういっちゃなんですがその分神秘性は薄れます。
現地のソマリアではデワホ (dewacco) と呼ばれ、その姿はハイラックス (Hyracoidea) に似ているといいます。
ハイラックスは中東、アフリカに生息する生物で、和名の「イワダヌキ」というほどタヌキそっくりではありませんが「耳の小さな短毛のタヌキ」といった雰囲気はあります。
むしろプレーリードッグやウッドチャック、マーモットなんかの齧歯類に似ているかもしれません。
実際上顎の門歯は一生伸び続け (下顎の門歯は成長が止まる) 齧歯類を思わせますが、その目見た目大きさにも関わらず、解剖学的にはむしろゾウやカイギュウに近いともいわれています
さて目撃情報からディブの体長は1.2メートル、肩高0.6メートル、中型犬ぐらいで全くもって現実的な大きさです。
ですがハイラックスは最大で0.7メートルほど、ディブの正体がハイラックスの現生種と考えるには少々大き過ぎるかもしれません。
さらにいえばディブはそれほど大きくないにもかかわらず獰猛で、車の下に潜って車をひっくり返すほど力が強いなどといわれています。
この辺りの大きさと怪力具合のアンバランスさにパラノーマル感があっていかにもUMA的でいい感じです。
というわけでUMAの正体としては定番の絶滅種、今回はハイラックスの祖先3種を紹介しましょう。
まずはギガントヒラクス (ギガントハイラックス, Gigantohyrax)、現在の南アフリカに生息していたハイラックスの祖先で、「ギガント」という名前の割にはそれほど大きくなく体長は1メートルを超えるほどでした。
しかし現生種と比較すれば全然大きいのは確か、候補のひとつとして申し分ないです。
お次はメガロヒラクス (メガロハイラックス、 Megalohyrax)、こちらは「メガロ」の名に恥じぬ巨大さでバク (Tapiridae) を少し小柄にした程度、体長は1.5メートルほどもあるハイラックスでした。
こちらは候補としては申し分ないどころかUMAよりデカいです。
最後はティタノヒラクス (ティタノハイラックス, Titanohyrax)。
学名に「ギガント」「メガロ」と「巨大」を意味する形容詞を冠したハイラックスの祖先が続きましたがこちらは「ティタノ」とこれまた「巨大」を意味する形容詞を冠したハイラックスです。
メガロヒラクスでも十分大きかったですが、ティタノヒラクスはさらにその上を行き、ティタノヒラクスの最大種ティタノヒラクス・ウルティムス (Titanohyrax ultimus) は1.3トンに達したと考えられています。
ハイラックスの現存種は最大個体で70センチ、その多くは30~60センチぐらいしかありませんからとてつもない大きさであることが分かるでしょう。
UMAのディブの方はというと1.2メートルほど、こんなに大きくなくてもいいんです。
目撃例が救いなうえに、目撃の多いソマリアが政情不安により生物学者が気軽に足を踏み入れることができる国とは到底言い難いことを考慮すると、ひょっとすると新種の大型のハイラックスが潜んでいる可能性も無きにしも非ず。
あとは現存種で考えられるものとしては小型の生ける重戦車ラーテルことミツアナグマ (Mellivora capensis) といったところでしょうか。
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