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2020年5月1日金曜日

巨大なオタマジャクシ ~ クイーンズランド・シー・モンスター (シー・サーペント)


■巨大なオタマジャクシ ~ クイーンズランド・シー・モンスター (シー・サーペント)

今回はクラシックUMAの中でも知名度の高いクイーンズランド・シー・モンスター (Queensland sea monster) です。

その姿から「巨大なオタマジャクシ (Giant tadpole)」と形容される場合もあるシー・サーペントです。

目撃されたのが、オーストラリア、クイーンズランド州東沖に浮かぶフック島のストーンヘイブン湾 (Stonehaven Bay) であることから、海外では通常フック・アイランド・シー・モンスター (Hook Island sea serpent) と呼ばれます。

稀に湾名であるストーンヘイブンを冠して呼ばれる場合もありますが、スコットランドの同名都市でもシー・サーペントの目撃があり非常に紛らわしいので、こちらはクイーンズランド・シー・モンスターフック・アイランド・シー・モンスターと呼んだほうがいいでしょう。

(巨大ウナギタイプのシーサーペントの目撃は多いといえます)

さてクイーンズランド・シー・モンスターの写真ですがこれは1964年12月12日、フランス人のロベール・ル・セレック (Robert Le Serrec) 氏により撮影されたものです。

ほとんどのUMA本で取りあげられている有名な写真です。

遠浅で砂底まで見える澄んだ水、そして穏やかな波間に浮かぶ手こぎボート、この上なく平和そうな構図に映り込む、得体のしれない巨大な黒い影。

目撃者は撮影者であるセレック氏本人とその家族、そして彼の友人たちです。

真っ黒な体、大きな頭部から尾に向かって先細りの体型は、まさに長大なオタマジャクシといった感じです。

撮影者であるセレック氏は撮影当時の状況をこう説明します。

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「20フィート (約6メートル) ぐらいのところに近づいてやっとサーペントの頭部をはっきり確認できました。

頭部はとても大きかったです、厚みも幅も4フィート (1.2メートル) ぐらいありました。

下顎はサンドフィッシュ (注) のように平らでした。

(注:サンドフィッシュは魚のハタハタ (Arctoscopus japonicus) のことですが、スナトカゲ (Scincus scincus) のことをコモン・サンドフィッシュというのでこちらではないかと思います)


(スナトカゲ)

表面は滑らかでしたが、艶はなく茶色味がかった黒色で、目は淡いグリーンですがほとんど白といった感じでした。

皮膚はウナギというよりはサメのようでしたが、ウロコは確認できませんでしたし寄生虫がついているようには見えませんでした。

しなやかな尾は揺れていたように思います。

ヒレやトゲといったものもなく、あるべき場所にエラも確認できませんでした。

といっても、われわれはその生物の威嚇するような口に目が釘付けとなっていたため、よく見ていなかったのだと思います。

歯は小さかったです、暗い物質の破片のようなものが上顎の歯列から垂れ下がっており、ひょっとすると魚なのかもしれません。

怪物は砂底に腹ばいになっていたため、腹部の体色は確認できませんでした。

体長は90フィート (約27メートル) ぐらい、頭部の後ろから25フィート (約7.5メートル) ほどまで体の厚みは変わらず2フィート4インチ (約71センチ) ぐらい、そこから尾の先端に向かってムチのように先細りです。

体の全体的な色は黒、5フィート (約1.5メートル) ごとに体を一周する幅1フィート (約0.3メートル) の茶色味がかったリング模様があり、一番はじめのリングは頭部のすぐ後ろにありました」

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シー・サーペントとは巨大な海蛇状の生物の総称であり、特に決まった姿をしているわけではありませんが、このクイーンズランド・シー・モンスターシー・サーペントの中でも目撃の多いいわゆる巨大ウナギタイプのものです。

UMA史上、もっとも鮮明に撮影されたUMA写真のひとつであり、1964年という時代からもデジタル的な画像加工は施されていないことは確かです。

(アメリカ、マサチューセッツ州のケープコッドで撮影された魚の群れ)
(image credit by The Charlette observer)

完全に水面に没した状態のシー・サーペントのシルエットは小魚の群れで説明される場合が多々あります。

確かに遠目で見た小魚たちの魚影は細長く連なっている場合、時としてシー・サーペントやレイク・モンスターに見える場合があります。

この写真についてもその説を推す声が多いですが、かなり近くで撮影されておりスムーズな輪郭からも魚の群れではないでしょう。

では本物のシー・サーペントか?となると話は違います。

この写真は公開当初から大きく疑われた写真です。

それは撮影者であるロベール・ル・セレック氏に原因があります。

かれは信頼されていない人物だったからです。

一説にはセレック氏は詐欺によりインターポールより国際手配されていた、本国で多重の債務を抱えておりこのオーストラリア旅行直前にシーサーペントの撮影で一儲けすると言っていた等々、非常に怪しいバックグラウンドを持ちます。

(中南米に生息するタウナギの一種、体長40センチ程度)

よっぽどなUMAでも擁護する未確認動物学者アイヴァン・T・サンダーソン (Ivan T. Sanderson) 氏だけは優しいので巨大なタウナギ説 (注) を提唱してくれます。

(注:せいぜい10~50センチ程度、ただしシンブランクス・マルモラトゥス (Synbranchus marmoratus) は最大1.5メートルの記録があるということ、にしても遠い)

しかし、同じく未確認動物学者であるベルナール・ユーヴェルマンス (Bernard Heuvelmans) 氏、ローレン・コールマン (Lauren Coleman) 氏らはセレック氏について「信頼できない人物」とはっきりと言及しておりフェイク (プラスチック製のハリボテ) であると非常に手厳しい。

疑惑の写真であることは紛れもない事実ですがセレック氏やその家族、友人もフェイクであることを白状したわけでもなく、また写真も加工を施した跡が発見されたわけでもありません。

たとえフェイクだとしても真実は藪の中、半世紀以上にも渡ってUMAファンを楽しませてくれたセレック氏には逆に感謝すべきかもしれません。

(参照サイト)
UNMYST3
SCIENTIFIC AMERICAN

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1 件のコメント:

  1. >かなり近くで撮影されておりスムーズな輪郭からも魚の群れではないでしょう。
    残念ながら去年の「世界遺産」のグレートバリアリーフの回で、
    まんまの形で動く魚群が思いっきり映ってたので、魚群で確定かと……

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