今回はオーストラリア、ニューサウスウェールズ州のボンダイビーチ (Bondi Beach) で発見された謎の生物の死骸です。
ダークグレーと白に綺麗に染め分けされた体色、クチバシのように飛び出た口吻 (こうふん) 、そこだけ見ればペンギンのような雰囲気を漂わせます。
ん?ミュータント (突然変異) のペンギン?
そもそもボンダイビーチにペンギンが来るの?
実はボンダイビーチには少ないながらコガタペンギン (Eudyptula minor) が訪れます。
コガタペンギンは英名でもリトル・ペンギン (Little Penguin) と呼ばれ、その世界最小の小さくかわいらしい姿から妖精ペンギン (Fairy Penguin) と呼ばれることもあります。
そっかー、コガタペンギンのミュータントかぁ、、、かわいそう、、、
(image credit by Drew Lambert)
いやいやいあ、さすがにこんな湯たんぽみたいな形状で左右に広がった頭部は、ペンギンのそれとは似ても似つきませんし、鼻孔のような溝がありますし目も確認できません、ペンギンなわけないです。
さらに体全体を前後左右、どこからみてもヒレも四肢らしきものも確認できません。
どうやって水中を移動していたのでしょう?本当に海生生物?
単にヒレや四肢はちぎれてしまっただけなのでしょうか?
まずはその前に、もうお気づきの人も多いと思いますが、頭部が正面を向いているように見えるものの、冷静に見ればこの口は体の腹側に位置し、状態が逆エビ状に反りあがって正面を向いているだけなのでは?
腹側にある口の位置からこの生物はサメかエイ、軟骨魚類の仲間に違いありません。
サメかエイか?と言われたら、小さい割には厚みがあり、サメっぽく見えますが、ぐるっとこの怪物を一周しても、やはり背ビレも尾ビレも見当たりません。
湯たんぽみたいに分厚いのは気になりますが、エイのようです。
と、実は正体は判明しており、この生物は死ぬと姿が変わってしまうことでも有名な、ゴウシュウシビレエイ (Hypnos monopterygius) です。
(ゴウシュウシビレエイ)
(image credit by Wikicommons)
「シビレ」という名前の通り、シビレエイ (電気エイ) の仲間で、ゴウシュウシビレエイはその中でもトップクラスの最大200ボルトの電圧を獲物に浴びせることができます。
体長は40センチほど、生きているころからかなり特異な姿をしており、尾が異常なほど短くヌメヌメとしたその姿は、まるでエイどころかウシノシタ (シタビラメ) の仲間みたいです。
ゴウシュウシビレエイの英名はコフィン・レイ (Coffin ray)、「棺桶のエイ」です。
これは死して砂浜に打ち上げられると、体が膨張して「棺桶」のような姿になることに由来します。
今回の死体もエイとは思えないほど、体の大きさに対して厚みがあることからも納得でしょう。
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