2023年1月11日水曜日

カリフォルニアの生ける獣脚類 ~ ローン・パイン・マウンテン・デビル


■カリフォルニアの生ける獣脚類 ~ ローン・パイン・マウンテン・デビル

1897年、アメリカ、カリフォルニア州にあるシエラ・ネバダ山脈 (Sierra Nevada Mountains) を数台の幌馬車が進んでいました。

幌馬車には子供から大人まで合計37人の旅行者が乗っていました。

家族もいれば知り合い同士も、独りで旅するものもいました。

一行には入植して間もないスペイン人も数人含まれており、多種多様な人々で構成されていました。

順調に進んでいた幌馬車の旅でしたが、突如一行は行方不明になったのです。

何の痕跡も残さず馬車ごと忽然と消えてしまいました。

しかし、一行が行方不明となって2か月後、偶然、炭鉱労働者によって発見されました。

それは凄惨なものでした。

みな惨殺されすでに腐敗していたのです。

子供であろうと女性であろうと無慈悲に切り裂かれ殺されていました。

旅行者すべてが殺されたものと思われていましたが、惨殺死体が発見されて数週間後のことです、ひとりの生存者がサンディエゴの小教会に辿り着きました。

敬虔なカトリック教徒、ジャスタス・マルティネス (Justus Martinez) 神父です。

汚れた衣服を纏った神父はかなり衰弱しており、唯一の所持品は手に握った日記だけでした。

しかし神父は何も語ろうとしませんでした。

それは惨殺事件を目の当たりにし沈黙の誓いを立てたからでした。

何も語ろうとしない神父でしたが、彼の日記から徐々に事件の詳細が判明していきました。


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ある夜のこと、入植してきたばかりのスペイン人たちのために祝賀会が催されました。

祝賀会は聖ロデリック (Saint Roderick) に敬意を表したもので、次第に熱を帯び始めました。

興奮したスペイン人たちは周りの木々に火をつけ、その熱狂は真夜中まで続いていたといいます。

敬虔なジャスタス神父は彼らの振る舞いに心を傷め、祝賀会から少し離れたテントで独りで過ごしていました。

そんな終わりを知らない祝賀会でしたが突如謎の生物の襲撃により終焉を迎えます。

「翼を持った悪魔」の群れが木々から現れると、一行に襲い掛かったのです。

子供も女性も容赦ありませんでした。

あっという間に皆殺しにされてしまったのです。

ジャスタス神父の日記は以下の一文で終わっていました。

「ああ、神よ。彼らはみな天へ召されました。

翼を持つ悪魔がまたも現れたのです!

いったい汝の聖なる地を彼らがいかほど冒涜したというのでしょう。

赦 (ゆる) しを与える主よ、地獄の深みへ導かれし彼らの魂を見捨てられんことを!

地上を焼きつくす炎に耐えしものは山の頂 (いただき) に遺る1本の木のみ。

そして我が命に慈悲をかけし悪魔たちはローン・パインの寝床へと還っていきました」

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(original image credit by Wikicommons/Cheung Chungtat)

今回は日本のUMA本でもあまり聞かないマイナーなUMA、ローン・パイン・マウンテン・デビル (Lone Pine Mountain Devil) です。

ローン・パインとはアメリカ、カリフォルニア州にある国勢調査指定地域ということもあり、このUMAは単にカリフォルニア・デビルと呼ばれる場合もあります。

ローン・パイン・マウンテン・デビル、ちょっと長いので以下はマウンテン・デビルと呼びますね。

マウンテン・デビルの体は毛深くコウモリのような翼、カミソリのように鋭い爪、猛毒の牙を有しており、標的の頭部に襲い掛かり柔らかな顔や体の肉を食べるといわれています。

かれらは「地獄からの遣い」であり「自然や野生動物を軽視するもの、平和を汚すもの」を襲うといわれ、バックグラウンドは超自然的であり啓蒙的です。

先の祝賀会の人々が襲われたのもこのためのようです。

怪しげなバックグラウンドを排除した場合、マウンテン・デビルは何らかの野生動物、例えばクーガー (ピューマ) 等である可能性があります。

しかしこれが正体ではつまらない、人気があるのは小型獣脚類の生存説、特にシノルニトサウルス (Sinornithosaurus) です。

シノルニトサウルスは羽毛恐竜で体長は1メートルにも満たない小柄な生物ですが骨格の構造から毒牙を有していた可能性が示唆されており、それがマウンテン・デビルの正体として候補に挙がっているようです。

(レイク / スキンウォーカー)

但し、このマウンテン・デビル、実は2000年以降に登場したUMAでインターネット・ミーム (Internet meme)、つまりネットで広まった噂 (都市伝説) により誕生したものともいわれています。

2000年以前にマウンテン・デビルが登場する著作物等が存在していないことが大きな理由です。

(ニンゲン)

同様のものとしてはレイク (レーキ)、日本ではニンゲンヒトガタ等がインターネット・ミームにより定着したUMAとして有名でしょう。

不思議なもので、インターネット・ミームで創造されたUMAは定着すると実際の目撃者が現れ始めることで、2000年代以降、マウンテン・デビルの目撃も後を絶ちません。

存在すると信じれば存在しちゃうんですよね。

(参照サイト)

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1 件のコメント:

  1. 噂が現実になる設定のゲームがありました。
    プレイヤーが意図的に噂を流して悪魔や心霊的なものと出会うみたいな、、、
    それを思い出しました。

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