(image credit by Irish Times)
■144年ぶりに図版が発見されたシー・モンスター ~ キルキーのシー・サーペント
アイルランドのクレア州に属する小さな港町、キルキー (Kilkee)。
1850年代から、キルキーでは幾度となくシー・サーペントの目撃が相次いだといいます。
しかしそれは他の多くのUMA同様、目撃者の証言なども乏しく噂の域を出ないものでした。
そんな折、2015年、メアリー・エバンス・ピクチャー・ライブラリー社 (Mary Evans Picture Library) が、自社の所蔵する膨大な書庫をデジタル化している際に「キルキーのシー・サーペント」の記事を偶然発見したのです。
それは1871年10月に発行されたザ・デイズ・ドゥーイングス紙 (The Days' Doings) のもので、144年ぶりの「発見」といえます。
下記のコメントとともに冒頭のイラストが添えられていました。
「アイルランド北部で著名な聖職者ひとりを含む、キルキーに滞在中の紳士淑女の一行は、ダイアモンド・ロックス (Diamond Rocks) として有名な地を散策していました。
そのときです、突如、彼らが立っていた場所からおよそ70ヤード (約64メートル) 先の水面から浮上したとてつもない怪物の出現により、彼らはその場に釘付けとなりました。
非常に大きな頭部は幾分馬に似ており、後頭部から首にかけて海藻のような巨大なタテガミを蓄えていました。大きな目はギラギラと輝き、その背後の波の下には広大な体が潜んでいるようでした」
このニュースは当時アイルランドからイギリス、そしてアメリカへと世界中の新聞で取り上げられたといいます。
レトロで味のある絵ですが、証言と構図が異なることからあくまでイメージ画像といったところでしょうか。
肉眼で70ヤードも先にあるオブジェクトを、証言のようにまるで間近で見たように確認できるのか?といった率直な疑問もあります。
しかし、これが概ね証言通りであった場合、それだけ離れていても頭部や目、タテガミが確認できるということは、正確さはさておき巨大な生物であったことは確実です。
馬に似た巨大な頭部、大きな目、タテガミ、、、体の描写は「広大 (vast)」のみではっきりしませんが、シー・サーペントと謳っていることからおそらく「長大」と考えていいのではないでしょうか。
(キャディの死骸とも言われる通称「ナーデン湾の死骸 (Naden Harbor carcass)」)
これらの描写からイメージできる姿はカナダの沿岸で目撃される海生UMAキャディ (キャドボロサウルス) に似ているといえます。
しかし、イギリス、特にスコットランドやアイルランドでは水馬伝説 (Water horse, 湖や海に生息する馬のような姿をした生物) が浸透しています。
アイルランドで目撃される水馬は一般的にアハ・イシュケ (Each-uisce) と呼ばれますが、そういった「水生の怪物 = アハ・イシュケ」という先入観から頭部が「馬に似ている」と認識してしまったのではないか?
特に「タテガミ」らしきものを確認しているので余計に馬的に感じた可能性があります。
実際、新聞の表現も「馬の頭部にそっくり」ではなく「幾分ウマに似ている」といった柔らかいものです。
大きな頭部に大きな目、そしてタテガミを思わせる長い背びれ、そして長大な体、この怪物の正体はリュウグウノツカイ (Regalecus glesne) ではないかと推測します。
(1907年カリフォルニアのビーチに打ち上げられたリュウグウノツカイ (Regalecus russelli))
(参照サイト)
THE IRISH TIMES
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ストリートビューでみると遠浅の岩場のようですね。リュウグウノツカイが浅瀬で観察されるケースは結構聞きますね。泳ぎ下手そうだから浅瀬に入るとモタモタさまよっちゃうのかなあ?
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