最初に断っておくと、このジャイアント・カンガルー遭遇・襲撃事件は日本のUMA本では有名ですが、海外記事の元ネタを見つけることが出来ず、完全にUMA本の受け売りです。
もし元ネタのソースをご存じの方がいたら是非教えて下さい。
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1978年、ナチュラリストのデビッド・マッギンリー氏が、西オーストラリア州のパースの草原を愛犬のジェイソンと散歩中、思いがけない生物に出会います。
それは見たこともないほどの巨大なカンガルーでした。
千載一遇の大チャンス、マッギンリー氏は手持ちのカメラでその巨大なカンガルーを撮影しようとしたその時、カンガルーは突然マッギンリー氏に襲いかかってきたのです。
巨大なカンガルーはマッギンリー氏を蹴り倒すと、そのままうつ伏せに倒れた背中に乗りかかり、何度も何度も執拗に踏みつけました。
100キロ以上は軽くあろうかという巨体に踏み潰されたのでは成す術もありません、もはやこれまでか、、、
意識の薄れゆくマッギンリー氏、しかし間一髪、愛犬ジェイソンが勇敢にもカンガルーの尾に咬みつき、驚いたカンガルーは逃げていったといいます。
愛犬のおかげで九死に一生を得たマッギンリー氏ですが、果たしてマッギンリー氏を襲ったカンガルーは何だったのか?
(マッギンリー氏が撮影したとされる写真)
マッギンリー氏が撮影したという巨大なカンガルーの写真も1枚だけ存在します。
逆光気味で画質もあまり良いとは言えずカンガルーが写っていること以外、大きさを含め詳細は不明です。
かなりの近接での撮影に見えるため、良心的に考えれば襲われる直前、もしくは倒された後に撮影したのかもしれませんが、ブレていないことと画質の粗さを考慮すると、実際は少し遠目で撮影したものをトリミングしただけなのかもしれません。
マッギンリー氏が遭遇したカンガルーは、一説には絶滅種の巨大カンガルーではないかといわれています。
それでは絶滅した巨大カンガルーを見ていきましょう。
絶滅種の巨大カンガルーといえばまずはステヌルス (Sthenurus)。
最大種の「ステヌルス・スティルリンギ (Sthenurus stirlingi)」は、体高2.5~3.0メートル、体重200キロの超巨大カンガルーです。
最近、新種 (と思われる) の身長2.5~3メートル・274キロと推測されるカンガルーの化石が発見されましたが、まだ詳細がわかっていないのでその新種と並び史上最も背の高いカンガルーのひとつといえます。
現世のカンガルーと比較し尾は短いものの、その尾は太く強靭でした。
学名の「ステヌルス」も「強い尾」を意味します。
(ステヌルス・スティルリンギ)
そしてもうひとつの巨大カンガルーといえばプロコプトドン (Procoptodon)。
プロコプトドン属最大種の「プロコプトドン・ゴリア (Procoptodon goliah)」は体長2.7メートル、体高2メートル、体重は240キロにもなり、史上最重量のカンガルーです。
いずれの種も現生種最大のアカカンガルー (Macropus rufus) の身長1.6~1.8メートル、体重90キロを圧倒します。
マッギンリー氏を襲ったカンガルーはこれら絶滅種のカンガルーでしょうか?
ご存知とは思いますが、ステヌルスとプロコプトドンは英語で「ショート・フェイス・カンガルー (「短い顔のカンガルー」)※注」と呼ばれるように現生種よりも鼻面が短く丸みを帯びているのが特徴です。
(注)正確にはステヌルス → Giant short-faced kangaroo、プロコプトドン → Short-Faced Kangaroo
マッギンリー氏の撮影した写真に写っているカンガルーは見慣れた鼻面の長いカンガルーであり、これらの絶滅種には当てはまりません。
ということは巨大なアカカンガルー?
二の腕が普通のカンガルーより筋肉質な印象を受けますが、2018年に亡くなったマッチョ・カンガルーのロジャー (Roger) ほどではありません。
ロジャーは体高2メートル、90キロもあったオスのアカカンガルーです。
つまりはマッギンリー氏の写真は絶滅種を出さずともアカカンガルーで問題ないのでは?
このジャイアント・カンガルーの襲撃事件自体が実話なのか検討の余地があるため、写真の真贋についても同様です。
が、もしすべて事実だとした場合、言われているような絶滅種のカンガルーによる襲撃事件と考えるよりも、ロジャーのような巨大なアカカンガルーによる襲撃事件と考えたほうがしっくりきそうです。
(大神秘博物館シリーズのジャイアント・カンガルーのフィギュア)
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