2020年4月18日土曜日

第一次大戦中に爆風で宙に舞った巨大生物 ~ U-28クリーチャー


■第一次大戦中に爆風で宙に舞った巨大生物 ~ U-28クリーチャー

第一次世界大戦中の1915年7月30日、北大西洋でドイツの潜水艦SM U-28 (いわゆるUボート) がイギリスの汽船イベリアン号 (Iberian) に魚雷を発射しました。

魚雷は見事命中しイベリアン号は船首を空に向け瞬く間に海の中へと消えていきました。

2年余りの出撃で40隻を撃沈させたU-28にとって、イベリアン号は12隻目の勲章です。

水中に没して約25秒後、イベリアン号のボイラー室が爆発し凄まじ衝撃音とともに海が揺れました。

そしてイベリアン号の残骸とともに見たこともない巨大な生物が宙を舞ったのです。

(SM U-28)

後に「U-28クリーチャー (U-28 creature)」と呼ばれることになる未確認生物です。

それは一瞬のことでしたが、目撃証言によれば80フィート (約24メートル) もの高さまで舞い上がったといいます。

「その時わたしは展望塔で機関長、航海士、操舵士ら含む6人の将校たちと一緒でした。

われわれは残骸の中で身をよじってもがき苦しむ「海の奇跡」に目を奪われていたのです。

その生物がいったいなんなのか?我々に知る術はありませんでしたが、皆一同に水生のワニに似ているという意見は一致しました。

体長は60フィート (約18メートル)、水かき状の四肢を持ち、長く尖った尾、先細りの頭部をしていました。

残念ながら10秒やそこらでその生物は沈んでしまったため写真に収めることは叶いませんでしたが」

当時のU-28の艦長であったフライヘル・ゲオルク・ギュンター・フォン・フォルストナー (Freiherr Georg-Günther von Forstner) 氏によるインタビュー記事です。

ちなみにフォルストナー氏の息子4人のうち2人が同じくUボートの司令官、そのうちの1人は著名な軍人ジークフリート・フライヘル・フォン・フォルストナー (Siegfried Freiherr von Forstner)であり、他の息子2人も陸軍将校、祖父と粗祖父も陸軍将校というエリート軍人一家です。

この証言はUMAの証言や目撃情報にありがちな架空のものではなく、新聞にも掲載された正真正銘の「実在する」人物のインタビューです。

それ故、U-28クリーチャーはヨーロッパ中に知れ渡ることになります。

一体この生物はなになのか?まずは既知動物で考えてみましょう。

目撃情報どおりであれば、そんな巨大なワニは現存しておらず、また目撃場所もアイルランド沖ととてもワニが生息できるような温暖な地域ではないため新種の生物で間違いなしです。

しかし大きさは当てになりません。

比較対象の少ない海のど真ん中、しかも宙に舞った物体の大きさを正確に (しかも一瞬で) 認識できる人はなかなかいるものではありません。

18メートルという体長を無視し、単に巨大 (10メートル前後) な生物と考えてみましょう。

(ザトウクジラ)

既知生物で巨大かつプロポーションが似たものとして、まずザトウクジラ (Megaptera novaeangliae) を候補に挙げたいと思います。

非常に大きな胸ビレと尾ビレをもつことからシルエットとしては四肢のように見えなくもないからです。

そしてもうひとつの候補が腐敗したウバザメ (Cetorhinus maximus) です。

(ニューネッシー (ウバザメの死骸))
(image credit by Michihiko Yano/Wikipedia)

ニューネッシーを出すまでもなく、軟組織が脱落したウバザメは首長竜のようなシルエットに変貌してしまうことがあります。

そういったウバザメの死骸がたまたまこの爆風に巻き込まれ中に舞い上がった、その可能性も考慮したいところです。

死骸であれば「身をよじってもがき苦しむ」という証言とは矛盾しますが、爆風により体がグニャグニャっと揺れ動いたと考えることもできます、ただし腐乱死体であれば爆風でバラバラになってしまう可能性のほうが高いかもしれません。


絶滅種に目を向ければやはりその特徴からモササウルス (Mosasaurus) やバシロサウルス (Basilosaurus) 等が人気です。

U-28の乗組員は本当にそのような生物を見たのか?

名のある軍人であり、作り話をしてもなんの特もないフォルストナー氏であるから、この話は実話に違いないとの向きもあります。

しかしそういった職業ステータスで証言を鵜呑みにするのは非常に危険です。

詐欺が横行するのもそういった先入観なのですから。

前述したとおり、フォルストナー氏は名のある軍人であり実在した人物です。

そして新聞に掲載されたインタビューもかれ自身によるものです。

しかしそのインタビューはU-28クリーチャーを目撃して19年後の1934年のことでした。

フォルストナー氏の証言によれば自分も含め6人の目撃者がいるということでしたが、4人は既に戦死、残るひとりもU-28クリーチャーについて口を閉ざしています。

1934年、フォルストナー氏は19年の沈黙を破りなぜこの年に「怪物」について証言をしようと思ったのか?

(ネッシーブームの火付け役、外科医の写真)

当時の航海日誌にもその生物の記述はなく彼の心の中を探る手がかりはありません。

沈黙の理由は誰にも分からなかったのです。

ただし、、、1934年といえばネッシーブームの起爆剤となった「外科医の写真」が公開された年であり、フォルストナー氏の証言は外科医の写真公表後であったことを付け加えておきましょう。

(参照サイト)
CRYPTOPIA

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