(「スタードルフィッシュ」image credit by New York Times)
■ラボで事故的にハイブリッド個体が誕生する ~ スタードルフィッシュ
今日の主役はチョウザメ。
レイク・モンスターの正体として淡水魚最大級に成長するチョウザメは頻繁に登場しますが、今回はそういった話ではありません。
ハンガリーのラボでホシチョウザメ (Acipenser gueldenstaedtii) とアメリカのヘラチョウザメ (Polyodon spathula) の繁殖について研究していたところ、意図せずしてハイブリッド個体が創造されました。
その姿こそ両者はあまり似ていませんがいずれもチョウザメ目の魚です。
キャビアと言えばチョウザメの卵ですがヘラチョウザメの卵もまたパドルフィッシュ・キャビアとして高額で取引されています。
(パドルフィッシュ・キャビア)
(image credit by Betty Wills)
ラボではチョウザメの卵の近くにヘラチョウザメの精子を置き、チョウザメの卵を無性生殖で孵す実験を行っていたといいます。
いわゆる雌性発生 (しせいはっせい, gynogensis) であり遺伝情報はすべて母親から引き継がれるためハイブリッド (雑種) とならない、、、そう思っていたのですが結果は異なりました。
チョウザメとヘラチョウザメの交雑種が誕生したというのです。
チョウザメとヘラチョウザメは英語でそれぞれ「スタージョン (Sturgeon)」「パドルフィッシュ (Paddlefish)」と呼ばれるため、このハイブリッド個体は「スタードルフィッシュ (Sturddlefish)」と名付けられました。
8匹のスタードルフィッシュのDNAを分析したところ、一部のものはチョウザメのそれに近かったものの、残りの個体は完全にチョウザメとヘラチョウザメのDNAが混じり合っていたといいます。
(ヘラチョウザメ)
スタードルフィッシュの見た目はほぼふつうのチョウザメですが、中にはヘラチョウザメのような小さな「ヘラ」と「ヒレ」を獲得した個体もいたそうです。
非常に興味深いスタードルフィッシュですが、このプロジェクト・リーダーであるモーツァール (Mozsár) 博士は今後少なくとも意図的に誕生させることはないと言っています。
というのも、まだ誕生して間もないので詳しいことは分からないものの、おそらくスタードルフィッシュは繁殖能力は持たないだろうと考えているからです。
キャビアを生産できない以上スタードルフィッシュに商業的価値はほ低く、興味本位だけでの研究には余裕がないからでしょう。
しかし誕生させてしまった以上、責任を持ってこのスタードルフィッシュたちは育てると言っています。
しかしそれも大変そうです。
長命なことで知られるチョウザメとヘラチョウザメ、特にチョウザメの寿命は50~100年、一説にはそれ以上ともいわれており、随分と長い期間飼うことになりそうだからです。
(参照サイト)
news.com.au
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