■コンゴの超巨大ワニ ~ マハンバ
今回はマハンバ (Mahamba)。
多くの恐竜系UMAが伝わることで知られるコンゴ共和国。
その東の国境を挟んでコンゴ民主共和国があります。
接しているうえに国名も似通っているため、コンゴ共和国のUMAなのか、それともコンゴ民主共和国のUMAなのか、はっきりしない、あるいは混同されているものもたくさんあります。
国土はコンゴ共和国の7倍弱もあり、国境も接していることから、同じUMAが目撃されていたとしても何ら不思議ではないのですが、紹介するときにいつも少々戸惑っています。
今回紹介するマハンバもまた、どちらのコンゴで目撃されるUMAなのか微妙な存在です。
というのも、マハンバはコンゴ民主共和国のUMAといわれているものの、リクアラ (Likouala) 地域の河川やテレ湖 (Lake Tele) で目撃されるとの情報があるからです。
リクアラはコンゴ共和国の県ですし、テレ湖もリクアラにある淡水湖で、こちらはコンゴ共和国のUMAということになります。
まあ、ほとんどの人は「どっちでもいいや」だと思いますので、気にせずマハンバを見ていきましょう。
― 50フィートの巨大ワニ ―
マハンバは、ひとことで説明すれば「巨大なワニ」といえます。
アフリカ系、特にコンゴ周辺のUMAには恐竜系のものが多く、実在性がかなり怪しいものも少なくありません。
そういった点では、正体が「ワニ」と考えられるマハンバは、比較的現実味のあるUMAといえるでしょう。
ただし、大きさがとんでもありません。
目撃情報によれば、その全長はなんと50フィート、約15メートルにも達するといいます。
アフリカにはナイルワニ (Crocodylus niloticus) という巨大なクロコダイルが生息しており、300人超を殺したという伝説の人食いワニ、ギュスターブ (Gustave) も実在します。
しかし、50フィートという数字はあまりにも高い壁です。
ナイルワニはイリエワニ (Crocodylus porosus) には及ばないものの、現生では最大級のクロコダイルのひとつです。
それでも公式な最大記録は21フィート2インチ、約6.5メートル、2400ポンド、約1088キログラムとされ、マハンバの50フィートには半分にも届きません。
普通に、というか常識的に考えれば、おそらく巨大なナイルワニが誇張されて伝わったものなのでしょう。
しかし、それでは楽しくない(?)。
ということで、ここからは絶滅種の巨大ワニをマハンバの正体候補として見ていきましょう。
― 北米の怪物、デイノスクス ―
(デイノスクス)
(image credit : Wikicommons)
まず一番人気は、白亜紀後期の北米に生息していたデイノスクス (Deinosuchus)。
特に大型個体では、かつて全長50フィート、約15メートルにも達したと推定されていました。
まさにマハンバと同じサイズです。
当時の推定に基づけば、史上最大級のワニ類としてマハンバの正体にうってつけだったわけです。
ただし、巨大ワニのサイズ推定というのはなかなか難しいもの。
デイノスクスも、その後の研究によって推定値は40フィート、約12メートル、さらに33フィート、約10メートルと縮小傾向にあります。
マハンバと同じ50フィートという数字は、現在ではかなり厳しくなってきました。
とはいえ、10メートル級に達する巨大ワニだったこと自体は変わりません。
― 南米最大級の怪物、プルスサウルス ―
(プルスサウルス)
(image credit : Wikicommons)
そしてお次は、デイノスクスにも劣らない南米の巨大ワニ、プルスサウルス (Purussaurus)。
その最大種であるプルスサウルス・ブラジリエンシス (Purussaurus brasiliensis) は、デイノスクスと同等クラスの体長を誇ったといわれます。
こちらも当初は威勢のいい70フィート、約21メートルという推定値が出されていました。
しかし、こちらも研究が進むにつれて推定値は縮小傾向にあります。
それでも10メートルを大きく超える可能性が考えられている、まさに「生きていたら絶対に遭遇したくない」タイプの巨大ワニです。
ただし、こちらも生息地は現在の南米。
マハンバの生息地とされるコンゴとは、地理的なつながりがありません。
― アフリカにいた巨大ワニ、サルコスクス ―
(サルコスクスの骨格)
(image credit : Wikicommons)
そして最後の候補が、サルコスクス・インペラトル (Sarcosuchus imperator)。
その体長は31フィート、約9.5メートルとされ、しかも生息地はアフリカ。
南米にも近縁種が存在していたとされるため、マハンバの正体候補としては願ったりかなったりな存在です。
何より「アフリカに実際に生息していた巨大なワニ」という点は、北米のデイノスクスや南米のプルスサウルスよりも説得力があります。
しかし、ここにも決定的な問題があります。
サルコスクスが生息していたのは白亜紀前期。
およそ1億1200万年前にはすでに存在していた巨大ワニであり、その後絶滅したと考えられています。
つまり、現代のコンゴに生き残っていると考えるなら、結局のところ「絶滅した巨大爬虫類の生き残り」という、恐竜系UMAとそれほど変わらない難易度になってしまいます。
― 巨大ワニは本当にいるのか ―
結局のところ、マハンバを現生のナイルワニとして考えるなら、50フィートというサイズが最大の壁になります。
一方で絶滅した巨大ワニに目を向ければ、10メートルを超える生物そのものは、かつて地球上に実在していました。
デイノスクス、プルスサウルス、サルコスクス。
いずれも現代のワニとは比較にならない巨体を誇り、もしその姿を現代人が目撃したなら、まさに「恐竜」としか思えないでしょう。
しかし、彼らが現代まで生き残ったという証拠はありません。
そう考えると、結局のところ一番現実的なのは、コンゴの水辺に生息する巨大なナイルワニが、暗い水面や距離によって実際以上に巨大に見え、伝承の中でさらにサイズを増していったという説でしょう。
とはいえ、コンゴの密林と湿地には、いまだ人間が十分に調査できていない場所が残されています。
水面から突き出した巨大な頭部。
ゆっくりと揺れる長い尾。
そして、川岸から見れば15メートルにも見えてしまうほどの黒い影。
もしそんなものが濁った水の向こうから現れたなら、目撃者がそれを「50フィートの怪物」と語ったとしても、あながち笑い話ではないのかもしれません。
もちろん、本当に50フィートのワニが潜んでいるのなら話は別ですが。
コンゴの水底には、まだ人間が知らない「巨大」の基準が眠っているのかもしれません。











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