今回は巨大両生類系のUMA。
現世最大の両生類といえばオオサンショウウオ、その中でもチュウゴクオオサンショウウオ (Andrias davidianus) が最大と言われています。
しかし今回のUMAの大きさはそんなものではありません。
となるとUMAの定番、絶滅種まで範囲を広げないといけません。
あまり巨大生物のイメージのない両生類ですが、絶滅種となるとかなりの大きさのものが存在しました。
9メートルのプリオノスクス・プルメリ (Prionosuchus plummeri) や4メートルの巨大サンショウウオと言えるクーラスクス・クレエランディ(Koolasuchus cleelandi)) などです。
こういった生物を頭に入れながら中国の両生類系UMA、ウーハン・トード (Wuhan Toads「武漢のヒキガエル」の意) を見ていきましょう。
ウーハン・トード自体は有名なUMAですが情報は少なく、主な目撃情報は1962年と1987年の2つしかありません。
まずは1962年のもの。
中国湖北省、武漢の山岳地帯にある宝峰湖 (湖南省にある観光地として有名な同名の宝峰湖とは別な湖) には地元でチャン (Chan) と呼ばれる謎の生物が生息していました。
チャンは漁師たちの悩みのタネでした、というのもチャンは非常に貪欲な食性であり湖の魚を食べ尽くしてしまうからです。
地元の漁師たちはチャンを駆除しようと湖の中心部にダイナマイトを投げ込みましたが駆除に失敗しただけでなく、怒ったチャンは漁師たちを追い上陸までしたといわれています。
チャンは透き通った白い皮膚、つまりアルビノの巨大なカエルの姿をしていたといいます。
このチャンこそ後に国外でウーハン・トードと呼ばれることになる生物です。
次の目撃はそれから25年経った1987年のことです。
北京大学の科学者9人がウーハン・トードを科学的に調査しようと宝峰湖 (湖北省) に遠征したという説と、単に湖南省 (湖北省ではありません) の動物相を調べようと遠征したという2つの説があります。
いずれにしてもこの遠征で科学者たちは湖岸にキャンプを張りビデオカメラ等の撮影の準備をしていました。
そのときです、湖面に3つの個体が現れ、警戒するようにゆっくりと調査隊のキャンプ地に近づいてきたといいます。
科学者たちはただ驚いて呆然としていると、そのうちの一匹が上陸し設置途中のビデオカメラの三脚を舌でひったくると飲み込んでしまいました。
他の二匹も上陸しひとしきり暴れまわると静かに湖へと帰っていったといいます。
目撃した科学者のひとりの証言によればウーハン・トードは幅が6フィート (約1.8メートル) もある巨大なカエルような姿をシた生物だったといいます。
さてこの2つの話を読んだ感想は?
怪物然とした古き良きUMAである一方、実在するとは考えにくいところです。
UMAは怪物的であっても、実在する可能性があってこそ興味がわきます。
この怪物性と実在性のバランスが大事です。
横幅1.8メートルのカエルのUMAでは、怪物性:実在性=100:0みたいになってしまいます。
UMAの正体の定番は絶滅種ですが、絶滅種を含めてもそんな巨大なカエルは地球上に存在していません。
冒頭に挙げた絶滅巨大両生類ですら目撃情報のように体幅1.8メートルには遠く及びません。
しかもクーラスクスに至っては体の厚みは30センチ程度と言われています。
というわけで弱冠修正を加えたいと思います。
UMAの体長は誇張されるのが常であり、生物の体幅は実際は目撃情報の半分ぐらいだったのではないか?
そこまで譲歩してもカエルに限らず両生類でその大きさを達成するのは困難です。
そこで、ウーハン・トードの正体は両生類ではない、と仮定します。
爬虫類、特にワニなどであれば目だけだして泳いでいる姿は先入観から「巨大なカエル」と誤認する要素はあります。
しかい武漢でワニが生息するには冬場はあまりに寒すぎます。
ここは思い切って哺乳類、特に泳いでいる姿が巨大なカエルっぽく見えなくもないカバなんかどうでしょう?
カバはアフリカにしか生息していませんし、武漢に持ち込んだ個体が野生化したとしてもやはり冬は寒すぎて定着するのは難しそうです。
そこでウーハン・トードは寒冷な気候にも対応できる「カバみたいな姿の未発見の哺乳類」ではないか?この線を推してこの話を締めたいと思います。
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