2019年9月29日日曜日

テントウムシをゾンビ化 ~ テントウハラボソコマユバチ


■テントウムシをゾンビ化 ~ テントウハラボソコマユバチ
Dinocampus coccinellae

虫が苦手な人たちにもおおむね好意的に受け取られるテントウムシ。

その証拠に、世界の250以上にも及ぶテントウムシの呼び名のうち、聖母、神に由来する名前は優に100を超すといわれています。

ちなみに日本の「テントウムシ」の呼び名も、太陽神である「天道 (テントウ)」の名が入ります。

話はちょっとそれむかしの話になりますが、おばあちゃんは大きな畑を持っており、子供のころ (小学校低学年) ときどき着いていっては種まきや野菜の収穫の手伝いをしたものでした。

野菜の茎や葉にはテントウムシが良く見られました。

ナナホシテントウが多かった記憶がありますが、ニジュウヤホシテントウなどもいた記憶があります。

で、おばあちゃんの頭の中は「昆虫=野菜を食う憎き生物」というの構図が出来上がっており、テントウムシを見つけ次第、履いているゴム長靴で原形をとどめないほど粉砕していました。

子供のころは昆虫が好きで「ナナホシテントウはアブラムシを食べる益虫であるからどうか助けてやってくれないか?」との旨を伝え交渉をしましたが、「こいつは野菜を食うわりーやつなんだっ!」と吐き捨てるだけで、かわいい孫の助言を聞き入れる様子はなく、害虫であるニジュウヤホシテントウもろとも益虫の粉砕に余念がありませんでした。


さて、この神にたとえられテントウムシを、うちのおばあちゃん同様、文字通り、神をも恐れぬ仕打ちを与える生物がいます。

テントウハラボソコマユバチという寄生性のハチです。

この寄生蜂は小柄であるテントウムシよりもさらに一回り小柄なハチです。

テントウハラボソコマユバチはテントウムシを見つけると麻酔を打ち、その後、卵をひとつだけ産み付けます。

産み付けられた卵からテントウハラボソコマユバチの子が孵ると、テントウムシの体内に侵入しを殺さないよう上手に食べていきます。

宿主のテントウムシ殺してしまうと、のちのち自分の人生に不利に働くからであって、もちろんテントウムシの将来を気かけてのものではありません。

テントウムシの体内で体を食べまくって数日、蛹になるためテントウハラボソコマユバチはテントウムシのおなかを突き破って出てきます。

その大きさたるやテントウムシと引けを取らないかなりのサイズで、テントウムシの体内はほとんど空っぽなのではないかと思えるほどです。

よくぞテントウムシは死なずにいられたものと不思議です。

さて、出てきたテントウハラボソコマユバチの幼虫は早速繭を作りますが、それは出てきたおなかのすぐ下、つまりテントウムシは繭を抱くような形になります。

このとき、テントウムシは生きている場合とすでに死亡している場合があり、生きている場合は繭を奪いにくる他の虫たちを威嚇し追い払ってくれます。死亡している場合はもちろん守ってくれません、そういうわけでテントウムシを死なないように食べる方が得なわけです。

テントウハラボソコマユバチ自身、成虫になりさえすればテントウムシは完全に用済み、死んだところで一向に構わないのですが、驚くことにテントウハラボソコマユバチに寄生されたテントウムシの30~40%は死なず、産卵するものさえいるといいます。

神をも恐れぬテントウハラボソコマユバチと書きましたが、テントウムシを殺さなかったのはかれらなりに敬意を払っていた証拠なのかもしれません。(少なくともうちのおばあちゃんよりは)

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