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2019年9月27日金曜日

殺人アメーバ ~ ネグレリア・フォーレリ (フォーラー・ネグレリア)


■脳食いアメーバ ~ ネグレリア・フォーレリ

一昔前までアメーバは、基本的に人体に無害な生物と考えられていましたが、現在ではそでないことが分かってきています。

殺人アメーバことネグレリア・フォーレリ (Naegleria fowleri, フォーラー・ネグレリア) を筆頭に、赤痢アメーバアカント・アメーバなど、人間の命を奪うほど危険なアメーバが存在するからです。

ネグレリア・フォーレリは簡単にいうと人間の脳を食い荒らすことで感染者の命を奪います。

この「アメーバ」「殺人」「脳を食う」という組み合わせが衝撃的であり、ネグレリアに感染して死亡者が出ると必ずといっていいほどニュースになります。

この殺人アメーバことネグレリア・フォーレリは日本を含む世界中の淡水域、つまり池や川、湖に生息し、特に25度を超す高めの水温を好みます

感染は至ってシンプルで、泳いでいるときにアメーバは鼻を経由して人体に侵入し、鼻から入ったアメーバは嗅神経 (きゅうしんけい) を通り、脳内に入り込みむというわけです。

脳内に入ったアメーバは、そこで分裂を続け、脳の組織を破壊し、髄膜脳炎 (原発アメーバ髄膜脳炎(PAM)) を引き起こします。

条件が良いと2時間程度で分裂を繰り返すそうで、たった1匹のアメーバでも、2時間後には2匹、4時間後には4匹、、、24時間後には4096匹、2日後には16777216匹、3日後には600億を優に超えます。

と、瞬く間に恐ろしい数にふくれあがることになります。まぁこんな順調には増えるはずはありませんが、脳内で爆発的に増え続けるアメーバを想像すると怖いですよね。

これが「人食いアメーバ」ならぬ「脳食いアメーバ」とも呼ばれる所以です。

で、感染当初は自覚症状もありませんが、症状が出るころにはすでに手遅れで、髄膜脳炎の症状が出るとわずか数日で死に至ります。

致死率は100%に近く、助かった例ももちろんあるものの、その可能性は限りなく0に近い大変恐ろしい病気です。


さて、ここまで読んだ方の中には、もしかしてもう川や湖は危険なので二度と入らない、ネグレリアのいない海だけにしよう、なんて思ってしまう人もいるかもしれませんが、それは心配しすぎです。

世界中で毎年、何億という人が川や湖で遊泳しているにもかかわらず、ネグレリアに感染して死亡すると、その都度ニュースになるほどレアな事故です。

ネグレリアに気をつけるぐらいなら、水難事故に気をつけたほうがよっぽどいいです。

川や湖じゃなく、温水プールなんか危ないんじゃないの?なんて思う人もいるかもしれません。

年中25度以上ありますし、流れもなく淀んでますし、アメーバが増えそうな気がします。

しかし、通常、温水プール (学校のプール等も) は塩素滅菌されているのでアメーバは活動することが出来ません。

それなのに、です。

チェコスロヴァキアで、1962年3人、63年4人、64年2人、65年2人、同じ水泳教室に通っていた計11人の子供たちが同一の温水プールでネグレリア・フォーレリに感染し死亡する事故がありました。

めったなことでは感染者がでないネグレリアでの死亡事故が、同一の温水プールで11人もの子供たちが犠牲になったのです。

この数は「異常」といって差し支えありません。

これは塩素殺菌していたにもかかわらず、プールの亀裂から外部の水が混入していたため、プール内の塩素濃度が下がりアメーバが再活動を始めたためのようです。

塩素滅菌してもアメーバ自体は死なず、シスト (嚢子 - のうし) となって休眠状態に入っているだけなのです。

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