エジプトの破壊神セト (Set) を種小名にもつ寄生蜂、エウデルス・セト (Euderus set)。
通称、クリプト・キーパー (crypt-keeper wasp) と呼ばれ、その意味は「穴蔵の番人」とか「埋葬地 (遺体安置所) の番人」といった感じです。
このハチは体長数ミリのとても小さいハチですが、かれらの宿主に対するマインド・コントロール、即ちゾンビ化は独特で凄まじいものがあります。
クリプト・キーパーが寄生するのは、なんと相手も寄生蜂で、知られているだけで6種類のタマバチの仲間に寄生することが知られています。
(クリプト・キーパー)
(image credit by News Network)
タマバチの幼虫が作った樫の木の「虫こぶ (植物の一部が昆虫の寄生によりコブ状に発達する突起)」に、クリプト・キーパーは卵を産み付けます。
虫こぶの中で孵化したクリプト・キーパーの幼虫は、タマバチに寄生し体をのっとります。
のっとられたタマバチはなんと成長が早まり、通常よりも早く成虫となり、「虫こぶ」の内部から穴を開けて外界へ飛び立とうとします。
そう、飛び立とうとするのですが、、、あと少しのところで飛び立つことが出来ません。
このとき自分で掘り進んだにもかかわらず、この脱出用の穴は自分のサイズよりも一回り小さいものなのです。
その結果どうなるか?
無理やりその小さな穴から出ようとしたことで頭部が出口でつっかえてしまい、前にも後ろにも進めなくなってしまうのです。
地中ではありませんが、まさに「墓穴を掘る」といった感じで、この時点でもはや彼らに助かる手立てはありません。
無実ながら自ら「磔 (はりつけ) の刑」に処したのです。
そのマインドコントロールをしていたのはもちろんクリプト・キーパー。
哀れタマバチは生きたまま後方からクリプト・キーパーに体を食べられます。
タマバチの体を食べて十分な大きさに成長すると虫こぶの中で蛹化し、やがて蛹から孵って成虫となると出口付近に引っかかっているタマバチの頭部を食い破って外へと飛び出します。
この頭部だけが引っかかる絶妙の「小さな穴」を開けさせるマインドコントロールのメカニズムは解明されていませんが、少なくとも2つの利点があるようです。
ひとつは身動きをとれなくさせることにより自由かつ安全にタマバチを食べられること、そしてもうひとつは固い樫の木に穴を開ける手間が省けること。
まあ省けるも何もクリプト・キーパーにはこの固い樫の木を食い破る能力自体、備えていません。
なのでもしタマバチが穴を開ける前に木の中で死んでしまった場合、クリプト・キーパーはこの虫こぶ内に閉じ込められそのまま死んでしまいますす。
一見するとマインドコントロールする能力を会得するよりも、樫の木を食い破る強靭な体に進化する方が楽そうに感じますが、彼らはそうしませんでした。
この頭部だけが引っかかる絶妙の「小さな穴」を開けさせるマインドコントロールのメカニズムは解明されていませんが、少なくとも2つの利点があるようです。
ひとつは身動きをとれなくさせることにより自由かつ安全にタマバチを食べられること、そしてもうひとつは固い樫の木に穴を開ける手間が省けること。
まあ省けるも何もクリプト・キーパーにはこの固い樫の木を食い破る能力自体、備えていません。
なのでもしタマバチが穴を開ける前に木の中で死んでしまった場合、クリプト・キーパーはこの虫こぶ内に閉じ込められそのまま死んでしまいますす。
一見するとマインドコントロールする能力を会得するよりも、樫の木を食い破る強靭な体に進化する方が楽そうに感じますが、彼らはそうしませんでした。
寄生を進化させる方がやはり美味しいのでしょう。
(参照サイト)
NEWS NETWORK
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