■「誘拐」に遭ったUMA ~ ブロック・ネス・モンスター
1996年、アメリカ北東部のロードアイランド州に属するブロック島 (Block Island) 付近で、アンコウ漁をしていた船の網に謎の生物の骨が引っかかりました。
ネッシーは海外では通常「ロッホ・ネス・モンスター (Loch Ness monster 「ネス湖の怪獣」の意)」と呼ばれることから、この呼び方をもじってブロック・ネス・モンスター (Block Ness monster) と呼ばれます。
アヒルのクチバシのような頭骨には眼窩と思われる空洞があり、左右からヒゲ (触角) らしきものが伸びています。
頭骨から続く脊柱骨は長く、明らかに体の後端が欠けているもののそれでも全長で14フィート (約4.3メートル) もありました。
ブロック・ネス・モンスターは大変な評判となり、この謎の生物をひと目見ようと多くの観光客、マスコミが小さなブロック島に殺到することになります。
島民の一人クリス・リトルフィールド (Chris Littlefield) 氏は「この2日間の賑わいはここ100年間に訪れた人数全部合わせたより多い」と形容したほどです。
この評判を聞きつけやってきた一人にニューヨークの生物学者リー・スコット(Lee Scott )博士がいます。
と言ってもスコット博士がブロック島を訪れたのは初めてではありません、博士はブロック島に別荘を持つほどで、この島には精通しています。
「なんなんだこいつは?」
スコット博士がブロック・ネス・モンスターを初めてみたときの感想です。
ロードアイランドのナラガンセット (Narragansett) にあるアメリカ海洋漁業局 (National Marine Fisheries Service) に問い合わせれば正体を特定できるはず、そう思った博士はブロック・ネス・モンスターを別荘に持ち帰り、冷凍庫に保存しました。
しかし翌日、博士が釣りをして別荘に戻るとブロック・ネス・モンスターは盗難にあっていました。
平和なブロック島では鍵をかけるという習慣がないため、いともかんたんに盗まれてしまったようです。
UMAの骨格や死骸といったものは高確率で「紛失」「盗難」に遭いますが、元から存在していなかったり (手に入れてなかったり)、捏造がばれる前に廃棄したり、もしくはもともと盗難になど遭っていなかったり (よく調べると保管されている) と言ったことがほとんどです。
しかし今回の持ち主は生物学者のスコット博士、彼は調査したいだけで発見者でもなくそういった嘘を付く必要はありません。
もちろん、スコット博士が実は珍しい動物のコレクターであり独占したいという所有欲から盗んだ可能性がある、と無理やり疑うことはできます。
しかしこういった線を突き詰めていくときりがありませんから今回は排除します。
では一体ブロック・ネス・モンスターの正体はなにか?
チョウザメ、ウバザメ、大型のエイなどが候補に上がりました。
ヒゲがあることや頭骨の形からチョウザメを推す声もありますが、そもそもチョウザメとして4.2メートルという体長は大きすぎますし、頭骨の形も異なります。
サメの専門家であるリサ・ナタンソン (Lisa Natanson) 氏はブロック・ネス・モンスターの写真からおそらくウバザメであろうと結論づけています。(ウバザメの頭骨は頭部の大きさに比して非常に小さいです)
同じく魚類生物学者ハロルド・ウェス・プラット (Harold "Wes" Pratt) 博士もそれに同意します。
しかしスコット博士だけはロマンを求めます。
ウバザメの吻は通常6インチ (約15センチ)、ブロック・ネス・モンスターのそれは12インチ (約30センチ) と倍の長さがあり、新種のサメである可能性に期待します。
(ウバザメ)
ところで盗難に遭ったブロック・ネス・モンスターの行方は?
意外なことに盗難からすぐ「誘拐犯」からスコット博士に電話があったのです。
「誘拐犯」たちはかれらが島民であることを明かし、もしブロック・ネス・モンスターが島から持ち出されてしまえば、二度とこの島に戻ってこないことを危惧し犯行に及んだと説明します。
ブロック・ネス・モンスターにより観光客が増えたことからどうしても骨格の持ち出しを阻止したかっただけだと。
ブロック・ネス・モンスターはブロック島の所有物、スコット博士もこれに同意します。
それゆえ、誘拐犯からの金品の要求もありませんでした。
観光客が増えたブロック島のお土産屋さんではブロック・ネス・モンスターTシャツが飛ぶように売れ、バーではブロック・ネス・カクテルが人気を博したといいます。
(参照サイト)
South Coast Today
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