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2025年8月15日金曜日

19世紀に射殺された謎の巨大爬虫類 ~ リンギン


■19世紀に射殺された謎の巨大爬虫類 ~ リンギン

今回はリンギン / リングイン (Linguin)、インドネシアのジャワ島のUMAです。

オーストラリアのシドニー・モーニング・ヘラルド紙 (Sydney Morning Herald) の1899年3月23日号によれば、イクチオサウルス (Ichthyosaurus) と現代のよく知られた爬虫類を繋ぐミッシングリング的生物が射殺されたというのです。

それは1869年2月、バートン・ペレイラ (Baron Alfons Pereira) 男爵が、メット駐在副総領事、現地の案内人たちととジャワにあるバタビア川を大型のカヌーで遊覧していたときのことです。

(実際の記事)

それでは男爵の話をみていきましょう。

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夜明け頃、まだあたりが暗い中、カヌーは河口に差し掛かり海も近いため波の影響を受け始めました。

波に逆らっての運航は漕ぎ手たちの負担も増しているようでした。

すると突然、

「リンギンだ!リンギンだ!」

現地の乗組員たちが興奮し叫び始めたのです。

私 (バートン伯爵) の隣にいた操舵手は私の腕を掴み、150メートル程先の岸辺にいる細長い生物らしきものを指さしています。

まだあたりは暗いため、それがなんであるかははっきりと確認できず、黒い細長い生物程度にしか認識できませんでした。

私はライフルを構えましたが、その生物がそもそも何なのか分からず (おそらくはワニ、、、)、また潮の流れでカヌーが揺れており照準を定めるのも難しかったため発砲するのをためらいました。

しかし現地の乗組員たちは私の躊躇に明らかに苛立っており、「リンギンだ!早く撃て!撃て!」と叫びます。

私は意を決し、不安定なカヌーで立ち上がるとその「リンギン」なる生物に向けて発砲しました。

!!!

どうやら命中したようです。

その巨大な生物は泥の上でもんどりうって狂ったように暴れはじめたからです。

頭をそして尾をばたつかせ、体をぐるぐると回転しているようです。

乗組員たちから勝利の歓声が上がると、操舵手のひとりが偃月刀 (えんげつとう) を持って川へ飛び込み、リンギンのいる岸辺まで泳ぎ始めました。

彼は偃月刀でリンギンを切りつけました。

私たち一行もカヌーで岸まで向かうと、その生物がはっきりと見えてきました。

いわば半分ワニ、半分ヘビ、といったような姿をしていました。

ワニの体にヘビの首と頭部を付けたような姿といえば適切かもしれません。

乗員たちは次々と船から飛び降り上陸し、リンギンに近付くと、リンギンは彼らに向かって咬みつこうと何度も何度も襲い掛かろうとしました。

しかしその都度、彼らは偃月刀で怪物を切りつけ、ついにはリンギンの首に偃月刀が刺さり怪物はぐったりとなりました。

彼らは死んだリンギンを皆で引きずってカヌーに乗せましたがとてつもない重さでカヌーは傾き、危うく転覆しそうになったほどです。

体長は9~10フィート (約2.7~3.0メートル) もあり、とても長くしなやかな首と頭部を持っていました。

私がこの生物で一番印象的だったのはこの生物が偃月刀で切り裂かれているにもかかわらず、赤い血が流れておらず、まるで魚の身ように傷口が白かったことです。

現地人たちとの格闘の末、この生物はかなりズタズタにされてしまっており、脚の一本をほとんど取れかけていました。

とはいえ、私はこの生物を遺棄せずにそのまま下船し保存するように強く勧めました。

残念なことは、ジャワに滞在中、二度とこの生物に巡り合えなかったことです。

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19世紀半ば~20世紀初頭にかけてによくあった創作系のUMAでしょうか?

実際のところその判断は難しいですが、文章もそれほどドラマチックな構成ではなく、また怪物の描写も体長を含め荒唐無稽ではないため (血が出ないという点はややパラノーマル感がありますが) 信憑性はそれなりに高そうです。

イクチオサウルス (魚竜) と現生爬虫類のミッシングリンク説はちょっと意味が分かりませんが、おそらく四肢を持った水棲爬虫類、もしくは半水棲爬虫類の意味でいっているのではないかと推測されます。(「脚」という表現からもそれがうかがえます)

まあ月並みではありますが、やはり生息域やその描写された特徴からオオトカゲ類である可能性が高いのではないでしょうか。

ワニに似るが首から先はヘビ、いかにも大型のトカゲを彷彿とさせます。

(ミズオオトカゲ)
(image credit by Wikicommons)

半水棲を示唆する書き方、しかも淡水だけでなく汽水域にも生息することからもっともあり得そうなのはやはりミズオオトカゲ (Varanus salvator)。

通常大きくても2.5メートルが限界といわれていますが、最大10フィート超の記録 (3.2メートル) もあり大きさ的にも十分です。

バートン・ペレイラ男爵が見たリンギンはミズオオトカゲのとてつもない巨大個体だったのではないでしょうか?

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