■シャチ2頭との闘いに破れたUMA ~ トランコ
「南アフリカ沿岸で正体不明の巨大生物を目撃 シャチ2頭と交戦後、座礁か
南アフリカ・ダーバン近郊で、正体不明の巨大生物が目撃されていたことが分かりました。
目撃したのは、マーゲート出身のH・C・バランス(H.C. Ballance)氏です。
バランス氏によると、海岸沿いを歩いていた際、海面から約20フィート(約6メートル)の高さまで頭部を持ち上げる奇妙な生物と、2頭のシャチが激しく争っている場面に遭遇しました。
目撃情報では、この生物は2頭のシャチを殺したものの、その直後に力尽きた様子で、仰向けの状態で海面に浮かんでいたといいます。
バランス氏は当時、別の用事を思い出して現場を離れましたが、翌朝あらためてビーチを訪れたところ、その生物が海岸に打ち上げられているのを発見しました。
現場で測定したところ、生物は尾の長さが約10フィート(約3メートル)、尾の幅は約2フィート(約60センチ)で、全長は約47フィート(約14.3メートル)に及んでいたということです。
また、頭部には通常の頭の代わりに、象の鼻のような形状をした突起があり、その長さは約5フィート(約1.5メートル)、幅は約14インチ(約36センチ)。
先端は豚の鼻に似た形をしていたと証言されています。
生物の全身は、長さ約10インチ(約25センチ)の白い体毛で覆われていたともいいます。
この死骸は約10日間にわたりビーチに横たわっていましたが、その後、波にさらわれ、南東方向へ流されていく様子が現地の先住民によって目撃されたとされています。
現在、この生物の正体について公式な見解は出ておらず、詳細は不明のままです」
― トランコ(Trunko) ―
これは「クジラが毛むくじゃらの怪物に殺される(Whales are Slain by Hairy Monster)」というタイトルで、海生UMAの目撃談がアメリカの新聞(ザ・コール・リーダー紙、The Call-Leader)に掲載されたときの記事です。(1925年3月25日)
― ネッシーブーム以前の怪物 ―
この「怪物」が目撃されたのは、ネス湖の怪獣ネッシーが「外科医の写真」発表(1934年)によって世界的な注目を集めることになる、約10年前の1924年11月のことです。
「外科医の写真」が世に出て以降、水生UMAは海生爬虫類、特にプレシオサウルス系のイメージに大きく傾いていきますが、本件はそれ以前の目撃談であるため、同じ水生UMAでありながら他とは異なる、非常に個性的なシルエットを有しています。
この生物の名はトランコ(Trunko)。
もっとも顕著な特徴である、ゾウの鼻のような頭部から、英語のトランク(trunk、「ゾウの鼻」の意)をもじってこう呼ばれています。
― シャチとの勝敗をめぐる食い違い ―
トランコを知っている人の中には、この記事を読んで疑問に思った方もいるかもしれません。
「確かトランコはシャチとの闘いで負けたはずでは?」
実際、最初に報道したデイリー・メール紙(Daily Mail)版では、トランコと2頭のシャチは約3時間に及ぶ激闘の末、トランコが敗れ、砂浜に打ち上げられたとされています。
デイリー・メールでは「ホッキョクグマのような魚(Fish Like A Polar Bear)」というタイトルでトランコを紹介していますが、これは目撃者が「巨大なホッキョクグマのように見えた」と証言したためです。
シャチとの勝敗については諸説ありますが、いずれの報道においても、最終的にトランコが死んだという点は共通しています。
― 証言から見える異常なサイズ ―
さて、トランコの特徴を見ていきましょう。
といっても、その詳細はニュース記事内でのバランス氏の証言がすべてです。
体長は10メートルを大きく上回る14メートル超。このサイズは、既知の動物であればクジラかサメ以外に該当するものはありません。
サメで考えた場合、最大種であるジンベエザメ(Rhincodon typus)、あるいは12メートルという疑わしい記録を含めてもウバザメ(Cetorhinus maximus)が、かろうじて候補に挙がる程度です(通常は7メートル前後)。
しかし、これらはいずれも温和な濾過捕食者であり、バランス氏が語るようにシャチと互角に渡り合える存在とは考えにくいでしょう。
そもそもシャチと単独で互角に闘える生物は存在せず、ましてや2頭を相手に勝利したとなると、常識外の存在です。
そのため、シャチ2頭がすでに死んでいたクジラや巨大サメの死骸に激しく食いついていた様子を、「闘っていた」と誤認したのではないか、という説もあります。
― 写真とグロブスター説 ―
(ビーチに打ち上げられたトランコの写真)
バランス氏の証言をもとに、多くの想像図が描かれてきましたが、目撃から100年以上が経過した2009年になって、砂浜に横たわるトランコとされる写真が公開されました。
ただし、4枚存在するとされる写真のうちの1枚に過ぎず、これが当時のトランコそのものを写した決定的証拠とは言えません。
写真では全体像が収まっていないものの、典型的なグロブスター(正体不明の巨大肉塊)であり、腐敗したクジラ、もしくは大型サメの死骸である可能性が高そうです。
しかし、果たしてクジラやサメが、バランス氏の証言したような形状になるのでしょうか。
― 瑞洋丸の死骸との共通点 ―
(image credit by Michihiko Yano/Wikipedia)
このサイトを訪れるUMAファンの方なら、「ニューネッシー」をご存じかもしれません。
海外ではズイヨウマル・カーカス(Zuiyo-maru carcass、「瑞洋丸の死骸」)として知られる事例です。
1977年、ニュージーランド沖で日本の漁船・瑞洋丸によって引き揚げられた、全長約10メートル、重量1.8トンにも及ぶ謎の巨大生物の死骸です。
正体はほぼウバザメと断定されていますが、その形状は生前の姿をまったく想起させないほど、腐敗によって大きく変形していました。
ウバザメなどの巨大海洋生物は、頭骨や頭部付近の軟組織が腐敗により脱落すると、脊柱骨が露出し、細長い首を持つ異様な姿に変貌することがあります。
この現象がトランコにも起きた可能性は否定できません。
つまり、頭部や頭骨が脱落した一方で、脊柱骨周辺の肉や皮膚がかろうじて残り、それがゾウの鼻のような形状に見えた、という解釈です。
「頭部には頭の代わりに象の鼻のようなものが付いている」という証言は、「頭部を失った細長い首」と読み替えることも可能でしょう。
ネッシーブーム以後に発見されていれば、トランコは首長竜型生物として報道されていたかもしれません。
とはいえ、この写真1枚から推測できることは、この程度に留まります。
個人的な見解を述べるなら、砂浜に打ち上げられた死骸はかなり腐敗が進行しており、前日にシャチと死闘を繰り広げた生物と同一と考えるのは難しい印象です。
シャチとの闘いの逸話は、奇妙な死骸の発見をきっかけに後付けで創作された可能性も残ります。
しかし、仮にその逸話が誇張や創作であったとしても、トランコの死骸が存在し、実際に目撃されたという事実は変わりません。
もし、残る4枚の別写真が今後公開されることがあれば、そこから新たな手がかりが得られるかもしれません。
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ウバザメの腐乱死体にも繊維状になる部分あるのかな?、ひれは筋っぽいけど。鮫の身ってぶよっとした食感で繊維質な記憶がないや。
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