2020年3月18日水曜日

シャチと闘った象の鼻をもつ巨大海性生物 ~ トランコ


■シャチ2頭との闘いに破れたUMA ~ トランコ

「南アフリカ、ダーバン。

マーゲート出身のH.C.バランス (H.C. Ballance) 氏が海岸沿いを歩いているとき、海面から20フィート (約6メートル) の高さまで頭部を持ち上げた奇妙な怪物と2頭のシャチが命がけの闘いをしているのを目撃しました。

怪物は2頭のシャチを殺し勝利したものの力尽き、仰向けになって海に浮かんでいました。

バランス氏は約束を思い出し帰宅しましたが、翌朝ビーチに戻り怪物が座礁しているのを発見しました。

怪物を計ってみたところ、長さ10フィート (約3メートル)、幅2フィート (約60センチ) の尾を含み全長47フィート (約14.3メートル) ありました。

また頭部には頭の代わりに長さ5フィート (約1.5メートル)、幅14インチ (約36センチ) の象の鼻のようなものがあり、先端は豚の鼻に似ていたということです。

怪物は10インチ (約25センチ) の真っ白な毛で体全体が覆われていました。

10日ほどそのままビーチに横たわっていましたが、その後、怪物は波にさらわれ南東の方角へ流れていったのを先住民たちに目撃されています」

これは「クジラが毛むくじゃらの怪物に殺される (Whales are Slain by Hairy Monster)というタイトルで海生UMAの目撃談がアメリカの新聞 (ザ・コール・リーダー紙, The Call-Leader) 記事になったときのものです。(1925年3月25日)

この「怪物」が目撃されたのは、ネス湖の怪獣ことネッシーが「外科医の写真」発表 (1934年) によって世界中から注目を集めることになる10年前の1924年11月のことです。

「外科医の写真」が世に出てからというもの水生UMAのタイプは海生爬虫類、特にプレシオサウルス系に大きく傾いてしまいますが、「外科医の写真」発表以前ということもありこの怪物は水生UMAながら他とは違う個性的なシルエットを有します。

この生物の名はトランコ (Trunko) 。

もっとも顕著な特徴のひとつであるゾウの鼻のような頭部から、英語のトランク (trunk, 「ゾウの鼻」の意) をもじってこう呼ばれます。

トランコを知っている人の中には上の記事を読んで?と思った人もいるかも知れません。

「確かトランコはシャチとの闘いで負けたはずでは?」

そう、実は最初に報道したデイリー・メール紙 (Daily Mail) のバージョンでは、トランコと2頭のシャチは3時間の激闘の末、トランコは敗れ砂浜に打ち上げられたことになっています。

デイリー・メールではトランコ「ホッキョクグマのような魚 (Fish Like A Polar Bear)というタイトルでトランコの記事を掲載していますが、それは目撃者が「巨大なホッキョクグマのように見えた」と語ったからです。

シャチとの勝敗は分かりませんが、いずれにしてもトランコが死んだという点に関しては同じです。

さて、トランコを見ていきましょう、といってもトランコの特徴はニュース記事でバランス氏が証言していることが全てです。

体長は10メートルを大きく上回る14メートル超、この巨体は既知動物であればクジラかサメしか達成できません。

特にサメであればジンベエザメ (Rhincodon typus)、そして12メートルという怪しい記録を含めてもウバザメ (Cetorhinus maximus) がギリギリ候補に入る程度です (通常7メートル前後)。

しかしいずれのサメも温和な濾過捕食者であり、バランス氏が証言するようなシャチと互角に渡り合えるような存在ではありません。

そもそもシャチとタイマンで勝てる生物はおらず、ましてやシャチ2頭を相手に勝利したとなるととんでもない生物です。

それ故、単にシャチ2頭が死んだクジラもしくは巨大なサメに激しく食いついていたのを「闘っていた」と勘違いしたのでは?という説もあります。

(ビーチに打ち上げられたトランコの写真)
(image credit by Trunko/Wikipedia)

バランス氏の証言から多くの想像図が書かれてきましたが、目撃情報から100年以上も経った2009年になり砂浜に横たわるトランコの写真がついに公開されました。

ただし、4枚存在するというトランコの写真の1枚ですが、これが当時のトランコを撮影したという決定的な証拠はありません。

大きすぎて全体像が写っていないものの、典型的なグロブスター (謎の肉塊) であり、写真を見た限り腐敗したクジラか大型のサメの死骸の可能性が高そうです。

しかし果たしてクジラやサメがバランス氏が証言したような形状になるものでしょうか?

(image credit by Michihiko Yano/Wikipedia)

このサイトに来るUMAファンの方々ならニューネッシーをご存じでしょう。

海外ではズイヨウマル・カーカス (Zuiyo-maru carcass 「瑞洋丸の死骸」) で知られる、UMAです。

1977年、ニュージーランド沖で日本の漁船、瑞洋丸によって引き揚げられた10メートル、1.8トンもある謎の巨大生物の死骸です。

おそらく正体はウバザメとほぼ断定されていますが、その形状は生前のウバザメの姿をまったく想起させないほど腐敗により変形しています。

このようにウバザメなどの巨大海洋生物が、頭骨や頭部付近の軟組織が腐敗により脱落してしまうと、脊柱骨が目立って細長い首を持つ巨大生物に変貌してしまうことがあります。

このパターンがトランコにも起きたのではないか?

つまりは頭部もしくは頭骨などが脱落したものの、脊柱骨付近の肉や皮膚などはかろうじて骨に付着しておりゾウの鼻のような形状を形成した、ということです。

「頭部には頭の代わりに象の鼻のようなものが付いている」という表現は「頭部の取れてしまった細長い首」という解釈も可能です。

ネッシーブーム後にトランコが発見されていたら、もしかすると首長竜的生物として報道されていたかもしれません。

といってもこの写真1枚で推測できるのはこの程度。

あくまで個人的な見解を言わせてもらえば、少なくとも砂浜に打ち上げられた死骸はかなり腐敗が進行しており、前日シャチと闘った生物と同一と考えにくいです。

シャチと闘ったという話は奇妙な死骸からヒントを得て創作された可能性も捨てきれません。

しかし仮にシャチとの死闘がでっち上げだったとしてもトランコの死骸が存在し目撃されたという事実に変わりはなく、4枚存在するというトランコの別の死骸写真がもし公表されるようなことがあれば、なにか手がかりを掴めるかもしれません。

(参照サイト)
Mysterious UNIVERSE
Newspapers.com

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1 件のコメント:

  1. ウバザメの腐乱死体にも繊維状になる部分あるのかな?、ひれは筋っぽいけど。鮫の身ってぶよっとした食感で繊維質な記憶がないや。

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