中米、ニカラグア共和国に広がる広大な湖、ニカラグア湖 (Lago de Nicaragua)。
ニカラグア湖は中米最大にして、南米最大のチチカカ湖 (Lago Titicaca) ともほぼ同サイズです。
その面積は都道府県面積12番目の兵庫県をわずかに下回る程度で、ニカラグア湖と同サイズの県が存在したら13番めに広い県ということになります。
ニカラグア湖は淡水湖ですが海洋の生物、古代魚ターポン (Megalops atlanticus) や巨大魚ノコギリエイ (Pristis pristis)、そしてあろうことか人喰いザメ、レイク・ニカラグア・シャーク (Lake Nicaragua shark) が生息しているといいます。
レイク・ニカラグア・シャークは10フィート (約3メートル) 以上もある巨大なサメで、ネイティブによれば毎年1人以上はこのサメの餌食になっているといいます。
サメのUMA?
いえ、決してネイティブの民間伝承ではありません、1944年の春先に (ニカラグアの) グラナダでこのサメに3人が襲われ2人死亡したという確実な記録も残っているからです。
人間であればこの程度で済んでいるものの、水際に近づいたイヌなど動物が襲われたケースは数え切れないほどだといいます。
本当にそんなサメがいるのか?
人やイヌを襲ったのは本当にサメなのか?
淡水に入り込む人喰いザメといえばオオメジロザメ (Carcharhinus leucas) ですが、一番近い海まででも100マイル (約160キロ) 以上もあり、とうてい行き来できる距離ではありません。
この湖に生息するサメは遠い昔、陸封されたオオメジロザメであり、ニカラグア湖で代を重ね独自の進化を遂げた固有種に違いありません。
そう考えられ、この湖に生息する殺人ザメにはレイク・ニカラグア・シャーク (Carcharhinus nicaraguensis) という名と固有の学名を与えられました。
しかしこのサメはニカラグア湖に閉じ込められているサメではなかったのです。
ニカラグア湖とカリブ海をつなぐサンフアン川 (San Juan River) を遡上し、殺人ザメは110マイル (約177キロ) という道のりを自由に行き来していたのです。
そう、ただのオオメジロザメだったのです。
レイク・ニカラグア・シャークという固有のサメは存在していなかったのです。
実はオオメジロザメにとって100マイルという距離は造作もありません、最長で700マイル (約1100キロ) も川を遡上した記録が残っているほどです。
しかもニカラグア湖にいたオオメジロザメにタグを付けて調査したところ、ニカラグア湖とカリブ海の177キロという道のりをわずか7日程度で移動しているとも分かっています。
1961年以降、ニカラグア湖でサメに襲われた事故は公式データとしては残っていませんが、現在でもニカラグア湖にはサメが生息しており、いつ人が襲われてもおかしくない湖です。
(参考文献)
SHADOWS OF THE SEA (Thoma. B. Allen著)
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